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第I部 わが国を取り巻く安全保障環境

第5節 ロシア

1 全般

これまで「強い国家」や「影響力ある大国」を掲げ、ロシアの復活を追求してきたプーチン大統領は、2022年2月24日、ウクライナに対する全面的な侵略を開始した。ロシアによるウクライナ侵略は、ウクライナの主権及び領土一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国際法と国連憲章の深刻な違反であるとともに、国際秩序の根幹を揺るがすものであり、欧州方面における防衛上の最も重大かつ直接の脅威と受け止められている。

また、ロシアは、今後も戦略的核兵器の近代化に取り組む姿勢を明確にするとともに、ウクライナ侵略を継続する中にあって、核兵器による威嚇とも取れる言動を繰り返している。

わが国周辺のロシア軍についても、近年、新型装備の導入や活動の活発化の傾向が認められるほか、中国軍と爆撃機の共同飛行や艦艇の共同航行を実施し、ロシア国内の戦略コマンド(軍管区)級の年次大規模演習に中国軍部隊が参加するなど、中国との戦略的な連携を強化する動きもみられる。わが国を含むインド太平洋地域におけるロシアの軍事的動向などは、こうした中国との戦略的連携と相まって安全保障上の強い懸念であり、ウクライナ侵略における動きも踏まえつつ、注視していく必要がある。

2022年9月6日、ロシア軍の年次戦略指揮参謀部演習「ヴォストーク2022」を視察するプーチン大統領(中央)。ショイグ国防相(左)及びゲラシモフ参謀総長(右)が随行【ロシア大統領府】

2022年9月6日、ロシア軍の年次戦略指揮参謀部演習「ヴォストーク2022」を視察するプーチン大統領(中央)。ショイグ国防相(左)及びゲラシモフ参謀総長(右)が随行【ロシア大統領府】

参照2章(ロシアによる侵略とウクライナによる防衛)