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令和2年版防衛白書の刊行に寄せて

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令和2年版防衛白書を手に取っていただき、誠にありがとうございます。

防衛白書は、今からちょうど50年前にあたる1970(昭和45)年、自衛隊に対する風当たりがまだ厳しい時代において、中曽根康弘防衛庁長官(当時)の『国の防衛には、何よりも国民の理解と積極的な支持、協力が不可欠である』という強い信念のもと、創刊されました。

その後、国際情勢が劇的に変化し、わが国を取り巻く安全保障環境は急激に不確実性を増し、防衛省・自衛隊が担う役割や活動の場面も宇宙・サイバー・電磁波まで広がりました。半世紀前には想像すらできなかった大きな変化が起こってきたわけですが、どのような時代においても、国民の平和な暮らし、そして日本の領土・領海・領空を守り抜くためには、多くの国民のご理解とご支持が必要なことに変わりはありません。50周年を迎えたこの防衛白書も、中曽根長官の信念が受け継がれているものと思います。皆さまに読んでいただけることを、大変嬉しく思います。

この令和2年版防衛白書ですが、わかりやすく、使いやすい白書を追求しましたので、その特色についてご紹介させていただきます。

まず、北朝鮮による度重なる弾道ミサイル発射、中国による一方的な現状変更の試みの執拗な継続、新型コロナウイルス感染症に対する防衛省・自衛隊の総力を挙げた活動、大規模な自然災害に対する災害派遣活動、中東地域における日本関係船舶の安全確保のための情報収集活動の開始、米国をはじめとする諸外国との間における防衛協力・交流など、皆さまにご理解いただきたい重要な国際情勢や防衛省・自衛隊の活動については、全体像を俯瞰できるよう、巻頭の特集「防衛この1年」やダイジェストにまとめました。

また、今回の白書においては、皆さまに防衛省・自衛隊をより身近に感じていただきたいとの思いから、強い使命感と共に国内外で様々な活動に従事する自衛隊員の生の声をお伝えするために、これまでよりも多い約50名の隊員を紹介させていただきました。

これに加えて、新たな試みとして、本文に関連した動画についても50本以上用意し、本文内にQRコードを配置いたしました。スマートフォン等を用いれば様々な動画を簡単に再生できますので、本文と併せてご覧ください。

白書の記述対象期間についても見直しました。これまでの防衛白書は、おおむね6月前後までの約1年間を記述対象としていたところですが、それを3月末までの約1年間、つまり年度を区切りとした記述対象期間に変更いたしました。これにより、令和2年版防衛白書は令和元年度の内容が中心となりましたが、一部、新型コロナウイルス関連などの重要な事象については、本年6月中旬の動きまで盛り込んでいます。

さらに、防衛白書は、防衛省のホームページからも閲覧が可能ですが、今回から新たに、巻末の資料編については編集可能なデータを掲載いたしました。ぜひ、大いに役立てていただければと思います。

このように、令和2年版防衛白書は、安全保障の専門家から一般の方々まで、より多くの方々にお楽しみいただきつつ、ご満足いただける内容になっていると考えております。お気軽にご活用いただき、わが国の安全保障と防衛省・自衛隊の活動についてご理解を深めていただくことを、心より願っております。