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第II部 わが国の安全保障・防衛政策

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9 防衛力の中核である自衛隊員の能力を発揮するための基盤の強化

1 人的基盤の強化

防衛力の中核である自衛隊員について、必要な人員を確保し、全ての隊員が遺憾なく能力を発揮できる組織環境を整備する必要がある。そのため、生活・勤務環境の整備、処遇の向上、女性隊員がさらに活躍できる環境醸成などに引き続き取り組む。また、ハラスメントは人の組織である自衛隊の根幹を揺るがすものであることを各自衛隊員が改めて認識し、ハラスメントを一切許容しない組織環境を構築する。

採用については、質の高い人材を必要数確保するため、募集能力の一層の強化を図り、民間人材も含め専門的な知識・技能を持つ人材を確保する。特に、艦艇乗組員やレーダーサイトの警戒監視要員など、厳しい環境で勤務する隊員やサイバー領域などの人材に関する取組を強化する。また、防衛力の抜本的強化やそれに伴う政策の企画立案、部隊における運用支援などのために必要となる事務官・技官などを確保し、さらに必要な制度の検討を行うなど、人的基盤の強化に取り組む。

このように、自衛隊員が育児、出産、介護など各種のライフイベントを迎える中にあっても、遺憾なくその能力を発揮できる組織環境づくりにも配慮し、自衛隊員としてのライフサイクル全般に着目した大胆な施策を講じる。

2 衛生機能の変革

自衛隊衛生については、これまで重視してきた自衛隊員の壮健性の維持から、有事において隊員の生命・身体を救う組織へ変革する。このため、国内外における多様な任務に対応しうるよう統合衛生体制・態勢を構築する。また、南西地域の医療拠点の整備など第一線から後送先までのシームレスな医療・後送態勢を確立するとともに、外傷医療に不可欠な血液・酸素を含む衛生資器材を確保する。さらに、防衛医科大学校も含め、自衛隊衛生の総力を結集できる態勢を構築し、戦傷医療対処能力の向上を図る。

患者搬送訓練の様子

患者搬送訓練の様子