防大タイムズ
防大タイムズNo.272
- 高市内閣総理大臣ご臨席の下、令和7年度防衛大学校卒業式典を挙行
- 令和7年度教育功労者表彰式の開催
- (公財)防衛大学校学術・教育振興会、「山崎貞一賞」ほか各賞等を贈呈
高市内閣総理大臣ご臨席の下、令和7年度防衛大学校卒業式典を挙行











防衛大学校は令和8年3月14日(土)に本科第70期学生、理工学研究科前期課程第63期学生、同後期課程第22期、23期学生、総合安全保障研究科前期課程第28期学生及び同後期課程第15期学生の卒業式典を挙行しました。本年度は本科学生385名及び研究科学生67名が卒業を迎えました。式典では、高市 早苗 内閣総理大臣のほか、多くのご来賓の臨席のもと、久保学校長から学生一人一人に卒業証書が授与され、続いて学校長式辞、内閣総理大臣及び小泉 進次郎 防衛大臣による訓示、来賓代表の北岡 伸一 様(国際協力機構特別顧問)より祝辞があり、本科卒業生代表 大村学生が答辞を述べました。
続いて任命・宣誓式が行われ、本科卒業生は防衛大学校の制服からそれぞれが進む自衛隊の制服へと着替えて臨み、陸上幕僚長、海上幕僚長、航空幕僚長から各要員別に陸曹長、海曹長、空曹長にそれぞれ任命され、一般幹部候補生を命ぜられました。それぞれの代表者が宣誓文を読み上げ、宣誓書を内閣総理大臣に手渡しました。
また、陸上競技場で実施した観閲式では、在校生の行進を卒業生が見守りました。
本科卒業生は在校生や職員の長い列に見送られ、防衛大学校での4年間に別れを告げました。
令和7年度教育功労者表彰式の開催




FD (ファカルティ・ディベロプメント)委員会では、令和7年度より新たな表彰制度として「教育功労者」を設けました。これは、本学の教育活動に長きにわたり従事され、教育水準の向上や、教育環境の改善、教育制度の設計などにおいて多大なる貢献を果たされた教官の功績を称えるものです。
この度、防衛学教育学群戦略教育室の坂口大作教授、同じく戦略教育室の中澤信一准教授(2 等海佐)が栄えある第一回目の教育功労者として選ばれ、令和8 年3 月5 日(木)に表彰式が行われました。
(公財)防衛大学校学術・教育振興会、「山崎貞一賞」ほか各賞等を贈呈
令和8年3月6日(金)、防衛大学校において、公益財団法人 防衛大学校学術・教育振興会の令和7年度山崎貞一賞及び鈴木桃太郎賞等贈呈式が行われ、きわめて優れた研究成果を挙げた教官に対して授与される「山崎貞一賞」が贈呈されたほか、「鈴木桃太郎賞」、「教育奨励賞」及び「研究奨励賞」の贈呈、また、執筆が完了しており、教科書的でない学術的・専門的な図書に「研究出版物」の助成が行われました。さらに、令和8年3月13日(金)、学生に対する褒章等授与式の中で「学生研究奨励賞」が贈呈されました。
○山崎貞一賞
応用科学群 応用物理学科 高田 真志 教授
○鈴木桃太郎賞
システム工学群 機械工学科 植山 祐樹 准教授
人文社会科学群 人間文化学科 小磯 隆広 准教授
〇教育奨励賞
電気情報学群 通信工学科 岡野 真人 准教授
防衛学教育学群 国防論教育室 足達 好正 教授・1等陸佐
〇研究奨励賞
応用科学群 応用化学科 松永 浩貴 講師
電気情報学群 通信工学科 中村 僚兵 准教授
○研究出版物助成
総合教育学群 外国語教育室 岡田 美保 教授
「日ソ国交回復交渉―二つのアジア秩序と対日交渉方針―」
○学生研究奨励賞(理工系)
理工学研究科後期課程 福井 智大 1等陸尉
理工学研究科前期課程 ダン・タイン・コン ベトナム海軍中尉
〇学生研究奨励賞(人社系)
総合安全保障研究科前期課程 脇 亮介 防衛事務官
※官職及び所属については、受賞当時のものです。
山崎貞一賞及び鈴木桃太郎賞等受賞者・助成対象者のコメント
【山崎貞一賞:応用科学群 応用物理学科 高田 真志 教授】
この度は、このような素晴らしい賞を賜り、誠にありがとうございます。
本研究は、研究室に所属した本科生・大学院生の皆さんの協力、そして京都大学並びに国立がん研究センターの先生方とともに研究を進めてこられたおかげで成し遂げられたものです。多くの方々の支えに心より感謝申し上げます。
