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『歩くということ~「夜のピクニック」を読んで~』

企画室 
植村事務官

 今日も市ヶ谷駅から左内坂を経由し、勤務地である東京地本まで歩く。 坂が急なので、ちょっとした登山気分である。他の人よりもゆっくり歩く。
 このように、歩くことを楽しみにしている私から、一冊の小説を紹介させていただきたい。 『夜のピクニック』(著者:恩田陸)は、高校生が学校の伝統行事である「歩行祭」 に参加するという話である。朝から翌朝にかけて80キロを踏破する。 主人公である甲田貴子と西脇融は複雑な家庭事情を抱えており、会話をほとんどしていない。 「歩行祭」を通じて、各々の親友が悩みに寄り添い、両者は歩み寄るというストーリーである。

 私が特に印象に残ったシーンは、融の性格について腹を割って話した後の箇所である。
 「こうして、夜中に昼間ならば絶対に語れないようなことを語っている今こそが――全身痛みでボロボロなんだけど、 顔も見えない真っ暗なところで話をしながら頷いているのが、 あたしの歩行祭なのだと」と貴子は心情を吐露する。

 日常では、効率性を求められ、時間に追われることが多い。だからこそ、 疲労感を伴う「歩行祭」は、普段は思いもしなかったことやアイディアを私たちに与えるのだと思う。
 まずは親友と時間をかけてゆっくり歩いてみてはいかがだろうか。
 ちなみに、私の相方は苦いコーヒーである。