株式会社インフォステラ 代表取締役CEO 倉原 直美(くらはら なおみ)
株式会社インフォステラは、衛星と通信するための地上の通信設備(以下、地上局)をクラウドで統合利用するプラットフォーム「StellarStation」を開発・運用しています。StellarStationを使うことで、異なる事業者が保有する、それぞれ仕様とインタフェースの異なる地上局の利用予約、アンテナ制御、通信リンク確立、データ転送などの運用が抽象化され、物理設備に依存しない柔軟な運用を実現することができます。
近年、宇宙領域においては、衛星の増加や軌道の混雑化に伴い宇宙領域把握(SDA:Space Domain Awareness)能力の強化が不可欠となっています。SDAは宇宙物体の位置、軌道などの把握に加え、人工衛星などの運用・利用状況、その意図や能力を把握することを指します。当社は、「スタートアップ技術提案評価方式」により防衛省と契約を締結し、民間で培ってきたクラウド型地上局統合技術をSDAへ応用して異常兆候の検出や通信環境の変化を把握する取組を進めています。
防衛分野に参入して感じたのは、民生技術の中には防衛分野に活用できそうなものが想像以上にあるのかもしれない、ということです。防衛分野で生まれた最先端技術が民生分野に転用される例もありますが、その逆も多くあり得そうだと感じました。スタートアップ企業が防衛分野に参入するにあたり重要なのは、自社のコア技術がどのように安全保障上の課題解決に資するか、まず言語化してみることだと思います。当社の場合も言語化したものを防衛省へ説明し対話をしてみると、想定していたことが合っていたのか違っていたのかがわかり、提案をより良いものにしていくことができました。実際の装備品としての調達につなげていくにはセキュリティやコンプライアンス対応などチャレンジもありますが、民間で培ったスピードや柔軟性は、防衛分野においても大きな強みとなり得るとも思います。安全保障と産業競争力の双方を支える新たなプレイヤーとして、スタートアップ企業が果たす役割は今後さらに拡大していくと考えています。

衛星との通信に用いられるアンテナ