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第IV部 共通基盤などの強化

2 防衛研究所における取組

防衛研究所は、国立の安全保障に関する学術研究・教育機関という特色を活かし、主に安全保障及び戦史に関し政策指向の調査研究を行っている。また、自衛隊の高級幹部などの育成のための国防大学レベルの教育機関としての機能を果たしている。加えて、公文書管理法に基づく歴史資料等保有施設として、多数の戦史史料の管理及び公開を行っており、わが国最大の戦史研究センターとしての役割も担っている。

さらに、国際交流も重視しており、各国との信頼関係の増進による安全保障への貢献と調査研究及び教育の質的向上を主目的に、諸外国の国防大学・安全保障研究機関などとの研究交流などを行っている。防衛研究所創立70周年を迎えた2022年は、米中露を主体とした大国間競争の様相をテーマとして「安全保障国際シンポジウム」を開催したほか、戦争と情報をテーマとして「戦争史研究国際フォーラム」を開催するとともに、政策シミュレーション国際会議「コネクションズ・ジャパン」を初めて開催した。この会議は、将来の情勢見積りや政策の企画立案に際してのテスト手段などとして世界的に活用されている「政策シミュレーション」について、最先端の知見や国内外の取組を共有する機会として開催したものであり、今後も政策課題への対応や知的基盤強化に資するよう引き続き開催していくこととしている。

防衛研究所主催の国際会議「コネクションズ・ジャパン2022」

防衛研究所主催の国際会議「コネクションズ・ジャパン2022」

加えて、主な研究成果をホームページ上で公開するとともに、これまで毎年刊行してきた『中国安全保障レポート』や『安全保障戦略研究』を含む、各種刊行物を発行するなど、積極的に情報発信を行っている。このほか、防衛研究所の研究者は研究成果の一端を著書や論文、論考として多数発表しており、それらの中には優れた研究業績に与えられる賞を受賞したものもある。