わが国では、1969年の国会決議により、宇宙利用を平和目的で限定することとされていましたが、2008年に宇宙基本法が成立し、安全保障に資する宇宙開発利用が可能となったことをきっかけに、防衛省・自衛隊の宇宙利用が本格的に始まりました。
宇宙は、今やオールドメインで行う作戦の要です。例えば、衛星による目標情報の把握や衛星通信の活用により、従来では考えられなかったスピードで作戦サイクルを回すことができるようになります。2022年に策定した国家防衛戦略において、領域横断作戦を遂行する上で、「宇宙領域」は死活的に重要であると位置づけられ、以降、防衛省は宇宙領域における防衛能力を着実に強化してきました。
かつては、宇宙開発は国が主導していましたが、現在は、民間企業における宇宙技術の発展はめざましく、防衛分野でも積極的に活用していかなければなりません。このためには、宇宙領域について、防衛省として何をしていくべきかを包括的かつ具体的に示し、民間企業の予見可能性を高めることが必要ですが、これまで政府として安全保障にかかる宇宙政策全体の方向性を示した文書(「宇宙安全保障構想」)はあったものの、防衛省・自衛隊としての宇宙領域における防衛能力強化の方向性を示す文書はありませんでした。
これらを背景に、2025年7月、「宇宙領域防衛指針」を策定しました。防衛分野が先導して民間の先進的なサービスや技術に投資を行い、それが宇宙領域における防衛能力の更なる強化につながるとともに、民間の技術の更なる進展に寄与するという「防衛と経済の好循環」を推進していきます。