わが国は、自国の安全保障、平和貢献・国際協力の推進及び技術基盤・産業基盤の維持・強化に資するよう、防衛装備移転三原則に基づき、諸外国との防衛装備・技術協力を推進している。
2013年12月に策定された国家安全保障戦略に基づき、新たな安全保障環境に適合する明確な原則として、2014年4月に「防衛装備移転三原則1」及びその運用指針が策定された。防衛省としては、この三原則のもと、これまで以上に平和貢献・国際協力に寄与するとともに、同盟国たる米国及びそれ以外の諸国との防衛協力を積極的に進めることを通じ、地域の平和と安定を維持し、わが国を守り抜くための必要な諸施策を積極的に推進していくこととしている。
また、防衛装備の適切な海外移転は、国際的な平和と安全の維持の一層積極的な推進に資するものであり、同盟国たる米国及びそれ以外の諸国との安全保障・防衛分野における協力の強化に資するものである。さらに、国際共同開発・生産が国際的主流となっていることにかんがみ、わが国の防衛産業基盤の維持・強化、ひいてはわが国の防衛力の向上に資するものである。他方、防衛省が海外移転の取組を本格的に始めた時期が、防衛装備移転三原則の策定以降であることから、従来からこうした取組を積極的に行っている米国や欧州諸国などと比べて競争力が不足しているなど様々な難しい課題がある。このため、引き続き、相手国のニーズなどの情報収集の強化、装備品の維持整備への支援も含めた協力、官民一体の連携体制の強化などを通じて効果的な防衛装備・技術協力を実現していくこととしている。
防衛装備の海外への移転を禁止する場合を、①わが国が締結した条約その他の国際約束に基づく義務に違反する場合、②国連安保理の決議に基づく義務に違反する場合、又は③紛争当事国への移転となる場合とに明確化した。
移転を認め得る場合を、①平和貢献・国際協力の積極的な推進に資する場合、又は②わが国の安全保障に資する場合などに限定し、透明性を確保しつつ、仕向先及び最終需要者の適切性や安全保障上の懸念の程度を厳格に審査することとした。また、重要な案件については国家安全保障会議で審議し、あわせて情報の公開を図ることとした。
防衛装備の海外移転に際しては、適正管理が確保される場合に限定し、原則として目的外使用及び第三国移転についてわが国の事前同意を相手国政府に義務付けることとした。ただし、平和貢献・国際協力の積極的な推進のため適切と判断される場合、部品などを融通し合う国際的なシステムに参加する場合、部品などをライセンス元に納入する場合などにおいては、仕向先の管理体制の確認をもって適正な管理を確保することも可能とした。