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ダイジェスト 第III部 わが国防衛の三つの柱(防衛の目標を達成するための手段)

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わが国自身の防衛体制

平時からグレーゾーンの事態への対応

わが国周辺における常続監視

  • 自衛隊は、各種事態に迅速かつシームレスに対応するため、平素から領海・領空とその周辺の海空域において情報収集及び警戒監視を実施している。

警戒監視を行う陸自隊員

警戒監視を行う陸自隊員

わが国周辺海域において警戒監視にあたる海自P-3C

わが国周辺海域において
警戒監視にあたる海自P-3C

24時間、365日警戒監視にあたる空自レーダーサイト

24時間、365日警戒監視にあたる
空自レーダーサイト

  • 自衛隊はわが国周辺海域において、警戒監視活動の一環として、国連安保理決議違反が疑われる船舶についての情報収集も実施しており、18(平成30)年から20(令和2)年3月末までの間に、計24回の北朝鮮籍船舶による違法な洋上での物資の積替え(「瀬取り」)と強く疑われる行為を確認し公表している。
  • 「瀬取り」を含む違法な洋上での活動に対し、米国に加え、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド及びフランスが、在日米軍嘉手納飛行場を使用して航空機による警戒監視活動を行った。また、米海軍のほか、英国、カナダ、オーストラリア及びフランスの海軍艦艇がわが国周辺海域において警戒監視活動を行った。

「瀬取り」を実施していたことが強く疑われる北朝鮮籍タンカー(19(令和元)年12月)

「瀬取り」を実施していたことが
強く疑われる北朝鮮籍タンカー
(19(令和元)年12月)

領空侵犯に備えた警戒と緊急発進

  • 空自は、わが国周辺を飛行する航空機を警戒管制レーダーや早期警戒管制機などにより探知・識別し、領空侵犯のおそれのある航空機を発見した場合には、戦闘機などを緊急発進(スクランブル)させ、その航空機の状況を確認し、必要に応じてその行動を監視している。
  • 令和元(2019)年度の空自機による緊急発進(スクランブル)回数は947回であり、過去3番目の多さ(このうち中国機に対するものは675回、ロシア機に対するものは268回)。

冷戦期以降の緊急発進実施回数とその内訳

島嶼部を含むわが国に対する攻撃への対応

島嶼部に対する攻撃への対応

  • 島嶼部を含むわが国への攻撃に対しては、必要な部隊を迅速に機動・展開させ、海上優勢、航空優勢を確保しつつ、侵攻部隊の接近・上陸を阻止することとしている。海上優勢、航空優勢の確保が困難な状況になった場合でも、侵攻部隊の脅威圏の外から、その接近・上陸を阻止する。万が一占拠された場合には、あらゆる措置を講じて奪回することとしている。
  • 南西地域の防衛体制強化のため、20(令和2)年3月には、宮古島に地対空誘導弾部隊及び地対艦誘導弾部隊を配置した。今後は、石垣島にも初動を担任する警備部隊などを配置することとしている。
  • 常続監視態勢の強化のため、20(令和2)年3月に警戒航空隊を警戒航空団として格上げし、新編したほか、令和2(2020)年度には、空自に臨時滞空型無人機航空隊(仮称)を新編することとしている。
  • 部隊の迅速かつ大規模な輸送・展開能力を確保するため、20(令和2)年3月、オスプレイを運用する輸送航空隊を新編した。

警戒航空団新編行事(20(令和2)年3月)

警戒航空団新編行事(20(令和2)年3月)

ミサイル攻撃などへの対応

  • わが国の弾道ミサイル防衛は、現在、イージス艦による上層での迎撃とペトリオットPAC-3による下層での迎撃を、自動警戒管制システム(JADGE)により連携させて効果的に行う多層防衛を基本としている。
  • 複雑化・多様化する経空脅威に対し、最適な手段による効果的・効率的な対処を行い、被害を局限するため、ミサイル防衛に加え、従来の防空のための装備品も併せ、一体的に運用する体制を確立し、常時持続的にわが国全土を防護するとともに、多数の複合的な経空脅威についても同時対処できる総合ミサイル防空能力を強化していくこととしている。
  • 陸上配備型イージス・システム(イージス・アショア)については、20(令和2)年6月、配備に関するプロセスを停止し、今後の対応について、国家安全保障会議における議論を踏まえて検討していくこととした。

就役したイージス艦「まや」(20(令和2)年3月)

