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<解説>自衛隊の任務について

防衛省・自衛隊も国の行政機関の一つであり、各種任務の遂行にあたっては、法律上の根拠が必要であることは言うまでもありません。防衛省の所掌事務については、防衛省設置法に規定されており、同法第5条により、自衛隊の任務や行動、権限などは、自衛隊法の定めるところによることとされています。自衛隊法には、各種事態などに際し、自衛隊はどのような手続に則って何ができるのかということが、いわばインデックスのような形で規定されています。

自衛隊の任務は、自衛隊法第3条の規定により、「主たる任務」(同条第1項)と「従たる任務」(同条第1項及び第2項)に分けることができます。わが国を防衛するために行う防衛出動が「主たる任務」に該当し、これは唯一自衛隊のみが果たすことのできる任務です。

「従たる任務」には、「必要に応じ、公共の秩序の維持に当たる」ためのもの(いわゆる第1項の「従たる任務」)と、「主たる任務の遂行に支障を生じない限度」において、「別に法律で定めるところにより」実施するもの(いわゆる第2項の「従たる任務」)の2つがあります。前者については、警察機関のみでは対処困難な場合に自衛隊が対応する任務である治安出動や海上における警備行動のほか、弾道ミサイル等に対する破壊措置、災害派遣、領空侵犯に対する措置などが含まれます。後者には、重要影響事態に対応して行う活動(後方支援活動)、国際平和協力活動(国際平和協力業務や国際緊急援助活動)、国際平和共同対処事態に対応して行う活動(協力支援活動など)があります。そして、これら「主たる任務」と「従たる任務」を合わせたものを「本来任務」と呼んでいます。

なお、自衛隊が長年にわたって培ってきた技能、経験、組織的な機能などを活用することが適当であるとの判断から自衛隊が行うこととされたものについては、「本来任務」に対して「付随的な業務」と呼ばれており、国賓等の輸送や教育訓練などの受託、運動競技会に対する協力などがあります。

自衛隊の任務に関する概念図