株式会社Synspective 代表取締役CEO 新井 元行(あらい もとゆき)
2018年に設立されたSynspectiveは、「次世代の人々が地球を理解し、レジリエントな未来を実現するための新たなインフラをつくる」というミッションを掲げ、自社による小型SAR(合成開口レーダー)衛星の開発・運用からデータ解析によるソリューション提供までを一貫して行うスタートアップです。天候や時間に左右されないSARの独自性を活かし、単なる衛星データの提供に留まらず、顧客の意思決定を直接支援する実用的なインテリジェンスへと変換して提供することが事業の核心です。2028年以降に30機のSAR衛星コンステレーション構築を目指し、エネルギーや通信と並ぶ必要不可欠なインフラへと事業を進めています。
現代の国際社会において、宇宙利用に関する議論は、国家が信頼できる宇宙データへ主体的かつ安定的にアクセスできる能力の確保へと関心が移行しています。これを政府が独力で担うのではなく、政府が戦略を維持しつつ、民間企業が速度と革新性を提供するという官民の新たなパートナーシップが、今や世界標準となりつつあります。これは、政府が戦略的なコントロールを維持しながら、民間が持つ開発の速度とイノベーションを最大限に活用する、合理的で新しい官民連携の形です。この潮流のなか、Synspectiveの技術が国の安全保障というレジリエンスに貢献することは、事業の必然的な発展と考えています。令和8年2月に締結された防衛省との衛星コンステレーション構築事業の契約は、長期ビジョンに大きな信頼性と実現可能性を与え、この新たなパートナーシップを体現する極めて重要な第一歩となりました。
防衛産業への参入を目指す企業にとって、自社の技術が安全保障上の具体的な要求にいかに応えられるかを明確に示すことが不可欠です。日本政府も宇宙戦略基金を始め、この分野への投資を国家戦略として加速させています。この挑戦は、自社を国家レベルの信頼されるパートナーへと高め、グローバル市場での競争力を確立する絶好の機会です。また、国家の安全保障という極めて重要な課題に挑戦できる機会は、世界中から最高の人材を惹きつける魅力も持っています。
宇宙からの新たな知見をインテリジェンスとして提供するグローバル企業として、日本の安全保障と宇宙空間の安定的利用に貢献し、次世代のためのレジリエントな未来の実現に向けた挑戦を続けていく所存です。

SARコンステレーション(イメージ)