海上幕僚長の活動

海上幕僚長のこれまでの活動の一部を写真を交えてご紹介します。


令和3年度・秋

1 米海軍第7艦隊司令官(トーマス中将)の来訪
 10月12日(火)に、第7艦隊司令官のカール・トーマス中将の来訪を受けました。トーマス中将は、第70任務部隊兼第5空母打撃群司令官として横須賀で勤務した経験をお持ちの知日派であり、我が国周辺の安全保障環境にも非常に高い知見を有しておられます。海上自衛隊は国内外を問わず、日々、米海軍と共同訓練を通じて相互運用性の向上を図っていますが、これは着任早々にトーマス中将が発揮された高いリーダーシップによるものです。今後、トーマス中将に率いられた米海軍部隊と海上自衛隊との関係深化が一層進展することを確信しています。

2 在日米海軍司令官(ラティ少将)の来訪
 10月19日(火)に、在日米海軍司令官のカール・ラティ少将の来訪を受けました。ラティ少将は初めての日本勤務とのことでしたが、一日も早く赴任国のことを理解しようと日本語や日本文化に強い関心を示され、勉強に取り組まれており、その姿勢には大いに感銘を受けました。ラティ少将が在任期間中に日本での生活を満喫され、海上自衛隊との関係をさらに親密なものへと発展させてくれることを期待して止みません。

3 米海軍長官(デル・トロ閣下)の来訪
 10月25日(月)に、米海軍長官カルロス・デル・トロ閣下が来訪されました。デル・トロ閣下は、かつて米海軍の巡洋艦副長として横須賀で勤務された経験を有するなど大変な親日家であり、また、本年9月に米国で面会して以来、2度目の懇談となったことから、会話は大いに盛り上がりました。冗談を交えて場の雰囲気を和ませるユーモラスな一面を見せたかと思えば、米海軍の戦略指針について語る際には鋭い眼光を見せるなど、まさにデル・トロ閣下は強大な米海軍を象徴する強くたくましいリーダーであると感じました。デル・トロ閣下の来訪を得ましたことを大変光栄に思いますとともに、米海軍との更なる連携強化について、思いを新たに致しました。

4 西太平洋海軍シンポジウム(WPNS)への参加
 10月26日(火)及び27日(水)の2日間、第17回西太平洋海軍シンポジウム(WPNS)に参加しました。本シンポジウムは、太平洋に接する約30か国の海軍から、参謀長級の参加者を得て海洋安全保障等について議論するものです。今回はフィリピン海軍によって主催されましたが、コロナ禍での開催となったことからビデオ会議システムを通じての参加となりました。対面での議論はかなわなかったものの、テレビ画面を通して各国の親しい海軍参謀長等と再会し旧交を温めるとともに、率直な意見交換を実施することができ、非常に有意義なシンポジウムとなりました。各種制約の中で見事に本シンポジウムを運営されたフィリピン海軍に敬意を表しますとともに、今後もこうした機会を通して、各国海軍との相互理解、共通認識の醸成に努めていこうと思います。

5 独海軍総監(シェーンバッハ中将)の来訪
 11月5日(金)に、独海軍総監カイ=アヒム・シェーンバッハ中将の来訪を受けました。シェーンバッハ中将とは、本年7月にシンガポールで面会して以来、2度目の懇談となりましたが、かつて江田島の幹部候補生学校を訪問された経験をお持ちで、インド太平洋方面にも高い関心を有しておられることに加え、同じ船乗りとしての気質から意気投合し、大いに語り合うことができました。シェーンバッハ中将からは、今後もインド太平洋方面へのコミットメントを継続していく旨の心強いご発言もあり、海上自衛隊としても「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、独海軍との更なる連携強化を図っていきたいと思います。

6 米太平洋艦隊司令官(パパロ大将)の来訪
 11月9日(火)に、米太平洋艦隊司令官サミュエル・パパロ大将の来訪を受けました。パパロ大将は、本年度の遠洋練習航海部隊がハワイに寄港した際、実習幹部に向けてリーダーシップの原則について講話していただいたことから、このことに対し厚くお礼を申し上げるとともに、我が国周辺の安全保障環境及び将来の海上自衛隊と米海軍との連携のあり方等について、率直な意見交換を実施しました。パパロ大将は温和な語り口の中にも鋭い洞察力をひしひしと感じさせる非常にスマートな指揮官であり、パパロ大将が指揮する精強な米海軍部隊と連携を深めることが、海上自衛隊をより高いレベルに導く道であることを確信しました。今後も、友人として、同僚として、そして地域の平和と安定のために奉仕する同志として、パパロ大将と緊密に連携していきたいと思います。

