防衛大学校National Defense Academy

防大かわら版

防大かわら版vol.180

防大かわら版

掲示内容一覧

  • 遠泳訓練参加所感
  • 定期訓練参加所感
  • 前期を振り返って
  • 中期学生隊学生長としての決意、抱負等

遠泳訓練参加所感

植田 学生

防衛大学校では7月に夏季定期訓練が実施され、1学年においては遠泳訓練が行われます。その訓練において山場となるのが走水海岸沖での8km遠泳です。
私は入学当初に行われた泳力測定において平泳ぎが全く泳げず、自身の泳力と体力のなさを痛感しました。その後5月からの水泳補備訓練対象者に指定され、1か月以上にわたって教官の指導の下ひたすら泳ぎ続け泳力を着実に伸ばしました。
そうして迎えた定期訓練、最初の1週間はプールでの時間泳を行いました。この時間泳は当初60分から始まり、日を追うごとに泳ぐ時間を延ばして最大120分間、隊列を組んだ状態でプールを回り続けます。最初は体力が持続せず挫けそうになる時もありましたが、補備訓練で習得した泳力を活かし、何とかついていくことができました。
また、海面訓練では、初日は1kmの距離泳が行われます。私はその訓練においてパニックを起こしてしまい、船に引き上げられてしまいました。それからはずっと海の恐ろしさと今後の2km、3km、4km、そして8kmを乗り切れるかの強い不安に駆られました。しかし、バディや同期からの声掛け等の支えもあり、クラゲが多く発生した日や波が高く、コンディションが悪い日でもなんとか乗り越えることができました。8km遠泳本番においては波も穏やかで、クラゲが少なかったこともあり、泳ぎに集中することができ、自身の力を振り絞って完泳することができました。
今回の遠泳訓練から、どんな困難に直面しても全力を発揮し、仲間と助け合えば限界を超えられることを学びました。

山﨑 学生

「このまま水槽を回り続ける金魚のようになってしまうのではないか」、私はそんなくだらない妄想をしながらいつ終わるとも分からないプールでの訓練を、大勢の同期と隊列を組んで泳いでいました。また、夏季休暇はどこでご飯を食べようか、どんな服を着ようかと空想にふけり、時間をやり過ごしていました。
しかし、そんな甘い意識で臨んだ初めての海面訓練では、足がつり、足のつかない感覚やすぐ陸に帰れないという恐怖から呼吸が乱れ、軽いパニックに陥りました。それでも、泳ぎが苦手なバディを支えなければならないという責任感から、「冷静に、バディを確認しろ、隊列を乱すな」と自分に言い聞かせ、深呼吸を繰り返しました。
この訓練を通し、どのような状況でも、まず自分を落ち着かせる自助を徹底し、その上でバディと支えあう共助の心を持ち、状況に集中することの大切さを学びました。
遠泳訓練は海で行われる以上、事故の危険性が全くないとは言えません。だからこそ、常に同期へ意識を向け、命を預けあう覚悟を持って本気で臨まなければならないことを痛感しました。入校してまだ4か月ですが、この姿勢こそ自衛官を目指す者としての心構えだと感じました。今後の4年間、そして部隊配属後にはさらに厳しい試練が待っていると思いますが、この経験で得た学びを忘れず、一つ一つの訓練に真摯に取り組んでいく所存です。

野川 学生

遠泳訓練で私は泳力、そして大きな自信を得ました。防衛大学校に入校するまで、泳ぐ経験がほとんどなく、海に入ったこともなかった私にとって、遠泳は非常に困難な挑戦でした。訓練が始まった当初、私は10mも泳ぐことができず、8kmもの距離を本当に泳ぎ切ることができるのかという不安を抱えていました。連日の訓練を重ねても思うように泳げず、焦りは次第に大きくなっていきました。しかし、教官の親身な指導や同期の励ましに支えられながら、自らを奮い立たせ、訓練に取り組み続けました。何度も苦しい場面がありましたが、それでも訓練を続けた結果、波のある海でも泳ぐことのできる泳力を身につけました。
私が遠泳訓練を通して学んだことは、困難な状況にあっても、強い意志を持って努力を続けることの大切さです。もし私が、目の前の泳力の向上だけを見ていたなら、苦しい訓練を最後まで続けることはできなかったかもしれません。将来、幹部自衛官になるという目標を意識していたからこそ、目の前の困難から逃げず、最後まで訓練に取り組むことができました。
遠泳は、防衛大学校での生活における大きな行事の一つですが、あくまでも通過点であり、これから多くの経験を積んでいくことになります。これからも遠泳で学んだことを忘れず、一つ一つの経験を大切にし、強い意志を持って何事にも全力で取り組んでいきます。

