

盛夏のみぎり、南西航空方面隊のホームページをご覧いただいている皆様、いかがお過ごしでしょうか。沖縄も梅雨が明け、見上げる空の青さに沖縄らしい夏の輝きを感じていらっしゃることと思います。
4月6日、宮古島で陸自UH-60JAヘリコプターの墜落事故が発生しました。その際、私は第4救難区域指揮官として陸海空自衛隊、海上保安庁の支援を得て捜索救難活動を実施しましたが、残念ながら
要救助者全員の発見には至りませんでした。6月18日、熊本県の健軍駐屯地にて執り行われた葬送式に参列させて頂きましたが、改めてこの場を借りて、志半ばで職に殉じられた10柱の御霊のご冥福をお祈り
させて頂きます。
さて、令和5年度の1/四半期の南西域の安全保障環境を見てみますと、4月上旬から下旬にかけて中国のクズネツォフ級空母「山東」が西太平洋で活動し、延べ600回以上の艦載機の発着艦を実施しました。
同空母の西太平洋での活動は初確認です。中国の無人機の活動範囲は拡大していますが、4月27日に与那国島と台湾の間における飛行を初確認しました。また、6月6日と7日には中国とロシアの爆撃機による
東シナ海と太平洋における共同飛行が実施されました。2日連続した共同飛行も初確認でした。
そして、艦艇に目を向ければ、5月16日に中国のミサイル駆逐艦2隻と補給艦1隻が、与那国島と西表島の間の海域を北上しました。この海域でのミサイル駆逐艦の航行も初確認です。
更に、北朝鮮が発射準備を進める軍事偵察衛星の打ち上げに伴う不測事態に備えるため、4月30日から航空自衛隊は宮古島、石垣島そして与那国島へ地対空誘導弾ペトリオット(PAC3)を展開させています。
北朝鮮は、5月31日のロケットの打ち上げには失敗したものの2回目の発射を示唆しています。
この様に、南西域の安全保障環境は具体的に厳しさを増してきている状況ですが、南西航空方面隊は引き続き対領空侵犯措置、警戒監視そして弾道ミサイル等に対する破壊措置等の各種態勢を堅持し、日本の平和
と国民の皆様の安心・安全を守り抜く意志と能力を示して参ります。
その意志と能力を示すということに関しまして、4月16日、嘉手納基地において米太平洋空軍司令官ウィルスバック大将と意見交換し、この地域の安全保障環境に対する認識を共有するとともに、力による一方的な
現状変更の試みを抑止する為に日米がより連携して活動し、それを発信していくことの重要性を確認しました。
南西航空方面隊は、日米の相互運用性の向上の為、米軍との交流や共同訓練を一層積極的に実施して参ります。
南西航空方面隊は、全隊員一丸となりその職責を果たして参ります。引き続き皆様のご理解、ご協力、ご支援を宜しくお願い致します。
令和5年7月1日 南西航空方面隊司令官 空将 谷嶋 正仁
略 歴
- 平成 2年 9月 航空教育集団司令部付(浜松)
- 平成 5年 5月 第3航空団(三沢)
- 平成13年 3月 幹部学校付 指揮幕僚課程(目黒)
- 平成14年 3月 内局(防衛局)(市ヶ谷)
- 平成16年 3月 航空幕僚監部人事計画課(市ヶ谷)
- 平成17年 3月 航空幕僚監部防衛課(市ヶ谷)
- 平成17年 8月 航空幕僚監部補任課(市ヶ谷)
- 平成19年 8月 航空幕僚監部情報課付(市ヶ谷)
- 平成20年 6月 ポーランド共和国駐在官(ワルシャワ)
- 平成23年 7月 航空幕僚監部情報課付(市ヶ谷)
- 平成23年 8月 航空幕僚監部武官業務班長(市ヶ谷)
- 平成25年 8月 第3航空団飛行群司令(三沢)
- 平成26年 8月 航空幕僚監部厚生課長(市ヶ谷)
- 平成28年12月 第1航空団司令(浜松)
- 平成30年 3月 南西航空方面隊副司令官(那覇)
- 平成31年 4月 航空幕僚監部運用支援・情報部長(市ヶ谷)
- 令和 2年 8月 航空幕僚監部防衛部長(市ヶ谷)
- 令和 3年12月 現職