就役したイージス艦「まや」
(20(令和2)年3月)

宇宙・サイバー・電磁波の領域での対応

宇宙領域での対応

  • 令和4(2022)年度までに宇宙状況監視(SSA)体制を構築することを目指しており、わが国の人工衛星にとって脅威となる宇宙ゴミなどを監視するためのレーダーと運用システムの整備を進めている。
  • 本格的なSSAの運用開始や装備品の導入に先立ち、20(令和2)年5月に宇宙作戦隊を新編した。

サイバー領域での対応

  • 防衛省・自衛隊では、情報システムの安全性確保や専門部隊によるサイバー攻撃対処など、総合的な施策を行っている。
  • 令和2(2020)年度に、サイバー防衛隊をさらに約70名増員し、約290名へと拡充する。

宇宙作戦隊新編行事(20(令和2)年5月)

宇宙作戦隊新編行事
(20(令和2)年5月)

電磁波領域での対応

  • 防衛省・自衛隊は、電磁波の利用を適切に管理・調整する機能の強化、電磁波に関する情報収集・分析能力の強化及び情報共有態勢の構築、わが国への侵攻を企図する相手方のレーダーや通信などを無力化するための能力の強化などに取り組んでいくこととしている。
  • 陸自電子戦部隊の新編などを引き続き行うほか、令和2(2020)年度には、電波妨害を行うスタンド・オフ電子戦機の開発、高出力マイクロ波や高出力レーザーといったゲーム・チェンジャーとなり得る技術の研究や開発を進めることとしている。

新型コロナウイルス感染拡大を受けた防衛省・自衛隊の取組

  • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向け、防衛省・自衛隊は、総力を挙げて様々な活動を行った。なお、これら活動に従事した隊員のうち感染者はゼロであった(20(令和2)年5月31日現在)。
  • クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」への対応など感染拡大防止のための救援にかかる災害派遣、空港における検疫支援など水際対策強化にかかる災害派遣、自治体職員などに対する感染防護教育などを実施した。
  • 自衛隊病院や防衛医科大学校病院においては、新型コロナウイルス患者を受入れたほか、「アビガン錠」の治験も開始した。
  • 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、「自衛隊式」感染防止対策を公開するとともに、防衛相電話会談などを通じて各国に対し、防衛省・自衛隊として感染症対策を行う中で得られた情報・教訓・知見を積極的に共有した。

クルーズ船のクルーから検体を採取する医官(20(令和2)年2月)

クルーズ船のクルーから検体を採取する医官
(20(令和2)年2月)

大規模災害などへの対応

  • 自衛隊は、地方公共団体などと連携・協力し、被災者や遭難した船舶・航空機の捜索・救助、防疫などの活動を行っており、令和元(2019)年度は、8月の前線に伴う大雨(九州北部豪雨)、房総半島台風(台風第15号)、東日本台風(台風第19号)など449件の災害派遣を実施した。
  • 発災当初において、自衛隊はいかなる被害や活動にも対応できる態勢で対応し、人命救助活動を最優先で行いつつ、生活支援などについては、現地対策本部などの場において、自治体・関係省庁などの関係者と役割分担、対応方針、活動期間などの調整を行う。
  • 自衛隊の支援に関する情報により簡単にアクセスすることができるよう、情報発信を強化した。

台風第19号において、救難ヘリコプターによる人命救助にあたる空自隊員(19(令和元)年10月)

台風第19号において、救難ヘリコプターによる人命救助にあたる空自隊員(19(令和元)年10月)

中東地域における日本関係船舶の安全確保のための情報収集

  • 中東地域における平和と安定及び日本関係船舶の安全の確保のためのわが国独自の取組の一環として、情報収集を目的とした海上自衛隊の艦艇を派遣するとともに、ソマリア沖・アデン湾にて活動している既存の海賊対処部隊を活用することを閣議決定した。
  • 20(令和2)年1月11日、海賊対処部隊が、交代のために固定翼哨戒機P-3C(2機)で出国し、同月20日から情報収集活動を開始した。また、護衛艦「たかなみ」は同年2月2日に出港し、同月26日から現場海域における情報収集活動を開始した。同年5月10日には、「たかなみ」と交代するために護衛艦「きりさめ」が出港した。

アラビア海北部において情報収集を行う護衛艦「たかなみ」隊員(20(令和2)年2月)

アラビア海北部において情報収集を行う
護衛艦「たかなみ」隊員(20(令和2)年2月)