高橋 学生

「あと何メートルだ。」そう何度も自分に問いかけながら、私は走水の海を泳ぎ続けていました。目の前には果てしなく続く海。波に押し戻され、息継ぎのたびに流れ込む塩辛い海水が喉を焼き、顔や首にはクラゲの痛みが走ります。今年は大量発生したプランクトンによる強烈な痒みまで加わり、プールでは味わえない自然の厳しさを痛感しました。それまで抱いていた「泳げるから大丈夫」という自信は、あっけなく砕け散りました。それでも心は折れませんでした。隣には同じ苦しみを味わうバディがいて、前には必死に泳ぐ同期の姿がありました。「あと少し」「大丈夫だ」という一言が、不思議なほど力を与えてくれました。誰かが足をつった時は他の仲間が肩を貸し、また、バディがクラゲに刺された時はバディが支えました。一人では止まってしまう瞬間も、仲間となら前へ進める。そのことを身をもって学びました。8km遠泳を終えた時、私が得たものは泳力だけではありません。波も痛みも恐怖も乗り越えられたのは、互いを信じ支え合う同期がいたからです。この訓練で培った絆を胸に、将来幹部自衛官として、困難な状況でも仲間を信じ、自らも支えられる存在であり続けたいと思います。

外園 学生

遠泳訓練は、防衛大学校1学年の夏季定期訓練の最大の山場となる訓練であり、防衛大学校近郊の海域(東京湾)において、隊列を組み8km泳ぐ訓練です。
私たちは、本番に向けて、校内のプールや海上で訓練を重ねました。校内のプールでは、隊列を組みつつ設定された時間を泳ぐ訓練に取り組みました。また、海上では、潮の流れや波もあり、厳しい訓練でしたが、同期と励まし合いながら取り組みました。遠泳本番では、天候や海況にも恵まれ、約5時間30分で無事に泳ぎ切ることができました。
遠泳訓練を通して、体力が向上しただけではなく、区隊長(区隊の取りまと役)として隊列の先頭を泳ぐ中で、区隊一丸となって同じ目標へ進むことの重要性と難しさを肌身で感じました。併せて、同期との絆を更に深めることができました。
この経験を生かし、今後の防大での厳しい訓練や集団生活を乗り越えていきたいと思います。
最後に、訓練を支えてくださった方々、応援してくださった方々に、心より感謝申し上げます。

定期訓練参加所感

佐藤 学生

「危機感・警戒心」、これらは訓練隊長の2学年陸上要員への要望事項であった。
この夏、2学年陸上要員は主に新潟県、関山演習場にて夏季定期訓練を実施した。広大で恵まれた地形のもとで各個戦闘、野戦築城、歩哨及び斥候、32km行軍などを行った。
訓練を実施している間も「危機感・警戒心」を忘れることがあってはならなかった。常に敵を意識し、各個戦闘では目標奪取後もすぐに警戒の姿勢をとり前方を警戒、野戦築城中もできるだけ背中は敵方に向けない、歩哨や斥候中も絶えず敵方を確認し、行軍の休止の際も必ず警戒員を出し敵の襲撃に備える。これらは陸上要員には必須である。
しかし、私はこの訓練隊長要望事項をもう1つの捉え方があると考えており、今回の定期訓練では特にそれを意識して訓練に臨んだ。それは幹部自衛官になる者としての「危機感・警戒心」である。 
周りを助け同期のことを思いやって行動したか、班長や分隊長として的確な指示を出し、訓練を円滑に進めることができていたか、自分が辛いときにそれを顔や態度に出していなかったか、これらも幹部自衛官になるものとして必須の「危機感・警戒心」であると考える。
今回の訓練を通じて個人の訓練練度が向上し、精神的、体力的に成長することができたのはもちろん素晴らしいことである。将来部下を持つ者として常に周りに目を配り、自分が辛いときこそ周りを助け、的確な指示を出せるようになることを意識しながら今後の訓練にも励みたい。