今回受賞した研究は、放射線がん治療の一つであり近年注目されている ホウ素中性子捕捉療法の発展に寄与するものです。
本研究では、これまで困難とされてきた「患者に照射される中性子ビームをリアルタイムに測定する技術」の開発を行い、その実現に成功しました。当初は否定的なご意見も多くありましたが、試行錯誤を重ねることで道を切り開くことができました。わずかではありますが、放射線治療の進歩に貢献できたと考えております。
現在は、本技術のさらなる信頼性向上に向けて研究を継続するとともに、新たな挑戦として 月面における中性子計測技術の開発 に取り組んでいきます。将来の有人月面活動における放射線防護の確立に貢献できるよう、引き続き研究を進めてまいります。
今後も、この賞に恥じないよう、より一層精進して研究に励んでいく所存です。
改めて、皆さまに深く御礼申し上げます。
【鈴木桃太郎賞:システム工学群 機械工学科 植山 祐樹 准教授】
この度は、栄えある鈴木桃太郎賞を賜り、誠に光栄に存じます。
教官の方々の中には、一つのテーマを長年にわたって追究されている方も多くおられますが、私は自身の興味の移り変わりに応じて、ロボット、数理科学、さらには人間や動物を対象とした生理学へと、研究対象を変遷させてまいりました。その過程では、私の意向に反して継続が困難となったテーマもあり、一貫性に欠けるとの評価を受けることも少なくありませんでした。
今回、受賞の対象として評価いただいた研究はロボット義足に関するもので、股関節を含む義足として開発し、歩行時の身体的負担を軽減する上での有用性を世界で初めて明確に示した点が、本研究の特徴となっております。
今後も社会に寄与する研究の実現を目指して邁進するとともに、これらの知見を防衛大学校での学生教育へ還元し、日本の学術レベル及び防衛能力の向上に貢献していきたいと考えております。
末筆ながら、本賞の運営に携わる防衛大学校学術・教育振興会の皆様、並びに本賞の選考に関わられた先生方に、改めて深謝申し上げます。
【鈴木桃太郎賞:人文社会科学群 人間文化学科 小磯 隆広 准教授】
この度は、栄誉ある鈴木桃太郎賞を受賞することができ大変ありがたく存じます。
公益財団法人防衛大学校学術・教育振興会の皆様、選考委員の先生方に厚く御礼申し上げます。
これまで日本海軍史、特に、満州事変期からアジア・太平洋戦争期にかけての日本海軍の対外認識について歴史学の立場から実証的に研究してまいりました。現在と、80年前あるいは90年前とでは時代状況は大きく異なります。また歴史で全く同じことが繰り返されることはありません。
しかし、軍事組織であった日本海軍がどのような対外認識を持っていたのか、そして、それが海軍の対外行動に如何なる影響を及ぼしたのかを分析することは、自衛隊と、ますます混迷する現在の国際情勢との関係を考えるにあたって重要な示唆を与えてくれるものと考えております。
今後も日本海軍に関する知見を深め、より一層教育と研究に力を注ぐ所存です。このたびは誠にありがとうございました。
【教育奨励賞:電気情報学群 通信工学科 岡野 真人 准教授】
この度は、教育奨励賞を賜りまして誠に光栄に存じます。防衛大学校学術・教育振興会の皆様、選考委員の先生方、並びに推薦をいただきました電気情報学群の先生方に深く御礼申し上げます。
私は、通信工学を学ぶ上で基礎となる数学の諸知識を教えておりますが、単なる公式の暗記にとどまることなく、その背後にある思想や意味を理解できるように努めております。さらに、具体例を提示することで「何を計算しているのか?」が視覚的あるいは直観的にとらえられるように工夫しております。また、スライドを活用することで学生に背を向けて板書する時間を減らし、学生との双方向の対話を重視することで、学習意欲を維持できる環境作りを心掛けております。
こちらに着任してからの4年間、教育の現場で試行錯誤を重ねてまいりましたが、この度の受賞は身に余る光栄であり、今後に向けた大きな励みとなります。
今回の受賞を機に、防衛大学校における教育の充実と質の向上に一層精進していきたいと存します。引き続き、ご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