日米同盟

日米安全保障体制の意義

  • 本年、締結から60周年を迎えた日米安全保障条約に基づく日米安保体制は、わが国自身の防衛体制とあいまってわが国の安全保障の基軸である。
  • 日米安保体制を中核とする日米同盟は、わが国のみならず、インド太平洋地域、さらには国際社会の平和と安定及び繁栄に大きな役割を果たしている。

「日米安全保障条約」署名60周年記念式典(20(令和2)年1月)【首相官邸ホームページ】

「日米安全保障条約」署名60周年記念式典
(20(令和2)年1月)【首相官邸ホームページ】

ガイドラインの概要

「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)は、同盟を現代に適合したものとし、また、平時から緊急事態までのあらゆる段階における抑止力及び対処力を強化することで、より力強い同盟とより大きな責任の共有のための戦略的な構想を明らかにするものである。

日米間の政策協議

  • 日米首脳会談
    19(令和元)年9月25日、ニューヨークにおいて開催し、日米同盟が史上かつてなく強固であるとの認識を再確認し、揺るぎない日米同盟を今後とも一層強化していくことで一致した。
  • 日米防衛相会談
    20(令和2)年1月14日、ワシントンDCにおいて、主として以下の点について確認し、また、前年12月に閣議決定した中東地域への自衛隊派遣について説明した。
    • 中東地域における事態のさらなるエスカレーションを避けるべきであること
    • 北朝鮮による全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な廃棄に向け、引き続き、国連安保理決議の完全な履行を確保すること
    • 東シナ海・南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試みに反対するとともに、法の支配、航行の自由の定着に向けて協力すること
    • 整合する両国の戦略を具体化するため、引き続き日米間で緊密に連携し、日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化に取り組むこと
    • 自由で開かれたインド太平洋を維持・強化するため、日米が基軸となって、共同訓練や能力構築支援の実施を含め、多様なパートナーと協力していくこと
    • 恒常的な空母艦載機着陸訓練(FCLP)の候補地となっている馬毛島の取得を含めた米軍再編計画の着実な進展のため、日米で緊密に協力していくこと
    • 普天間飛行場の辺野古への移設が、普天間飛行場の継続的な使用を回避する唯一の解決策であること
    • 在日米軍の即応性維持のためにも地元の理解と協力が不可欠であるとの認識のもと、引き続き日米で協力していくこと

日米防衛相会談(20(令和2)年1月)

日米防衛相会談(20(令和2)年1月)

日米同盟の抑止力及び対処力の強化

わが国の平和と安全を確保するため、日米は、「宇宙領域やサイバー領域における協力」、「総合ミサイル防空」、「共同訓練・演習」、「情報収集・警戒監視・偵察(ISR)活動」、「海洋安全保障」、「後方支援」、「わが国における大規模災害への対処における協力」など、あらゆる分野で協力を進めている。

日米共同訓練(19(令和元)年11月)

日米共同訓練(19(令和元)年11月)

幅広い分野における協力の強化・拡大

  • 日米両国は、自由で開かれた海洋秩序を維持・強化することを含め、望ましい安全保障環境を創出するため、インド太平洋地域におけるプレゼンスを高めることも勘案しつつ、「海洋安全保障」、「人道支援・災害救援」、「三か国及び多国間での訓練・演習」などの日米共同の活動を実施するとともに、「防衛装備・技術協力」、「共同使用」などに関する協力を推進している。

在日米軍駐留に関する施策の着実な実施

  • 在日米軍のプレゼンスは、抑止力として機能している一方で、在日米軍の駐留に伴う地域住民の生活環境への影響を踏まえ、各地域の実情に合った負担軽減の努力が必要である。

沖縄在日米軍施設・区域(専用施設)の件数及び面積の推移

在日米軍の駐留

  • 日米同盟が、わが国の防衛や地域の平和と安定に寄与する抑止力として十分に機能するためには、在日米軍のプレゼンスが確保されていることや、在日米軍が緊急事態に迅速かつ機動的に対応できる態勢が、平時からわが国とその周辺でとられていることなどが必要である。
  • このため、わが国は、日米安保条約に基づいて米軍の駐留を認めており、在日米軍の駐留は、日米安保体制の中核的要素となっている。