久須美 学生

2学年の海上要員にとって夏季定期訓練とは、護衛艦での乗艦実習、呉・江田島研修を主とした訓練を通じ、海上要員としての自覚、シーマンシップなどを育む機会となっています。
乗艦実習では、前後段に別れ護衛艦「あきづき」、「いせ」及び「きりさめ」に分乗し、1週間にわたって、航海の基礎や艦内の躾事項を軸に防火・防水訓練や射撃訓練といった様々な訓練に参加させていただきました。
特に記憶に残っているのはNAVCOMEXという無線で達された命令に対応する旗の信号を掲揚する訓練です。
私は、あきづきに乗艦し実習に当たりましたが、あきづき乗艦組は、防衛大学校で養ったチームワークと旺盛な闘争心を以て三つの艦の中では一位を獲得し、実習員一同、連携の大切さを再認識することができました。
また、夜間の艦橋の見張りの際には雄大な星空の下、ウィングで普段関わる機会の少ない歳の近い若手曹士の方とも、公私交え語らうことができました。 さらに、寄港地函館での上陸では、地の物を味わったり、同期と語り明かしたりと、海上要員ならではの知見を広げる経験を積むことができました。
呉・江田島研修では、幹部候補生学校、呉地方総監部、LCAC関連施設等の研修をしました。
特に幹部候補生学校では、1学年の際にお世話になった当時の学年の方が候補生として幹校生活に励む姿を見せてくださいました。懇談の時間も設けてくださり、防大卒業後の自らのイメージを鮮明にすることができました。
全般として、この訓練期間を通じ、3年半後には幹部海上自衛官として任に就く基盤を築くことができました。今後とも学生たる若々しさの中に熱と意気を失うことなく、常に修養に努めていきたいです。

堺 学生

憧れだった航空自衛隊式の迷彩服に袖を通して早くも3か月が経ちました。
6月30日から7月25日までの約1か月間、私たちは陸・海・空それぞれの要員に割り当てられて初めての夏季定期訓練に参加しました。
2学年航空要員は、富士川滑空場での航空機運用実習や輸送航空隊が所属する小牧基地(愛知県)、入間基地(埼玉県)、美保基地(鳥取県)への部隊研修を3つのグループに分かれて実施しました。
私は第1輸送航空隊の所属する小牧基地への部隊研修に参加し、部隊の方々のご協力のもと実際の勤務場所の見学や輸送機の体験搭乗など普段では得ることのできない経験をさせていただきました。
これまでの訓練で航空自衛隊の職種の説明や任務内容について座学を通して学んでいましたが、今回の研修では実際に勤務されている方々から様々なお話を直接伺うことができました。幹部自衛官として任官した後にどのような任務に就きたいのか、そのために今の自分に何ができるのかなど、将来について考えるとても良い機会となりました。
続く富士川滑空場での航空機運用実習では4学年の方々と共に仮の航空団を編成し滑空機(グライダー)の運用を行いました。私たち2学年は団を運営する各部署の隊員及び航空機の搭乗者となり、航空団の実動要員として訓練に参加しました。
この訓練では指揮官として団の運営を行う4学年の方々を支えるためにどのように行動すれば良いのか、高い士気や団結力をもって組織運用を行うために自分たちにできることは何かなど、主にフォロワーシップの観点から様々なことを学ぶことができました。
今回の夏季定期訓練では校内外に関わらず多くの方々のお力添えで様々な貴重な経験をさせていただきました。
訓練で得た学びや経験を今後の生活の糧とし、支えてくださる方々への感謝を忘れずにこれからも学業や訓練に励んでいきたいと思います。

