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第I部 わが国を取り巻く安全保障環境

4 地域内外における協力

ASEAN各国は、地域の多国間安全保障の枠組みとしてASEANの活用を図っており、安全保障問題に関する対話の場であるASEAN地域フォーラム(ARF)やASEAN国防相会議(ADMM)などを開催しているほか、軍事人道支援・災害救援机上演習(AHR:ASEAN Militaries' Humanitarian Assistance and Disaster Relief Table-Top Exercise)を行うなど、地域の安全保障環境の向上や信頼醸成に努めてきた。一方、ASEANは域外国との関係も重視し、ADMMにわが国を含む域外8か国を加えた拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)を開催するとともに、ADMMプラスの枠組みで人道支援・災害救援演習などを実施している。米国との間では、2019年9月、初となる海上共同演習「AUMX(ASEAN-U.S. Maritime Exercise)」を実施し、中国との間では、2018年8月に海事机上演習、同年10月に海上演習をそれぞれ初めて実施した。これに関連して、中国は、「南シナ海に関する行動規範(COC:Code of the Conduct of Parties in the South China Sea)」の策定協議で、中国とASEANの合同演習を定期的に行うことや、関係国間の事前合意又は通知がない限り、関係国は域外国と合同演習を行わないことをCOCに盛り込むよう提案したと報じられた。

2019年6月、ASEANは首脳会議において「インド太平洋に関するASEANアウトルック」(AOIP:ASEAN Outlook on the Indo-Pacific)を公表し、変動するアジア太平洋及びインド洋地域においてASEANの中心性、開放性、透明性などを基礎とし、地域の平和、安定、繁栄の実現を促進する考えを表明している。2020年4月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するASEAN+3(日中韓)特別首脳会議がオンライン形式で開催されたほか、その後のASEAN首脳会議やADMMなどにおいても新型コロナウイルス感染症への対応について協議された。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するASEAN+3(日中韓)特別首脳会議【ASEAN】

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する
ASEAN+3(日中韓)特別首脳会議【ASEAN】