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第I部 わが国を取り巻く安全保障環境

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第10節 その他の地域(中東・北アフリカを中心に)

1 全般

中東・アフリカ地域は古くから世界の文明、宗教、交易の中心地のひとつであり、また、アジアと欧州をつなぐ地政学上の要衝である。今日において特に中東地域は、世界における主要なエネルギーの供給源で、国際通商上の主要な航路があり、また、わが国にとっても原油輸入量の約9割をその地域に依存しているなど、中東地域の平和と安定は、わが国を含む国際社会の平和と繁栄にとって極めて重要である。

一方、中東・アフリカ地域は、20世紀を通じて紛争や動乱が絶えず、近年も湾岸地域や中東和平をめぐる情勢などで緊張の高まりがみられる。また、2011年初頭に起こったいわゆる「アラブの春」が一部の国において政権交代を促したが、その後の混乱により、約10年が経つ現在も、「アラブの春」を経験した一部の国では、内戦やテロ組織の活動が続いている。シリアやイエメンなど、長年にわたる内戦で疲弊した国々は深刻な人道危機に陥っており、新型コロナウイルスの蔓延もあいまって、国内状況はさらに悪化している。

一方で、2020年、イスラエルと一部のアラブ諸国との間で国交正常化が実現したほか、翌年には、サウジアラビア、UAE、エジプト、バーレーンなどが2017年以降国交を断絶していたカタールと関係を回復するなど、外交的な進展がみられた。