赤松 学生

防衛大学校の第3学年の陸上要員は、夏季定期訓練として全国各地の普通科部隊に分かれて実習を行います。私たち11名は新潟県の新発田駐屯地にある第30普通科連隊にて実習を行いました。この部隊はヘリコプターを使った機動作戦を得意とする部隊で、訓練では14メートルの高さからロープを使って降下する「リペリング降下」を体験しました。地上を離れる恐怖から最初は足がすくむ学生もいましたが、互いに声を掛け合いながら挑戦することで、最終的には全員が降下することができました。普段の訓練とは違う緊張感の中で、恐怖心を乗り越えて一歩を踏み出すこと、そして仲間と支え合うことの大切さを実感しました。
このほか、新しく導入された小銃の扱いを学ぶとともに、少人数で互いに連携して行動する訓練や、明治時代から残る史料館での歴史研修、新潟港に寄港した海上自衛隊の「てんりゅう」で行われた広報活動の支援なども行いました。イベントに足を運んでくださった方々と接する中で、自衛隊についてもっと多くの人に知ってもらいたいという思いが強くなりました。
部隊の幹部の方との対話では、部隊にはそれぞれの役職に応じた役割があり、それを理解し合うことで組織がうまく機能するということを学びました。特に印象的だったのは、「知識も経験も自分より上の隊員から信頼を得るには、人間性が何より大切だ」という言葉です。防衛大学校での学びの一つひとつが、その人間性を育む時間なのだと実感した訓練でした。

風間 学生

防衛大学校3学年海上要員の夏季定期訓練は、主にクルーザーヨット、陸上部隊実習及び航空部隊実習で構成されています。
クルーザーヨットでは、ぎ装(船を動かすのに必要な帆などを取り付ける作業)をはじめ、実際に沖に出て、風を考慮した操船技術を身につけるなど船乗りとしての基礎を養いました。クルーザーヨットは、1人で運航することができず、仲間と協力、団結して作業を行うことの重要性を再認識しました。
横須賀地方隊での陸上部隊実習では「海の迎賓館」として知られる特務艇「はしだて」や砕氷艦「しらせ」等の乗艦を体験しました。また横須賀地方総監の講話において、横須賀地方隊の役割や海上自衛官の職務のやりがいについて学びました。
続く航空部隊実習では、館山航空基地と下総航空基地を研修しました。館山航空基地では、回転翼機のSH-60Kを運用し対潜水艦戦や救難活動など幅広い任務に対応するため日夜訓練を行っており、実際に機体の整備や操縦シミュレーターを見学しました。
下総航空基地では、固定翼哨戒機のP-1の概要や整備に関する説明をはじめ、司令自ら操縦するP-1への搭乗を体験し、G(重力加速度)のかかる中で任務に当たるクルーの練度の高さを知ることができました。
今回の夏季定期訓練にて、艦艇のみならず、航空部隊等に対する理解をより深めることができました。また、各種訓練を通じて仲間と協力し、目標を達成する経験ができたことは、今後の防衛大学校生活に活かせる貴重な学びとなりました。

永岡 学生

3学年の夏季定期訓練にて、南西航空防衛区域の要である第9航空団(那覇基地)において約3週間の部隊研修に臨みました。対領空侵犯措置の最前線という日常的な緊迫感の中で、飛行・整備補給・基地業務・気象・救難など多岐にわたる現場を見学し、航空自衛隊が「各職種の掛け算」によって成り立つ組織であることを実感しました。
特に心に深く刻まれたのは、団司令や群の中核を担っている方々の講話と、T-4やUH-60Jへの体験搭乗です。重みのある講話からはリーダーとしての強い決意と使命感を学び、身の引き締まる思いがしました。また、T-4では強烈な加速と圧倒的なGを体験し、UH-60Jではローター音の轟く機内での緻密な連携や圧巻の2機編隊飛行を目の当たりにして、人命救助に捧げる高い誇りを肌で感じることができました。
多忙な業務の合間を縫って真摯にご指導いただいた那覇基地の方々や、宿舎でコミュニケーションを取り温かく気遣ってくださった隊員の方々、沖縄の郷土について学ばせていただいた諸先輩方への感謝の念に堪えません。最前線ならではの緊張感と現場の温かな人徳に触れたこの貴重な経験を今後の励みとし、任官後に立派な幹部自衛官となった姿をもって恩返しができるよう、日々の教育訓練に精進する所存です。