沖縄における在日米軍の駐留

  • わが国における在日米軍施設・区域(専用施設)のうち、面積にして約70%が沖縄に集中し、県面積の約8%、沖縄本島の面積の約14%を占めている。このため、沖縄における負担の軽減については、前述の安全保障上の観点を踏まえつつ、最大限の努力をする必要がある。
  • 普天間飛行場の有する機能の分散について、緊急時に航空機を受け入れる基地機能を築城基地及び新田原基地へ移転するための施設整備を推進。
  • 普天間飛行場代替施設については、キャンプ・シュワブ南側の海域において埋立工事を実施。20(令和2)年4月、沖縄防衛局は、公有水面埋立法に基づき地盤改良工事の追加等に伴う埋立の変更承認申請書を沖縄県に提出。
  • 駐留軍用地の返還に関する主な進捗は、以下のとおり。
    • 15(平成27)年3月:キャンプ瑞慶覧(西普天間住宅地区)(約51ヘクタール)の返還
    • 16(平成28)年12月:本土復帰後最大の返還となった北部訓練場の過半の土地(約4,000ヘクタール)の返還
    • 17(平成29)年7月:普天間飛行場の一部土地(市道宜野湾11号線用地約4ヘクタール)の返還
    • 18(平成30)年3月:牧港補給地区の一部土地(国道58号拡幅用地約3ヘクタール)の返還
    • 19(平成31)年3月:牧港補給地区の一部土地(第5ゲート付近の区域約2ヘクタール)の返還
    • 20(令和2)年3月:キャンプ瑞慶覧の施設技術部地区の一部(約11ヘクタール)の返還

訓練のため、国分台演習場(香川県)に飛来した米海兵隊MV-22オスプレイ(19(令和元)年12月)

訓練のため、国分台演習場(香川県)に飛来した
米海兵隊MV-22オスプレイ(19(令和元)年12月)

沖縄を除く地域における在日米軍の駐留

  • 沖縄を除く地域においても、米軍の抑止力を維持しつつ、地元負担の軽減を図り、在日米軍の安定的な駐留を確保する施策を実施。在日米軍施設・区域の整理や在日米軍再編などを継続している。
  • 恒常的な空母艦載機着陸訓練施設について、19(令和元)年12月、防衛省は、馬毛島(鹿児島県西之表市)の過半を超える土地を取得し、自衛隊施設の整備に向けた各種調査などの取組を進めている。

安全保障協力

防衛省・自衛隊は、多角的・多層的な安全保障協力を推進し、わが国にとって望ましい安全保障環境を創出していく。

多角的・多層的な安全保障協力の戦略的な推進に向けて

「自由で開かれたインド太平洋」というビジョンのもとでの取組

「自由で開かれたインド太平洋ビジョン」の3本柱

  1. ①法の支配、航行の自由、自由貿易等の普及・定着
  2. ②経済的繁栄の追求(連結性の向上など)
  3. ③平和と安定の確保

防衛省における「自由で開かれたインド太平洋」というビジョンの方向性

その1 防衛協力・交流を活用し、主要シーレーンの安定した利用を確保

その2 信頼醸成や相互理解を進め、不測の事態を回避

その3 関係各国と協力し、地域の平和と安定に貢献

インド太平洋地域は、世界人口の半数以上を養う世界の活力の中核であり、この地域を自由で開かれた「国際公共財」とすることにより、地域全体の平和と繁栄を確保していくことが重要である。

防衛省・自衛隊は、「自由で開かれたインド太平洋」を推進するため、同地域における各国との間で防衛協力・交流を強化することとしている。

自由で開かれたインド太平洋 図

各国との防衛協力・交流の推進

  • オーストラリア:19(令和元)年11月、防衛相会談を実施。防衛協力の深化・拡大について確認
  • インド:19(令和元)年9月に防衛相会談、同年11月に防衛相会談及び閣僚級「2+2」を実施し、二国間の安全保障協力を進めることに対するコミットメントを表明
  • ASEAN諸国:19(令和元)年11月、日ASEAN防衛協力の指針「ビエンチャン・ビジョン」のアップデート版である「ビエンチャン・ビジョン2.0」を日ASEAN防衛担当大臣会合において発表、各国国防大臣と会談を実施
  • 韓国:19(令和元)年11月、韓国政府が日韓GSOMIAを終了させる旨の通告の効力を停止する決定を行ったことに対し防衛大臣より「東アジアの安全保障環境が厳しい中で、日米、日韓、日米韓の連携が重要であり、そのような状況を韓国側も戦略的に考えた決定と考えている」とのコメントを発表
  • 欧州諸国・カナダ・ニュージーランド:19(令和元)年11月のADMMプラス、20(令和2)年2月のミュンヘン安全保障会議の機会を活用し、各国国防大臣と防衛相会談を実施。19(令和元)年10月、陸幕長が初めてカナダを公式訪問
  • 中国:19(令和元)年10月、中国艦艇が約10年ぶりに日本に寄港。同年12月、10年ぶりに防衛大臣が中国を訪問し、日中防衛相会談を実施
  • ロシア:19(令和元)年8月から9月、陸自音楽隊がモスクワ国際軍楽祭に初めて参加。同年12月、ロシア海軍総司令官が18年ぶりの訪日
  • 太平洋島嶼国:20(令和2)年1月から2月、防衛副大臣がフィジー、パプアニューギニア及びトンガを政務三役として初めて訪問
  • 中東諸国:19(令和元)年11月のマナーマ対話、同年12月のドーハフォーラムに防衛大臣として初参加、ヨルダン・オマーンにも初訪問し、防衛相会談を実施。また、各国との電話会談も実施

