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第III部 わが国防衛の三つの柱(防衛の目標を達成するための手段)

2 「瀬取り」への対応

1 基本的考え方

北朝鮮が密輸によって国連安保理決議の制裁逃れを図っている可能性が指摘されている中、自衛隊はわが国周辺海域において、平素実施している警戒監視活動の一環として、国連安保理決議違反が疑われる船舶についての情報収集も実施している。

2 防衛省・自衛隊の対応

海自艦艇などが、北朝鮮籍タンカーと外国籍タンカーなどが東シナ海の公海上で接舷(横付け)している様子を、2018年から2021年3月末までの間に、計24回確認5し、関係省庁とその都度、情報共有を行った。

これらの船舶は、政府として総合的に判断した結果、国連安保理決議で禁止されている北朝鮮籍船舶との洋上での物資の積替え(「瀬取り」)を実施していたことが強く疑われるとの認識に至ったため、わが国として、国連安保理北朝鮮制裁委員会などに通報するとともに、関係国と情報共有を行ったほか、これらのタンカーの関係国などに対して情報提供を行い、対外公表を実施した。

東シナ海公海上において海自P-1哨戒機が確認した、「瀬取り」を実施していたことが強く疑われる北朝鮮船籍タンカーと船籍不明の小型船舶(2019年12月)

東シナ海公海上において海自P-1哨戒機が確認した、
「瀬取り」を実施していたことが強く疑われる北朝鮮船籍タンカーと
船籍不明の小型船舶(2019年12月)

なお、国連安保理決議で禁止されている北朝鮮籍船舶との「瀬取り」を含む違法な海上活動に対し、米国に加え、関係国が、在日米軍嘉手納飛行場を使用して航空機による警戒監視活動6を行っており、2018年4月以降、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド及びフランスから哨戒機が派遣された。

また、米海軍のほか、英国、カナダ7、オーストラリア及びフランスの海軍艦艇がわが国周辺海域において警戒監視活動8を行っている。防衛省・自衛隊としても、引き続き関係国と緊密に協力を行い国連安保理決議の実効性を確保していくこととしている。

動画アイコンQRコード動画:国連安保理決議が禁止する「瀬取り」への対応
URL:https://youtu.be/eCOduAxZ374(別ウィンドウ)

5 具体的な確認事例は、防衛省HPを参照

6 これまでに、カナダ(2018年4月下旬から約1か月間、2018年9月下旬から約1か月半の間、2019年6月上旬から約1か月間、2019年10月上旬から約1か月間、2020年11月上旬から約1か月間)、オーストラリア(2018年4月下旬から約1か月間、2018年9月中旬から約1か月半の間、2018年12月上旬から約1週間、2019年5月上旬から約1か月間、2019年9月上旬から約1か月間、2020年2月中旬から約1か月間、2020年9月下旬から約1か月間、2021年3月上旬から下旬)、ニュージーランド(2018年9月中旬から約1か月半の間、2019年10月中旬から約1か月間、2020年10月下旬から約1か月間)、フランス(2019年3月中旬から約3週間)が、在日米軍嘉手納基地を使用して、航空機による警戒監視活動を実施している。(2021年3月現在)

7 2019年4月28日、日加首脳会談において、トルドー首相から「瀬取り」警戒監視のためのカナダによる航空機及び艦船の派遣を2年延長するとの表明があり、安倍内閣総理大臣から謝意を表した。

8 これまでに、英国海軍艦艇(2018年5月上旬、同年5月下旬~6月上旬、同年6月中旬、同年12月中旬、2019年1月上旬、同年2月下旬~3月上旬)、カナダ海軍艦艇(2018年10月上旬及び下旬、2019年6月中旬、同年8月下旬、2020年10月上旬)、豪海軍艦艇(2018年10月上旬、2019年5月上旬、2020年10月下旬)並びにフランス海軍艦艇(2019年4月上旬~5月上旬、2021年2月中旬~3月上旬)が、東シナ海を含むわが国周辺海域において警戒監視活動を実施した。(2021年3月31日現在)