西山 学生

長い経路を経てたどり着いた然別演習場。そののどかな雰囲気とは対照的に、訓練3班は緊張感に満ちていました。「これまでの訓練の成果を発揮する時が来た」と、挑むような気持ちで演習場に足を踏み入れたことを覚えています。
私は攻撃総合訓練において2分隊長を務めましたが、状況中の2夜3日は本当に辛いものでした。長い行軍を経て前衛分隊として敵を排除しながら演習場を駆け、偵察を行い、敵陣地を占領する。初めて経験する状況の中で、心身ともにぼろぼろになりながらも私がこれだけは意識しようと決めていたことがあります。それは、分隊員に元気のない顔を見せないことです。2分隊が最後まで士気旺盛に戦い抜いてくれたのは、その意識が少なからず成果につながったからだと思います。
一方で、命令下達が不十分だったり、指揮統率がうまくいかなかったりと、反省すべき点も多くありました。しかし、分隊長として最後まで自分の決めたことを貫き通せたことは、私自身の自信につながりました。この経験を通じて、指揮官として自らの姿勢で示すことの大切さを学ぶことができました。
また、この訓練の中で、私が訓練班としての集大成だと感じた瞬間があります。それは班の同期が呼びかけ、汚れていた公共の場所の清掃を始めた時でした。1人が始めると、それに呼応するように班のみんなが手伝い始める。その姿を見て、私は改めて班の温かさを感じました。
私たちの班はアクシデントも多く、決して完璧な集団だったとは言えません。それでもこの2年間を経て、互いを信頼し合える関係へと成長することができました。指導官や助教の厚い支援のもと、訓練における識能や技術だけではなくそれ以上に大切なものを得ることができたのだと思います。
いままでに得た経験や仲間とのつながりを大切にし、卒業した後も互いに影響し合い、高め合える存在であり続けたいと思います。

 

中川 学生

本年度の夏季定期訓練において、約2週間、護衛艦「むらさめ」で乗艦実習に臨んだ。艦上での日々は統制訓練、部署訓練、ワッチ(艦艇の運航に係る当直勤務)の連続であった。一つの号令に艦全体が淀みなく動く様を前に、乗員一人ひとりの動作が艦の総合力に直結していることを痛感した。教場で学んだ知識が艦上では容易に手から零れ落ちていくと、思い知らされた2週間であった。
「むらさめ」には、私が1学年の頃に御指導いただいた68期の上級生が勤務されていた。小原台で背中を追いかけた方が、今は第一線に立っておられる。
防大での生活が部隊勤務へと地続きであり、自分も遠からずその場に立つのだと、初めて実感を伴って受け止めた。
また、今回、曹士の方々と同じ区画で生活させていただいた。部隊の第一線を支えているのはこの方々であり、それを率いる幹部自衛官には、知識と覚悟、そして人としての誠実さが求められる。その重みを、机上ではなく生活の中で教えていただいた。
任官までに残された時間は多くない。隊員から信頼される幹部自衛官となれるよう、一層精進していきたい。
末筆ながら、御多忙の中で我々を受け入れ、御指導いただいた部隊の方々に、この場をお借りして深く感謝申し上げる。 

