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<解説>次期戦闘機の日英伊共同開発

一国の防衛にとって「航空優勢」の確保は諸作戦を実施するうえでの大前提であり、将来の航空優勢の確保を巡って各国とも、国際共同開発を含め、優れた戦闘機の開発や調達にしのぎをけずっています。

このため、防衛省は、2020年から国際協力を視野にわが国主導の次期戦闘機開発に着手するとともに、英国、イタリアとの間で共同開発の可能性を追求してきました。

次期戦闘機はこれまでの戦闘機にはない高度なネットワーク戦闘を実現できる、いわゆる第5世代戦闘機を超える最先端の技術の結晶です。その共同開発は、開発コストの分担といったコスト面の効果に加え、共同開発国との安全保障・防衛協力の抜本的な強化をもたらすものです。また、開発後、数十年に及ぶ戦闘機の運用期間を考えれば、今後、何世代にもわたる協力を約束するものとなります。さらに、防衛分野にとどまらず、国際的に活躍する次世代エンジニアの育成や社会全般への幅広い波及効果も期待される事業ともいえます。

このような意義を踏まえれば、昨年末の日英伊首脳による共同声明において次期戦闘機の共同開発事業がGCAP(Global Combat Air Programme)と名付けられたように、わが国と価値観を同じくする英伊との戦闘機の共同開発は、インド太平洋と欧州を結ぶ世界の安定と繁栄の礎となる事業といっても過言ではありません。

GCAPの模型

GCAPの模型

共同開発事業が開始されてから半年以上が過ぎますが、既に、本年3月に史上初の日英伊防衛大臣会談が東京で実施されたことに加え、3か国の政府や企業の技術者、オペレーター達が、東京や小牧で、ロンドンやウォートンで、ローマやトリノで、熱意を持って、将来の改修の自由の確保や国内防衛生産・技術基盤の一層の高度化を視野に、2035年までに次期戦闘機を開発するという目標に向けた議論を行っています。

日英伊防衛相会談(企業トップと共に)

日英伊防衛相会談
(企業トップと共に)

F-2の退役開始が見込まれる2035年に初号機を配備するというスケジュールは、戦闘機開発のスケジュールとしては決して長いものではなく、この間に3か国で様々な課題を乗り越えていくことが必要となるでしょう。防衛省としては、いかなる課題があろうとも「飛行機は向かい風に向かって飛ぶ」という言葉を胸に、この一大事業の成功に向け官民のオールジャパンの体制で取り組んでいきたいと考えています。

動画アイコンQRコード資料:次期戦闘機の開発について
URL:https://www.mod.go.jp/j/policy/defense/nextfighter/index.html