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<解説>トランプ政権における米国の本土防衛に関する取組

第2期トランプ政権は、2025年12月に国家安全保障戦略(NSS)を、また、2026年1月に国家防衛戦略(NDS)を公表しました。トランプ大統領はこれまで、「アメリカ・ファースト」や「力による平和」、本土防衛の重要性、またインド太平洋重視と防衛にかかる負担共有、防衛産業基盤の強化などを発信してきました。これらの文書では、こうした第2期トランプ政権の考えが改めて明確に記述されており、今後の米国政府の防衛政策を理解する上で重要な指針となると考えられます。

NSSおよびNDSでは、米国の国益に直結するアプローチとして、本土防衛を第一に掲げています。両文書は米国本土への主要な脅威として、不法移民、麻薬の流入に加え、核、各種の通常戦力、宇宙・サイバー・電磁波などを挙げ、そのうえで、本土防衛と中国の抑止を優先するとしています。ここでは、本土防衛に関する取組のうち、米国が特に重視し、わが国としてもその動向を注視していくべきものとして、「米国のためのゴールデン・ドーム(GDA:Golden Dome for America)」構想および核戦力の近代化について概観します。

GDAについては、2025年1月に大統領令で構想が発表されました。弾道ミサイルのみならず、極超音速ミサイルやその他の経空脅威を米国が直面する最も壊滅的な脅威とし、宇宙に配備されるセンサーや迎撃手段などを含め既存のシステムと統合し、いかなるミサイルでも撃墜できる多層的・多領域のシステムを構築するとしています。このシステムを、トランプ大統領の任期中である3年以内に運用可能とすることで、「敵対勢力が先進的な長距離打撃力を開発しようとも、米国本土が脅威にさらされることはなくなる」としました。

GDAの構想を公表するトランプ大統領【EPA=時事】

GDAの構想を公表するトランプ大統領【EPA=時事】

GDA構想では、米国本土以外へのミサイルの脅威に対しても、同盟国および前方展開する米軍の防衛を支援し、同盟国などとのミサイル防衛協力を継続するとしています。現在、わが国と米国との間では、統合防空ミサイル防衛分野において、極超音速ミサイル迎撃のためのGPI(Glide Phase Interceptor)の共同開発などが進められています。このGPIもGDA構想の一部に位置づけられているように、米国のGDA構想はわが国の統合防空ミサイル防衛にも関わってくるものです。

また、核戦力の近代化については、米国はこれまで「核の3本柱」として核弾頭を搭載可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM:Intercontinental Ballistic Missile)、戦略爆撃機、戦略原子力潜水艦の3種類の装備を維持してきましたが、1950年代に採用されたB-52爆撃機、運用開始から50年以上に達するミニットマンIIIICBMといった装備について、以前から改修・延命措置が講じられてきました。さらに、これらの「核の3本柱」を構成する装備については、いずれも近代化の取組として、代替となる新型装備の研究開発が進められています。こうした米国の核戦力は、同盟国に核を含む脅威への抑止力を提供する拡大抑止において不可欠な役割を果たすものであり、米国の核戦力近代化の動向は、わが国の防衛にも重要な関連を有しています。

このように、NSSおよびNDSで第一に掲げられている米国の本土防衛は、各種の取組を通じ、地域を超えてわが国の防衛にも大きく関わります。わが国の平和と安全、周辺地域の平和と安定を確保するにあたって、米国の軍事力による抑止と日米同盟は基盤となるものです。今後わが国が主体的に防衛力の抜本的強化に取り組み、日米同盟の抑止力、対処力をさらに強化していくにあたっては、本土防衛を含む米国の安全保障政策への理解をさらに深めていくことが重要です。