近年、重要インフラの機能停止や破壊などを目的としたサイバー攻撃が平素からなされているなか、わが国においても国家を背景とするサイバー攻撃が現実に行われており、わが国にとって現に直面する安全保障上の脅威となっています。ロシアによるウクライナ侵略に際して、地上侵攻に先立って、重要インフラや衛星通信網を標的とした多数のサイバー攻撃が行われたことを踏まえると、その後の武力攻撃との連動を企図して、「有事以前」に重要インフラなどに対してサイバー攻撃が実施されることは十分に考えられます。これら「有事以前」におけるサイバー攻撃から、自衛隊の戦力発揮基盤である指揮統制・情報システムや、活動基盤となる重要インフラを防護することができなければ、自衛隊は「有事」における任務保証を確保することができません。
このように、サイバー空間における脅威が深刻化するなか、2025年5月、国会において自衛隊法の改正を含むサイバー対処能力強化法および同整備法が成立し、自衛隊の指揮統制・情報システム、国や基幹インフラなどに対する安全保障上の懸念を生じさせる一定の重大なサイバー攻撃に対して、被害を未然に防止する「アクセス・無害化措置」を実施できる法的権限が自衛隊に付与されました。これにより、平素から武力攻撃に至らないサイバー攻撃に対処することが可能となったことは、「有事」における自衛隊の任務保証にも大きく資するものであり、わが国全体のサイバー対処能力を向上させるための画期的な一歩です。また、防衛省・自衛隊は、サイバー対処能力強化法に規定される「官民連携の強化」や「通信情報の利用」を含む政府全体における取組に寄与することで、わが国全体のサイバーセキュリティの確保に貢献します。これらの取組は、国民の経済活動を守ることにもつながります。
防衛省・自衛隊は、引き続き、いかなる事態にあっても任務を確実に遂行できるように、能動的サイバー防御における新たな任務を担う自衛隊サイバー防衛隊の体制拡充をはじめ、巧妙化・高度化するサイバー脅威に切れ目なく対応できるためのサイバー防衛能力の強化を進めてまいります。

小泉防衛大臣と自衛隊サイバー防衛隊司令