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<解説>わが国周辺におけるミサイル脅威の高まり

わが国周辺には核兵器を含む大規模な軍事力を有する国や地域が複数存在し、核兵器の運搬手段ともなりうるミサイル戦力が質・量ともに著しく増強されており、わが国へのミサイル攻撃が現実の脅威となっています。

わが国周辺の国や地域は、既に数千発以上にもおよぶ規模で他国への攻撃が可能なミサイルを保有しており、さらにその保有数を増強させていると指摘されています。例えば、中国は、射程300km以上のミサイルを、地上発射型のみで、現在3,000発以上保有しており、また、対地攻撃用巡航ミサイルを現在1,000発、2035年には5,000発を保有すると指摘されています。北朝鮮は、現在、弾道ミサイルを合計700発から1,000発保有しているとされています。そして、ロシアは、大陸間弾道ミサイル(ICBM:Intercontinental Ballistic Missile)約350発を含めた各種ミサイルを保有しており、ウクライナ侵略では約13,000発を超えるミサイル攻撃を実施したとされています。

さらに、ミサイル戦力の増強は、極超音速兵器の開発、精密打撃能力の向上、発射プラットフォームの増加・多様化などの形でもみられます。特に極超音速兵器は、通常の弾道ミサイルよりも低い高度で飛翔することから探知が遅くなるほか、大きく機動することから軌道予測や着弾位置の予想が難しく、迎撃がより困難になるとされています。

例えば、中国は、極超音速滑空兵器(HGV:Hypersonic Glide Vehicle)を搭載可能な弾道ミサイルとして、準中距離弾道ミサイルとされるDF-17の運用を2020年に開始したと指摘されているほか、長射程の弾道ミサイルとされるDF-27も配備している可能性があると指摘されています。北朝鮮は、「極超音速ミサイル」と称するミサイルの発射を繰り返しています。ロシアもまた、HGV「アヴァンガルド」や極超音速巡航ミサイル(HCM:Hypersonic Cruise Missile)「ツィルコン」の配備を進めており、「ツィルコン」についてはウクライナに対して使用されています。

防衛省はミサイル防衛能力を質・量ともに不断に強化していくこととしていますが、ミサイル防衛という手段だけに依拠し続けた場合、今後、既存のミサイル防衛網だけで完全に対応することは難しくなるものと考えられます。このため、相手からミサイルによる攻撃がなされた場合、ミサイル防衛網により、飛来するミサイルを防ぎつつも、他に手段がないと認められる場合におけるやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として、反撃能力により相手からのさらなる武力攻撃を防ぐこととしています。こうした取組により、わが国の抑止力・対処力を向上させることで、武力攻撃の発生そのものを抑止していく考えです。