横田 学生

防衛大学校の4学年航空要員が行う夏季定期訓練は、校内訓練、航空教育集団実習、滑空機訓練の3つから構成される。ここでは、航空教育集団実習と滑空機訓練について述べます。
航空教育集団実習では、静浜基地の第11飛行教育団において操縦適性検査を受験しました。試験では実機を操縦し、上昇、降下、水平飛行、旋回などの基本的な機動を行いました。内容だけを見れば単純に思えるが、実際の操縦は想像以上に難しく、速度を目標値に合わせようとすると高度がずれ、高度を修正すると今度は速度が変化する。「ピッチ、ALT(高度)、バンク、ヘディング(方位)、速度」と唱えながら、各計器と機体の状態を確認し、修正操作を続けなければならなかった。同期と共に地上で何度もイメージトレーニングを重ねて試験に臨んだが、思いどおりの操縦は難しかった。実習を通じて、空を飛ぶことの難しさを痛感しました。
また、航空機はパイロットだけの力で飛んでいるのではなく、整備員をはじめ多くの方々の支えによって運航されていることを実感しました。航空自衛隊には、救命装備品の着脱やフライトの前後に「お願いします」「行ってきます」「戻りました」「ありがとうございました」と声を掛ける文化がある。そこには、支援する方々への感謝と無事に帰還するという決意が込められており、将来パイロットになった際には、その支えを当たり前と思わず、感謝を忘れない人間でありたいと思います。
滑空機訓練では、富士川滑空場において戦闘航空団を模擬した組織を編成し、2学年と4学年の航空要員が合同で訓練を行いました。私は前段で作戦計画や運用調整を担当する防衛部長、後段で滑空機の整備を担う整備分隊長を務めました。
防衛部長を務めた前段では、仮想の事故やトラブルへの対応能力を養う「状況付与」が行われ、最初の訓練では十分な対応ができず、自分たちの力不足を痛感しました。         
しかし問題点と反省点を洗い出し、同様の事態への対応を検討し、 その成果が表れたのは、翌日に実際に発生した事案への対応でありました。グライダーの曳航索が曳航中に破断したが、前日の反省を生かし、発生から10分以内に状況を把握、約30分後には運航を再開でき、この経験を通じて一人ひとりが役割を果たし、各部署が連携して初めて組織としての力を発揮できることを実感しました。

前期を振り返って

久保田 学生

前期は、新入生の入校に伴う新しい人間関係の構築や、学生舎運営・競技会の実施を通じて、1大隊全体の今後の流れを決定する重要な時期です。その特性を踏まえ、「学年を問わず関係を深められる、家族のような1大隊」を目指して大隊運営を努めました。 前期1大隊学生長としての勤務を通じ、多くの学びを得ましたが、特に重要だと痛感した点が二つあります。それは「現場に直接赴き、自身の目で確認すること」と、「周囲を巻き込み、頼ること」です。
一つ目について、私は日々の朝集合や競技会練成、清掃などの見回りを重視し、各中隊や隊員の雰囲気・環境を直接確認するよう心掛けました。その結果、各中隊の強みや課題が明確になっただけでなく、継続的な巡回を通じて長期勤務学生や競技会責任者、大隊員との信頼関係を築くことができました。中隊、学年を超えた繋がりを直接構築できたことで、様々な場面で支えてもらう糧となりました。
二つ目について、当初の私は課題を一人で考え込み、施策実施前の日程や役割調整等の段階になってから初めて周りに意見を求める場面が多くありました。一人で抱え込み過ぎたことで、他の業務や課業に影響を及ぼすこともありました。 しかし、前期の施策はいずれも、起案書を作成してくれる学生や実行を監督してくれる学生など、多くの支えと協力があったからこそ完遂できたものです。一人の力には限界があります。大隊学生長には方針を示す役割に加え、業務を適切に分配・監督すること、そして困難な時には他の学生の助けを求める姿勢が不可欠であると強く実感しました。周りの学生達もまた、これまで生活してきて肌で感じていた競技会への大隊としての雰囲気、集合動作の不備など1大隊特有の課題を「解決したい、1大隊をより良くしたい」という強い熱意を持っていたからです。
400名を超える大隊の長としての勤務は、苦労や悩みの連続でした。しかし、組織を良くしようと尽力する長期勤務学生をはじめ、最後まで信じてついてきてくれた同期や下級生の存在、応援が大きな励みとなり、任期をやり遂げることができました。
至らない点も多々ありましたが、主体的に大隊・中隊運営に参画してくれた3・4学年、日々の生活に一生懸命取り組んでくれた1・2学年、支えてくれた大隊本部員や中隊学生長、そして丁寧にご指導いただいた指導教官の皆様に心より感謝申し上げます。

