◆中国は、「世界一流の軍隊*」の建設を目指し、軍資源と民間資源を結合させる「軍民融合」と智能化(AIの活用など)を強化しています。
*中国は、「世界一流の軍隊」とは何を意味するか定義していませんが、米軍と同等か、場合によってはそれを上回る軍事力を開発しようとしている可能性が指摘されています。
中国は過去30年以上にわたり高い水準で国防費を増加させ、核・ミサイル戦力や海上・航空戦力を中心に、軍事力の質・量を急速に強化しており、強い懸念となっています。
◆力による一方的な現状変更は、アジアを含む国際秩序全体の根幹を揺るがす行為
2022年2月に発生したロシアによるウクライナ侵略は武力の行使を禁ずる国際法の深刻な違反であり、このような力による一方的な現状変更の影響が、インド太平洋地域にも及ぶことが懸念されます。
ロシアは、ウクライナ侵略の際、武力行使に加え、インターネット網へのサイバー攻撃や偽情報を流布させるなど、いわゆる「ハイブリッド戦」の手法を用いたとみられています。ウクライナについても、政治指導者による情報の発信や米企業提供の衛星インターネットを活用した無人機運用などを実施しているとされています。
◆国際秩序に対する挑戦への対応が世界的な課題に
グローバルなパワーバランスの変化を背景に国家間の戦略的競争は激しさを増しており、中国の広範かつ急速な軍事力の強化、ロシアのウクライナ侵略、中露の連携などにより、このような戦略的競争はさらに複雑化し、国際秩序をめぐる争いが世界的な課題になっています。
◆安全保障の裾野が経済・技術分野に急速に拡大
技術の発展に伴い、AIを搭載したドローンが攻撃や偵察活動を行ったり、偽情報の流布、情報拡散といった影響工作も高度化するなど、戦いの様相に変化が生じています。
経済や安全保障にとって重要となる新興技術の分野で優位を獲得する国が、国家間の競争において有利となるとの認識のもと、各種技術の開発、活用、管理などが政策上の焦点となっています。
◆中国は、尖閣諸島周辺において力を背景とした一方的な現状変更の試みを執拗に継続しています。また、南シナ海においても、一方的な現状変更及びその既成事実化を一層推し進めています。