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第IV部 防衛力を構成する中心的な要素など

6 防衛装備品の適切な海外移転に向けた官民連携

防衛装備品の海外移転について、防衛大綱及び中期防では、「防衛装備移転三原則のもと、装備品の適切な海外移転を政府一体となって推進する」とされていることを受け、諸外国との安全保障協力を進めるとともに、防衛産業基盤の強靱化を図るため、官民が連携してこのための取組を進めている。具体的には、防衛装備庁、商社、製造企業の連携のもとで、相手国の潜在的なニーズを把握して提案に向けた活動を行う「事業実現可能性調査」を、令和2(2020)年度から実施している。令和2(2020)年度及び令和3(2021)年度は、インド、インドネシア、マレーシア、ベトナムの4か国を対象とし、商社の持つ海外ネットワークを活用した情報収集網を構築することで、将来の海外移転につながる可能性のあるいくつかの案件を確認した。

令和4(2022)年度もさらなる案件の発掘に向けて事業を進める予定である。

また、わが国と相手国との間で、両国の防衛当局と企業が一堂に会して、防衛装備品の海外移転に関する意見交換を行う「官民防衛産業フォーラム」を、2017年8月のインドネシアでの開催をはじめ、これまでに、インド、ベトナム、オーストラリア、イタリア、フィリピンを合わせた計6か国において実施している。

日本国内においても、各国への海外移転に関する官民の知識向上を図る取組として、「防衛装備移転に関するウェビナー」を開催し、諸外国との民間ビジネス分野での事例や防衛装備・技術協力の現状を学ぶ機会を創出している。2020年12月の初開催以降、インド、ベトナムに引き続き、2021年6月には第3回目として、マレーシアを対象としたウェビナーを行った。

さらに、かねてより防衛産業から要望が寄せられていた官民間での海外移転に関する情報共有の場として、2022年3月にWeb上にポータルサイトを整備し、海外移転を進める防衛関連企業を対象として、各国の調達制度やわが国の防衛装備移転制度などの情報提供を行っている。

防衛装備移転に関するベトナムウェビナー(2021年3月)に参加する職員

防衛装備移転に関するベトナムウェビナー(2021年3月)に参加する職員