【教育奨励賞:防衛学教育学群 国防論教育室 足達 好正 教授・1等陸佐】
皆様のおかげで、教育奨励賞という素晴らしい賞を頂くことができました。本当にありがとうございました。私は、陸上自衛隊の普通科連隊長を終了してから、防衛大学校防衛学教育学群に赴任しました。この3月でちょうど2年になります。私自身、防衛大学校の卒業生であり、学生時代を思い出しながら、「どのような教育を実施すれば学生が興味を持ってくれるのか?」ということを常に考えながら授業に臨んできました。
当初は、私自身が受けてきたようなスライド中心、合間の経験談や雑談で学生を引き付けるという昔ながらの手法で授業を実施したのですが、最近の若者との世代間格差もあるのか、今一つ効果が上がりませんでした。そのため、従来の手法を大きく変え、学生間の短切なディスカッション、学生との対話等を通じた双方向性の授業に取り組むようにしました。このような授業を実施するようになってから、学生の授業に取り組む態度が目に見えて変化しました。これこそ学生の能動的学習、いわゆるアクティブ・ラーニングの実践であると実感しています。
今後とも学生教育に真摯に取組み、防衛大学校学生の成長に貢献していきたいと思います。ありがとうございました。
【研究奨励賞:応用科学群 応用化学科 松永 浩貴 講師】
この度は、研究奨励賞を頂き、誠に光栄に存じます。この賞を受賞できたのは私一人の力ではなく、学生時代から現在に至るまで皆様から頂いたたくさんのサポートがあってこそです。本当にありがとうございます。そして、選考に携わっていただいた皆様に心より御礼申し上げます。
私の現在の研究対象は「高エネルギーイオン液体を用いたロケット推進薬」であります。これは特定の固体エネルギー物質同士を混合するだけで得られ、従来のロケット推進薬と一線を画した安全性と性能が期待できます。これまでに様々な研究機関との協力のもと評価や改善を重ね、現在は宇宙空間で作動可能なロケットエンジンの確立を目指しており、宇宙実証も予定しているところです。本技術の実現は、ロケット推進システムの一新のみならず新規エネルギー物質の開発基盤の構築にもつながるものであり、私はこれを基に我が国の防衛技術力向上へ貢献したいと考えています。
今回は「奨励」賞という名誉ある賞を頂きました。より一層精進して研究に取り組み、益々の成果を出していきたいと考えております。今後ともご指導ご鞭撻の程よろしくお願いいたします。
【研究奨励賞:電気情報学群 通信工学科 中村 僚兵 准教授】
この度は、研究奨励賞を賜り誠に光栄に存じます。これまでご指導いただいた先生方、審査委員の先生方、(公財)防衛大学校学術・教育振興会の皆様、ご推薦いただいた電気情報学群長、通信工学科長、その他関係者の方々に心より御礼申し上げます。
私の専門分野は高速無線通信や無線センサ・レーダ技術といった電波応用技術であり、社会が抱える各種課題を研究テーマとして計算機シミュレーションや実験を通して、その課題解決に着手しております。私は現在、極めて広い周波数帯域幅を用いた電波を使用して人やモノを高精度に遠隔検知識別する技術の研究に主に従事しております。特に今回の対象となった主要な研究は、戦争・テロでの使用やイベント会場で悪用が増えているドローンを遠隔検知識別する技術であり、防衛分野のみならず、民間での導入も喫緊の課題となっている今後も必要性がますます高まる重要なテーマであると考えております。
今回の受賞を励みに今後より一層の研鑽を重ね、学生教育や研究活動に精進してまいりたいと考えております。この度の受賞につきまして重ねてお礼申し上げます。
【研究出版物助成:総合教育学群 外国語教育室 岡田 美保 教授】
この度出版助成を賜る運びとなりました仕儀につき、(公財)防衛大学校学術・教育振興会のみなさま、審査委員の先生方に厚く御礼を申し上げます。
助成の対象となった研究は、戦後日ソ関係の起点となった、日ソ国交回復交渉をテーマとする学位論文であり、モスクワに滞在して公文書館通いをした日々や、辛かった執筆期間のことなどが懐かしく思い出されます。併せて、この研究で、アジア太平洋フォーラム・淡路会議の第20回アジア太平洋研究賞本賞を受賞し、授賞式の席で、当時、代表理事を務めておられた五百旗頭真・元学校長から、早期に出版するようにとの励ましのお言葉をいただいたこと、とてもお元気なご様子であったのに、ほどなく訃報に接したことを思うに、書籍の形でのご報告が間に合わなかった点は悔やまれます。