長南 学生

第70期生の卒業式後、大隊本部への引越しを進めていた私は、1年前に大隊学生長付として、4学年に甘やかされながら、てんやわんやしていた記憶が蘇り、その場所で、今度は私が約400人を抱える大隊の長を務めるのだというプレッシャーに押し潰されそうになっていた。
そうはいっても時間は止まらないもので、これまでに出会った沢山の先輩方の背中に追いつくために、無我夢中で転びかけながらも止まらず、走り切った前期であったと思う。
2大隊の年間方針を「勝者たれ」、前期方針は「震源たれ」と定めた。年間最優秀大隊を獲得することを目標として、その達成のために前期は他責思考から脱却して自ら動き、一人一人が大隊を動かす「震源」となる意識を醸成することによる資質の涵養を意図していた。
先輩方のような円滑な運用ができない、求心力が足りない、カリスマ性が足りない、焦燥感に駆られるもいっそ止まってしまいたくなるときもあった、しかし自分で定めた「震源たれ」の方針こそが私を突き動かす原動力であった。
自分こそが動き成果を出す。成果のために、想定外に振り回されないために自分の意見全てに反対意見を出す自分を創り出し、推敲を重ね、意思決定を行っていた。そうはいっても成果にはなかなか繋がらない。
こんなとき、大隊本部員や各学生長、また競技会責任者たちが一緒に頭を悩ませ、時には熱く口論し、同じ熱量で大隊が「勝者たる」ために協力関係としてではなく、まさに互いが「震源」として動いていた。
前期の2大隊は競技会で素晴らしい成果を出した。中期の方針は「強者たれ」、前期の成果を一時のものとはせず、強くあることを全大隊員が心に刻んで励んでいきたい。

小野澤 学生

同期の一人が、かつて私にこう問いかけました。「長期勤務学生として大隊に費やしている時間を、自分自身の能力向上に充てれば、もっと大きなことを成し遂げられるのではないか」。当時、大隊学生長に上番したばかりだった私は、この問いにうまく答えることができませんでした。なぜなら、その指摘に一定の納得をしてしまったからです。実際に、大隊学生長としての業務は想像以上に忙しく、本来自分が取り組みたい体力錬成や英語学習に割ける時間が少なくなっていることを実感していました。しかし、下番を目前にした今、同じ問いを受けたなら、私は迷わず答えることができます。「努力し続けることさえできれば、たとえ今は自らの無能に悩むことがあっても、いつか必ず大きなことを成し遂げられるようになる」と。私の前期大隊運営方針は「努緑」でした。私は、防大生が卒業までに身に付けるべき「伸展性のある資質」は「努力する力」だと考えています。これは大隊運営にも同じことが言えます。「学生一人ひとりが努力する姿勢を身に付けることができれば、その集合体である3大隊はこれからも成長し続けることができる。」そう考え、緑をシンボルカラーとする3大隊員に対し、「努緑」の大切さを伝え続けてきました。前期を振り返ると、皆は本当によく努緑し、学生隊の中でも最も愚直に学生舎生活の在り方と向き合い、高い士気をもって日々を過ごしてくれたと思います。その姿勢に心から感謝しています。そして、自らも努緑を体現しようとする中で、一つの大きな気付きがありました。それは、「人は、自分のこと以上に、人のために努力することができる」ということです。同期や下級生が懸命に頑張る姿を見て、その思いは確信へと変わりました。自分のためだけでは乗り越えられないことでも、誰かのためであれば、人は驚くほどの力を発揮することができます。3大隊、そして防衛大学校には、人のために努力できる人が数多くいます。
私は、このような仲間たちと共に勤務できたことを誇りに思いますし、本当に幸せでした。
どうか、この素晴らしい伝統が連綿と受け継がれ、3大隊員一人ひとりが努緑を続け、より良い未来を築いてくれることを心から願っています。