令和3年度・夏

1 米海兵隊総司令部航空部長の来訪
 8月16日に、米海兵隊総司令部航空部長のマーク・ワイズ中将の来訪を受けました。ワイズ中将は在日米軍副司令官を務められた経歴をお持ちの日本通であり、また、数々の実戦を経験された歴戦の勇士でもあります。久しぶりの日本来訪を楽しまれておられ、会話が大いに弾むとともに、護衛艦「いずも」に対する米海兵隊F-35Bによる発着艦の支援を快諾いただきました。米海兵隊は、海上自衛隊のカウンターパートでもあり、協力すべき分野も拡大していることから、今後もワイズ中将との関係を深化させていきたいと思います。

2 新旧在日米軍兼第5空軍司令官の来訪
 8月25日に、在日米軍兼第5空軍司令官を離任されるケヴィン・シュナイダー中将の、9月9日には、新たに同配置に着任されたリッキー・ラップ中将の来訪を受けました。 シュナイダー中将は、約2年6か月に及んだ任期中、日米同盟深化の中核として活躍されたほか、新型コロナウイルス感染症への対応においては、早期に在日米軍に外出制限やテレワークの指針を示すなど、感染拡大防止に尽力されました。これらの功績に対し、心からの感謝を申し上げるとともに、旭日大綬章受章に対するお祝いを申し上げました。ラップ中将は、指揮官や幕僚としての経歴だけでなく、輸送機を中心に総飛行時間が4,800時間を超える熟練パイロットとしての経歴もお持ちです。アジア地域での勤務経験を有することから、我が国周辺の安全保障環境にも精通しており、非常に頼もしく感じました。今後、更に強固な日米関係を構築していくため、ラップ中将と緊密に連携していきたいと思います。

  • シュナイダー中将
  • ラップ中将

3 第24回国際シーパワーシンポジウムへの参加
 9月14日から17日の間、米海軍作戦本部長マイケル・ギルデイ大将の招待に応じ、米国ロードアイランド州ニューポートで開催された「国際シーパワーシンポジウム」に参加してまいりました。この会議は米海軍が主催し、テレビ会議システムによる参加も含め100か国を超える海軍の代表が参加する世界最大規模の海軍種によるシンポジウムです。今回は、「団結の強化(Strength Unity)」を主題とし、海洋安全保障だけでなく、メンタルヘルスや気候変動といった様々な議題について議論が行われました。また、コロナ禍においては対面での訪問、懇談等が困難でしたが、米海軍長官デル・トロ氏をはじめ、本シンポジウム参加のため一堂に会した各国海軍の代表と、可能な限りの意見交換を実施してきました。
 新型コロナウイルス感染症への対応から、各種制約を余儀なくされる中、見事に会議を運営された米海軍に敬意を表すとともに、今後もこうした国際会議の場を通じて、インド太平洋地域の普遍的重要性と、海洋秩序の安定に貢献し、多国間協力を一層推進する海上自衛隊のスタンスをアピールしていこうと思います。

  • 米海軍長官 デル・トロ氏
  • インド海軍参謀長 シン大将
  • 左から
    アルバニア海軍艦隊司令官 ジェペジア准将
    スペイン海軍参謀長 マートレル大将
    オランダ海軍司令官 レネ・タス中将
  • 左から2番目
    バングラデシュ海軍参謀長 イクバル大将
    左から3番目
    タイ海軍司令官補佐 ブーンイン大将

令和3年度・春

1 米国勲章(Legion of Merit)の受章
 6月1日に、来日中の米インド太平洋軍司令官(前太平洋艦隊司令官)ジョン・アクイリーノ大将から、これまでの功績に対する米国勲章を手渡されました。この受章は、私一人でなしえたものではなく、これまで、日米同盟の強化に携わった多くの方を代表してのものであったと思っています。皆様に改めて感謝するとともに、日米同盟の抑止力・対処力の強化に引き続き邁進する思いを新たにしました。

2 第39次隊海賊対処行動水上部隊「ゆうぎり」出国行事
 6月5日に、横須賀において、防衛大臣の臨席を得て実施された第39次隊海賊対処行動水上部隊である「ゆうぎり」の出国行事に参加しました。大臣から「任務を立派に完遂し、全員が無事に帰国することを、心から祈念しています。」との訓示を胸に乗艦していく乗員の背中は、とても大きく、頼もしいものでありました。

3 米太平洋艦隊司令官の来訪
 6月7日に、アクイリノ大将の後任として米太平洋艦隊司令官として5月5日に着任したパパロ大将の来訪を受けました。相方とも初対面とは感じられない雰囲気で、率直な意見交換を実施することができました。日米同盟の重要性について認識を確認するとともに、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、ともに取り組むことを確かめ合いました。


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