さまざまな方のご支援あって助成を受け、ようやく出版を進める運びとなりました。改めて心から感謝申し上げます。
【学生研究奨励賞:理工学研究科後期課程 福井 智大 1等陸尉】
この度は、大変栄誉ある学生研究奨励賞を賜り、誠に光栄に存じます。防衛大学校 学術・教育振興会の皆様、選考委員の先生方、ご推薦いただきました黒田一郎先生に 厚く御礼申し上げます。
受賞の対象になりました研究テーマは、機械学習に基づく打音を用いた鉄筋コンク リート部材の損傷・劣化判定に及ぼす低品質データの影響に関する研究です。近年、 コンクリート構造物の非破壊検査に機械学習の導入を試みる研究が多く行われていま すが、現実の既設コンクリート構造物の適用に際しては、多種多様なデータを網羅的 に収集することは難しく、データセット自体が意図せず低品質化してしまうことが十 分に想定されます。本研究では、低品質なデータセットが機械学習の出力結果に及ぼす影響を多面的に検討し、データ品質が与える影響やデータ収集時の管理の重要性等を定量的に評価しました。
本研究の成果は、機械学習を活用した非破壊検査の精度向上と社会実装に資する重要な基礎的知見であると考えております。
今回の受賞を励みとし、今後より一層の研鑽を重ね、自衛隊勤務に精進してまいりたいと思います。この度は、誠にありがとうございました。
【学生研究奨励賞:理工学研究科前期課程 ダン・タイン・コン ベトナム海軍中尉】
この度は、公益財団法人防衛大学校学術・教育振興会の「学生研究奨励賞」という名誉ある賞を賜り、誠に光栄に存じます。選考に携わっていただきました関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。
私は現在、ベトナム海軍中尉として防衛大学校理工学研究科前期課程に在籍し、情報数理専攻にて「水中環境におけるAI物体検出技術」の研究に取り組んでおります。
母国ベトナムと日本はともに海洋国家であり、海洋の安全保障や環境保全は両国にとって共通の重要な課題です。この研究を通じて、日越の架け橋となる技術の発展に微力ながら貢献したいとの思いで日々研鑽を積んでまいりました。
今回の受賞は、私一人の力ではなく、ご指導いただきました佐藤浩准教授、久保正男先生をはじめとする防衛大学校の諸先生方、研究室の仲間、そして常に支えてくれた家族のおかげと深く感謝しております。また、留学生活全般にわたりご支援いただいた振興会の皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
今回の栄誉を励みに、今後もより一層研究に邁進し、学術の発展と日越両国の友好関係の深化に寄与できるよう努めてまいります。引き続きよろしくお願い申し上げます。
【学生研究奨励賞:総合安全保障研究科前期課程 脇 亮介 防衛事務官】
この度は、学生研究奨励賞を賜り、大変光栄に存じます。本研究がこのような評価をいただくことができたのは、防大の充実した研究支援をはじめ、日々刺激を与えてくれた同期の仲間、熱心にご指導くださった先生方、とりわけインテリジェンスの基礎を教えて下さった小林先生、そして何より終始温かく導いてくださった指導教官の宮坂先生のお力添えによるものです。この場をお借りして御礼申し上げます。
本研究は、インテリジェンス協力を行なっている「ファイブ・アイズ」と呼ばれる米英豪を中心とした国々が、いかにして強力なインテリジェンス能力を維持しながら、民主主義との両立を図ってきたのかを明らかにすることを目的としたものです。近年、我が国においてもインテリジェンス機能の強化が国会などで議論される機会が増えています。
本研究が、そうした議論に対して微力ながらも示唆を提供できれば幸いです。今後は研究をさらに発展させるとともに、その知見を実務の現場においても活用し、防衛省・自衛隊に貢献できるよう邁進いたします。