二本松 学生

令和8年度前期第4大隊学生長として、私は3か月間勤務しました。 前期は1学年も入校し、新学年での体制が始動する時期であり、その後の一年間の運営の土台を形作る非常に重要な時期でした。そのような時期に大隊学生長を務めることができたことを大変光栄に思うと同時に、その重責を強く感じておりました。
前期大隊学生長を務める中での最大の課題は、「学生個人単位での責任感の醸成」でした。従来の学生舎運営は長期勤務学生が主導し、一般の学生は従属的な存在に留まりがちでした。そこで長期勤務学生だけでなく、週替わりで学生舎の整理整頓や点呼を実施する「週番学生」の積極的な活用に取り組みました。業務内容を週番学生自らに考えさせ、実践・是正を経て次へ申し送る体制を構築したことで、特定の学生に過度に依存しない主体的な運営の素地を築くことができました。
また、この任期を通して多くの指導教官や学生に助けられてきました。その中で人間関係の重要性を深く実感し、ここで得られたつながりを今後も大切にしていきたいと強く感じております。
上記の課題への取り組みは中・後期へと続いていきます。今後も私自身、「自ら考える力」を磨き続けるとともに、周囲との絆を糧として、成長していきたいと思います。

坂上 学生

令和8年度4月、47年ぶりに5大隊は復活し、新たな大隊として歩みを始めました。その大隊運営を担う4学年は2大隊と3大隊から集まり、互いに顔も知らず、信頼関係も十分ではない状態からのスタートでした。だからこそ、我々一人一人が5大隊の創設メンバーであり、自らの手で歴史を築いていくのだという強い自覚を持つべきとの思いから、本年度の大隊方針を「道を拓け、我ら5大隊」、前期方針を「奮起死(新たな大隊の基盤を築くため、現状に満足せず、一人一人が奮起して行動すること)」と定めました。
大隊学生長として大隊運営に当たる中で、大隊員との距離感を重視し、現場を理解する指揮官であることを常に意識しました。また、一方的に指示するのではなく、同期、下級生、指導教官と積極的にコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことを大切にしました。
その結果、前期を通じて規律と団結力を高い水準に保ち、現在、5大隊は大きな勢いを持つ大隊へ成長したと感じています。
最後に、私の方針に協力してくれた同期、下級生、大隊運営を支えてくれた本部員、そして指導教官の皆様に心から感謝申し上げます。前期に築いたものを次につなげ、これからも「我ら5大隊」という誇りを持てる大隊として、さらに発展させていきたいと思います。

中期学生隊学生長としての決意、抱負等

酒井 学生

令和8年度中期学生隊学生長の任を拝命いたしました、酒井隆馬学生です。
私たちは、将来、幹部自衛官となる者に必要な資質を涵養するため、各学年の目標である「模倣、垂範、探究、教導」を全うしなければならないと考えます。前期は、学年目標を自覚することを方針としました。
これを踏まえ、中期の運営方針を「理解の深化」とします。前期に自覚した学年目標について、その意義や求められる姿を改めて考え、理解をさらに深めていきます。その過程で、互いに意見を共有し、多様な考えに触れることで理解を深め、実践に移していきます。そして、思考と実践を繰り返す中で、一人一人が自らの成長につなげていきます。
防衛大学校においては、将来、戦略的に物事を考え、行動するリーダーとなるための思考の土台を築くことが重要です。そのため、日々の生活の中で「なぜやるのか」「いかにやるのか」「何をやるのか」を明確にし、自分自身は何を目指すのか、また、自らの小隊、中隊、大隊が何を目指すのかを考え、行動に移していきます。
中期には、開校祭をはじめとする多くの行事があり、学年を越えた交流が一層活発になります。こうした機会を生かして幅広い人間関係を築くとともに、互いの考えを共有し、深い教養の涵養に努めていきます。
前期の取り組みを確実に引き継ぎ、防大生としてあるべき姿に向き合い、一人一人が自ら考え、行動する学生隊を目指します。そして、個人の成長を組織の成長へとつなげ、学生隊全体がさらなる高みへと進むことができるよう、学生隊学生長としての責務を全うする所存です。