日豪防衛相会談(19(令和元)年11月)

日豪防衛相会談(19(令和元)年11月)

日印「2+2」(19(令和元)年11月)

日印「2+2」(19(令和元)年11月)

フィジー防衛・国家安全保障・外務大臣と会談する山本防衛副大臣(20(令和2)年1月)

フィジー防衛・国家安全保障・外務大臣と会談する山本防衛副大臣
(20(令和2)年1月)

多国間における安全保障協力の推進

  • 拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)や、ASEAN地域フォーラム(ARF)をはじめとした多国間枠組みの取組が進展しており、アジア太平洋地域の安全保障分野にかかる議論や協力・交流の重要な基盤となっている。日ASEAN防衛協力の指針「ビエンチャン・ビジョン2.0」に基づき、二国間協力に加え、多国間の枠組みでの協力を強化している。
  • わが国としても、日ASEAN防衛当局次官級会合や東京ディフェンス・フォーラムを毎年開催するなど、地域における多国間の協力強化に寄与している。
  • また、国際機関主催の国際会議、民間機関主催の国際会議のほか、各軍種間における取組にも積極的に参加している。

日ASEAN防衛担当大臣会合(19(令和元)年11月)

日ASEAN防衛担当大臣会合(19(令和元)年11月)

多国間フォーラム「ライシナ・ダイアローグ2020」に参加する山崎統幕長(20(令和2)年1月)

多国間フォーラム「ライシナ・ダイアローグ2020」に
参加する山崎統幕長(20(令和2)年1月)

能力構築支援への積極的かつ戦略的な取組

  • 防衛省・自衛隊による能力構築支援は、12(平成24)年の開始以降、インド太平洋地域を中心に、15か国・1機関に対し、人道支援・災害救援、PKO、海洋安全保障などの分野で支援してきている。
  • 能力構築支援の一環として19(令和元)年に実施した派遣は11カ国20件、延べ126名であり、招へいは4カ国1機関6件、延べ75名である。
  • 具体的な事業として、19(令和元)年9月から10月にかけ、英国が開催する「ロイヤル・エディンバラ・ミリタリー・タトゥー」に参加するパプアニューギニア軍楽隊への演奏技術指導を行った。その他、ラオス、モンゴル、カンボジア、フィリピン、スリランカ、マレーシア、ミャンマー、ジブチなどで事業を実施した。

パプアニューギニア軍楽隊に対し教育する陸自隊員(19(令和元)年9月)

パプアニューギニア軍楽隊に対し教育する陸自隊員
(19(令和元)年9月)

海洋安全保障の確保

  • 海洋国家であるわが国にとって、法の支配、航行の自由などの基本的ルールに基づく秩序を強化し、海上交通の安全を確保することは、平和と繁栄の基礎であり、極めて重要である。
  • 自衛隊は、09(平成21)年以降、水上部隊、航空隊及び支援隊を派遣し、ソマリア沖・アデン湾において船舶を海賊行為から防護する活動を継続している。
  • 共同訓練や寄港を通じインド太平洋地域沿岸国との連携を強化するとともに、沿岸国などの海洋安全保障に関する能力構築支援の取組や拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)などの地域の安全保障対話の枠組みにおいて海洋安全保障のための協力に取り組んでいる。

ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動に向け出発する海自隊員(19(令和元)年11月)

ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動に向け
出発する海自隊員(19(令和元)年11月)

