政府がNISAやiDeCoの充実など資産運用立国の取組を強化するなかで、国全体として中立的な立場から金融リテラシーの向上に向けた金融経済教育を行い、家計の安定的な資産形成を支援する取組を推進している。
これらを背景として、隊員などの資産や生活を守る観点から、投資・投機・ギャンブル・借財についての理解を深めることを目的として、ライフステージにあわせた生涯生活設計セミナーを実施し、入隊後の早い段階から継続的に生涯生活設計に関する知識を付与し、生涯生活設計作成の動機付けを図っている。
依然として、職員の尊い命が自殺により失われていることは、ご家族にとって大変痛ましいことであり、また、組織にとっても多大な損失である。
防衛省は、2022年の防衛省自殺事故防止対策本部において、職員一人ひとりの心の健康の保持増進などをはかり、職員の自殺、精神疾患の発症などを防止することで、自衛隊の精強性の保持に寄与するため、「防衛省のメンタルヘルスに関する基本方針」を策定した。
この指針に基づき、全職員を対象としたメンタルヘルスチェックやカウンセリングの利用啓発などによる職員の意識改革、ワークライフバランスに関する施策の推進などによる職場環境の改善を図っている。また、有資格者のカウンセラーの確保、上司とカウンセラー、医療機関との連携や相談先の多様化といったサポート体制の強化などに取り組んでいる。
参照図表V-2-2-11(防衛省職員の自殺者数の推移)

精神疾患の一つであるギャンブル等依存症は、金銭トラブルなどにより周囲の人間関係にも深刻な影響を及ぼすこともあることから、ギャンブル等依存症対策基本法に基づくギャンブル等依存症対策推進基本計画に沿って、政府がギャンブル等依存症に対する対策を総合的かつ計画的に推進している。
防衛省においては、ギャンブル等依存症に対する隊員などの理解を深めるとともに、職場においてギャンブル等依存症が疑われる隊員などがいる場合に適切に対処するための取組を推進している。
平素からの取組として、部隊と隊員ご家族との交流や隊員ご家族同士の交流などのほか、大規模災害発生時などの取組として、隊員ご家族の安否確認、生活支援について協力を受けるなど、関係部外団体などと連携した家族支援態勢の整備についても推進している。2025年3月、防衛省・自衛隊と自衛隊家族会18、隊友会19の間で全隊員などを対象とする家族支援の協力に関する協定を締結した。
また、長期行動を予定する艦艇や海外に派遣される部隊には、隊員とご家族が直接連絡を取れる通信環境を整備するとともに、ご家族から海外に派遣中の隊員に向けた慰問品の追送支援、ご家族に対する説明会の開催や相談窓口(家族支援センター)の開設、隊員ご家族向けホームページの設置など、隊員ご家族に対する各種支援施策を実施している。
1950年の警察予備隊創設以降、自衛隊員は、旺盛な責任感をもって、危険を顧みず、わが国の平和と独立を守る崇高な任務の完遂に努めてきた。そのなかで、任務の遂行中に、不幸にしてその職に殉じた隊員は2,100人を超えている。
防衛省・自衛隊では、殉職隊員が所属した各部隊において、殉職隊員への哀悼の意を表するため、葬送式を行うとともに、殉職隊員の功績を永久に顕彰し、深甚(しんじん)なる敬意と哀悼の意を捧げるため、内閣総理大臣参列のもと行われる自衛隊殉職隊員追悼式など様々な形で追悼を行っている。令和7年度自衛隊殉職隊員追悼式では、30柱(陸自13柱、海自10柱、空自6柱、機関等1柱)を顕彰している20。

令和7年度殉職隊員追悼式における内閣総理大臣による献花の様子(2025年10月)
18 自衛隊員の家族らによって構成され、自衛隊を協力・支援する公益社団法人
19 自衛隊OBを中心に構成され、「国民と自衛隊のかけ橋」となることを目的とする公益社団法人
20 自衛隊殉職者慰霊碑は、1962年に市ヶ谷に建てられ、1998年、同地区に点在していた記念碑などを移設し、メモリアルゾーンとして整理された。防衛省では毎年、防衛大臣主催により、殉職隊員の御遺族をはじめ、内閣総理大臣の参列のもと、自衛隊殉職隊員追悼式を行っている。また、メモリアルゾーンにある自衛隊殉職者慰霊碑には、殉職した隊員の氏名などを記した銘板が納められており、国防大臣などの外国要人が防衛省を訪問した際、献花が行われ、殉職隊員に対して敬意と哀悼の意が表されている。このほか、自衛隊の各駐屯地や基地において、それぞれ追悼式などを行っている。