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第IV部 防衛力を構成する中心的な要素など

5 戦傷医療対処能力の向上

防衛省・自衛隊は、第一線の救護、ダメージコントロール手術、後送にかかる能力の向上を図るため、米軍などにおける取組を調査し、適確な救命のための検討を進め、戦傷医療対処能力の向上を含む教育訓練・研究の充実・強化を図っている。

第一線救護にかかる能力の向上については、准看護師かつ救急救命士の免許を有する隊員が、任務遂行中に負傷した隊員に対し、負傷した現場付近において緊急救命行為6を実施できるようにするため、平成29(2017)年度から当該免許を有する隊員に対して、必要な知識・技能を身につけさせるための教育・訓練を実施している。また、この教育訓練課程を修了した隊員を第一線救護衛生員として指定し、部隊へ配置するとともに、令和元(2019)年度から第一線救護衛生員に対して、救護処置に必要な知識・技能を維持するための教育・訓練を開始した。

さらに、中期防に基づき、陸上における第一線救護を含む戦傷医療に加えて、艦艇又は航空機上での戦傷医療など、各自衛隊の部隊や装備の特性に応じた教育訓練の充実を図るとともに、機上医療訓練システムの整備、救急処置能力向上教材の整備などを推進している。また、戦傷医療教育に必要な各自衛隊共通の衛生訓練基盤の整備を推進することとしている。

6 負傷により気道閉塞や緊張性気胸の症状などとなった者に対する救護処置や、痛みを緩和するための鎮痛剤の投与などの処置