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第III部 わが国防衛の三つの柱(防衛の目標を達成するための手段)

2 「瀬取り」への対応

1 基本的考え方

北朝鮮が密輸によって国連安保理決議の制裁逃れを図っている可能性が指摘されている中、自衛隊はわが国周辺海域において、平素実施している警戒監視活動の一環として、国連安保理決議違反が疑われる船舶についての情報収集も実施している。

2 防衛省・自衛隊の対応

海自艦艇などが、北朝鮮籍タンカーと外国籍タンカーなどが東シナ海の公海上で接舷(横付け)している様子を、2018年以降、これまでの間に計24回確認し、関係省庁とその都度、情報共有を行った。

これらの船舶は、政府として総合的に判断した結果、国連安保理決議で禁止されている北朝鮮籍船舶との洋上での物資の積替え(「瀬取り」)を実施していたことが強く疑われるとの認識に至ったため、わが国として、国連安保理北朝鮮制裁委員会などに通報するとともに、関係国と情報共有を行ってきたほか、これらのタンカーの関係国などに対して情報提供を行い、対外公表を実施した。

こうした北朝鮮籍船舶との「瀬取り」を含む違法な海上活動に対し、近年、国際的な関心が高まってきており、米国はもとより、2018年4月以降、オーストラリア、カナダ、英国、ニュージーランド、フランス及びドイツが、東シナ海を含むわが国周辺海域に艦艇や航空機を派遣し、警戒監視活動を実施している。防衛省・自衛隊は、引き続き関係国と緊密に協力を行い国連安保理決議の実効性を確保していく。