宇宙領域及びサイバー領域の利用にかかる協力

  • 宇宙領域の利用にかかる協力として、米軍が主催する宇宙状況監視多国間机上演習「グローバル・センチネル」及び宇宙安全保障に関する多国間机上演習「シュリーバー演習」に参加した。
  • サイバー領域の利用にかかる協力として、米国、英国、オーストラリアなどと防衛当局間サイバー協議を実施している。19(令和元)年12月には、これまでオブザーバーとして参加していたNATOサイバー防衛演習に初めて正式に参加したほか、19(令和元)年8月にはベトナム軍に対するサイバーセキュリティー分野の人材育成セミナーを実施するなど協力の拡大を図っている。

軍備管理・軍縮及び不拡散への取組

  • 大量破壊兵器及びその運搬手段となり得るミサイルなどの拡散や武器及び軍事転用可能な貨物・機微技術の拡散については国際社会の平和と安定に対する差し迫った課題である。また、近年、自律型致死兵器システム(LAWS)に関する国際的な議論も行われている。
  • 防衛省・自衛隊は、18(平成30)年4月から非国家主体への大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散防止を目的とした、国連安全保障理事会決議第1540号(04(平成16)年4月採択)に関する1540委員会専門家グループのメンバーとして職員1名を派遣するなどしている。

ニュージーランドにおいて太平洋諸島の国会議員に対して国連安保理決議第1540号を説明する防衛研究所職員(19(令和元)年9月)

ニュージーランドにおいて太平洋諸島の国会議員に対して国連安保理決議第1540号を説明する防衛研究所職員(19(令和元)年9月)

国際平和協力活動への取組

防衛省・自衛隊は、紛争・テロなどの根本原因の解決などのための開発協力を含む外交活動とも連携しつつ、国際平和協力活動への取組を積極的に取り組んでいる。

多国籍部隊・監視団(MFO)への派遣

  • 19(平成31)年4月、シナイ半島国際平和協力業務の実施について閣議決定を行ったうえで、初めての国際連携平和安全活動としてMFOへの司令部要員2名の派遣を開始した。
  • 派遣要員は、シナイ半島南部シャルム・エル・シェイクの南キャンプに所在するMFO司令部において、エジプト・イスラエル両国とMFOとの連絡調整に従事する連絡調整部の副部長及び部員として勤務している。

MFOにおいて活動する陸自隊員(20(令和2)年4月)

MFOにおいて活動する陸自隊員
(20(令和2)年4月)

国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)への派遣

  • 南スーダンの平和と安定は、南スーダン一国のみならずアフリカ全体の平和と安定につながるものであり、国際社会で対応すべき重要な課題である。
  • UNMISS司令部に兵站、情報、施設、航空運用の各幕僚計4名を派遣しており、派遣施設隊の撤収後も引き続き、UNMISSの活動に貢献していく。

UNMISSにおいて活動する陸自隊員(19(令和元)年12月)

UNMISSにおいて活動する陸自隊員
(19(令和元)年12月)

国連三角パートナーシップ・プロジェクト(UNTPP)への支援

  • 本プロジェクトは、わが国が拠出した資金を基に、国連活動支援局が重機の調達や工兵要員等への訓練を実施しているものであり、15(平成27)年9月以降、アフリカに延べ164名の陸上自衛官を派遣し、9回の訓練をアフリカの8か国277名に対して実施している。
  • PKO要員の30%以上がアジアから派遣されていることを踏まえ、18(平成30)年11月以降、アジア及び同周辺地域でも行っている。
    また、国連PKOで衛生能力強化が課題となっていることを踏まえ、19(令和元)年10月には医療分野での教育を実施した。

ベトナムにおいて重機操作教育を行う陸自隊員(20(令和2)年2月)

ベトナムにおいて重機操作教育を行う
陸自隊員(20(令和2)年2月)

国際緊急援助活動への取組

  • 防衛省・自衛隊は人道的な貢献やグローバルな安全保障環境の改善の観点から、国際協力の推進に寄与することを目的に国際緊急援助活動に積極的に取り組んでいる。
  • 近年では、ジブチ共和国で発生した大雨、洪水被害に対し19(令和元)年11月から12月にかけて、またオーストラリアで発生した大規模な森林火災に対し20(令和2)年1月から2月にかけて国際緊急援助活動を実施した。

ジブチ共和国における大雨、洪水被害に対する国際緊急援助活動に従事する隊員(19(令和元)年11月)

ジブチ共和国における大雨、洪水被害に
対する国際緊急援助活動に従事する隊員
(19(令和元)年11月)