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第III部 わが国防衛の三つの柱(防衛の目標を達成するための手段)

➌ 自衛隊病院などにおける取組

自衛隊病院や防衛医科大学校病院においては、20(令和2)年2月1日から新型コロナウイルス患者を受入れている。自衛隊中央病院及び防衛医科大学校病院は、各々東京都、埼玉県から第一種感染症指定医療機関(厚生労働大臣の定める基準に適合し、第一類感染症に対応できる陰圧室等を兼ね備えた病床を各々2床保有)に指定されており、常時、感染症患者を受入れられる態勢を整えていたが、患者数の増加に対応し患者の受入れを一般病床まで拡大した。また、自衛隊札幌病院などの地区病院においても、地元自治体の要望を受け、患者の受入れを開始した。特に「ダイヤモンド・プリンセス号」における感染者を受入れた自衛隊中央病院においては、患者104名の症状に基づく分析結果を短期間のうちにとりまとめ、20(令和2)年3月19日に発表した。これまでに、自衛隊病院及び防衛医科大学校病院において、430名の新型コロナウイルス感染症患者を受入れた(5月31日現在)。

さらに、自衛隊中央病院及び防衛医科大学校病院は、富士フイルム富山化学株式会社が開発した「アビガン錠」の新型コロナウイルス感染症に関する治験を開始した。防衛省においては、20(令和2)年3月から、未承認薬の人道的な使用の枠組みでアビガン錠による治療経験を積むとともに、アビガン錠が新型コロナウイルス感染症の治療薬として正式に承認されるために必要となる治験による有効性の確認のプロセスにも参加した。

防衛省・自衛隊は、新型コロナウイルス感染症の治療に取り組むことにとどまらず、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬の開発にも協力することを通じて、新型コロナウイルス感染症との闘いにおいて、積極的に役割を果たした。