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第II部 わが国の安全保障・防衛政策

4 自衛隊の体制など

計画の方針に基づき、各自衛隊の体制などの主たる内容は次のとおりである。

1 統合運用体制

各自衛隊の統合運用の実効性の強化に向けて、平素から有事まであらゆる段階においてシームレスに領域横断作戦を実現できる体制を構築するため、常設の統合司令部をすみやかに創設する。また、共同の部隊を含め、各自衛隊の体制のあり方を検討する。

サイバー領域における更なる能力向上のため、防衛省・自衛隊のシステム・ネットワークを常時継続的に監視するとともに、わが国へのサイバー攻撃に際して相手方のサイバー空間の利用を妨げる能力など、サイバー防衛能力を抜本的に強化しうるよう、共同の部隊としてサイバー防衛部隊を保持する。

また、南西地域への機動展開能力を向上させるため、共同の部隊として海上輸送部隊を新編する。

2 陸上自衛隊

南西地域における防衛体制を強化するため、沖縄を担任する第15旅団に1個連隊増勢し、師団に改編する。また、スタンド・オフ防衛能力を強化するため、12式地対艦誘導弾能力向上型を装備した地対艦ミサイル部隊を保持するとともに、島嶼防衛用高速滑空弾を装備した部隊、島嶼防衛用高速滑空弾(能力向上型)及び極超音速誘導弾を装備した長射程誘導弾部隊を新編する。これに加え、スタンド・オフ防衛能力、サイバー領域などにおける能力の強化に必要な増員所要を確保するため、即応予備自衛官を主体とする部隊を廃止し、同部隊所属の常備自衛官を増員所要に充てる。また、即応予備自衛官については、補充要員として管理する。

3 海上自衛隊

常時継続的かつ重層的な情報収集・警戒監視態勢の保持や、海上交通の安全確保、各国との安全保障協力などのための海外展開の実施など、増加する活動量に対応できるように、今後導入する哨戒艦と護衛艦や掃海艦艇を一元的に練度管理し運用するため、既存の護衛隊群や掃海隊群を改編し水上艦艇部隊とする。加えて、主に弾道ミサイル防衛に従事するイージス・システム搭載艦を整備する。

また、情報本部や陸自・空自の情報部隊と連携して情報戦にかかる能力を有機的に融合するため、既存の部隊編成を見直したうえで、海自情報戦基幹部隊を新編する。

4 航空自衛隊

航空防衛力を質量ともに強化するため、更なる戦闘機の増勢(無人機による代替も検討)とともに、粘り強く戦闘を継続するため機動分散運用を行う体制を構築する。

また、将官を指揮官とする宇宙領域専門部隊を新編するなどにより、宇宙領域の機能を強化する。宇宙領域の重要性の高まりと、宇宙作戦能力の質的・量的強化にかんがみ、航空自衛隊において、宇宙作戦が今後航空作戦と並ぶ主要な任務として位置付けられることから、航空自衛隊を航空宇宙自衛隊とする。

陸・海・空自における防衛力の抜本的強化(左から12式地対艦誘導弾能力向上型(イメージ)、護衛艦FFM、F-35A)

陸・海・空自における防衛力の抜本的強化(左から12式地対艦誘導弾能力向上型(イメージ)、護衛艦FFM、F-35A)

5 組織定員の最適化

2027年度末の常備自衛官定数については、2022年度末の水準を目途とし、陸自、海自及び空自それぞれの常備自衛官定数は組織定員の最適化を図るため、適宜見直しを実施することとする。また、統合運用体制の強化に必要な定数を各自衛隊から振り替えるとともに、海上自衛隊及び航空自衛隊の増員所要に対応するため、必要な定数を陸上自衛隊から振り替える。このため、おおむね2,000名の陸上自衛隊の常備自衛官定数を共同の部隊、海上自衛隊及び航空自衛隊にそれぞれ振り替える。