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第IV部 防衛力を構成する中心的な要素など

3 新型コロナウイルス感染症対応

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けた防衛省・自衛隊の取組として、自衛隊病院や防衛医科大学校病院においては、2020年2月1日から新型コロナウイルス感染症患者を受け入れている。これまでに自衛隊中央病院のほか札幌、大湊、三沢、仙台、舞鶴、入間、横須賀、富士、阪神、呉、福岡、佐世保、熊本、別府、那覇の各自衛隊地区病院及び防衛医科大学校病院において、3,553名の新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた(2022年3月31日17時時点)。特に自衛隊中央病院及び防衛医科大学校病院は、各々東京都、埼玉県から第一種感染症指定医療機関4(厚生労働大臣の定める基準に適合し、一類感染症5に対応できる陰圧室などを兼ね備えた病床を各々2床保有)の指定を受けており、患者数の増加に対応し患者の受入れを一般病床まで拡大した。

また、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を加速するため、自衛隊は、2021年5月24日から11月30日までの間、東京及び大阪において自衛隊大規模接種センターを設置・運営し、延べ196万回のワクチン接種を実施した。また、オミクロン株の流行拡大に対応するため、2022年1月31日に東京、同年2月7日、大阪に大規模接種会場を設置し、3回目のワクチン接種を開始した。

大規模接種センターにおけるワクチン接種準備の様子(2021年9月)

大規模接種センターにおけるワクチン接種準備の様子(2021年9月)

大規模接種センターにおけるワクチン接種の様子(2021年9月)

大規模接種センターにおけるワクチン接種の様子(2021年9月)

防衛省・自衛隊においては、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けた取組における教訓事項を活かし、令和3(2021)年度補正予算において、訓練時などのPCR検査にかかる費用、PCR検査装置等の医療用器材の整備などを実施し、衛生機能のさらなる強化を図っている。

このほか、自衛隊中央病院及び防衛医科大学校病院は、感染症対応にかかる訓練を実施している。例えば、自衛隊中央病院は、定期的に、一類感染症感染者が発生したとの想定に基づき、感染症患者受入訓練を実施し、患者発生時の関係機関との連携要領の確立を図っている。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けた活動においても、本訓練の経験が活かされた。

また、自衛隊中央病院では2020年9月、大規模スポーツイベント開催中に発生した同時多発テロを想定し、陸自東部方面隊や陸自衛生学校のほか、世田谷区医師会、日本DMAT、警視庁や東京消防庁などの参加を得て、大量傷者受入訓練を実施した。このほか、同年11月には、感染症患者受入訓練を実施し、新型コロナウイルス感染症の流行下における新型インフルエンザ患者の受入れ要領を確認するなど、関係機関との連携強化や災害拠点病院に準じた医療機関としての能力向上を図っている。

参照II部4章2節1項(防衛関係費の概要)

動画アイコンQRコード動画:令和2年度大量傷者受入訓練
URL:https://youtu.be/dvXUYqruh-Y(別ウィンドウ)

4 第一種感染症指定医療機関とは、一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者の入院を担当させる医療機関として都道府県知事が指定した病院をいう。(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条)

5 エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条)