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<VOICE>ASEANの人道支援・災害救援の能力向上に向けた実践的な取組

防衛研究所特別研究官(政策シミュレーション担当)付政策シミュレーション室(東京都新宿区)
主任研究官 佐竹 知彦(さたけ ともひこ)

私は、平成31年1月30日、防衛研究所にて実施された日ASEAN人道支援・災害救援(HA/DR)に関する机上演習(TTX)に、ファシリテーター(議論の司会者)として参加したほか、TTXの問題設定とシナリオの立案も担当しました。本TTXは、ASEAN全加盟国から軍人などを招待して国際政策課が主催する「第2回HA/DRに関する日ASEAN招へいプログラム」の一環として行われたもので、日本とラオスが共同で作成した災害時における多国間調整所(MNCC)での標準手順書(SOP)の習熟を目的としたものです。

近年、ASEANはHA/DRに特化した「ASEAN即応群」の創設をはじめとして、地域が一体となった災害支援を模索しています。本TTXでもそうしたASEAN一体となったアプローチを支援する観点から、地域内における台風被害を想定したシナリオを元に、SOPの具体的な運用について、3つのフェーズ(①災害発生直後、②災害発生から1週間後、③支援国撤収時期)に分けて議論を行いました。

丸一日かけて行われた議論を通して、SOPによって割り当てられた各グループの役割や、MNCCの運用などについて日本・ASEAN双方の参加者の理解を深めることができました。研究者としても、「防衛外交」の現場に直接触れることのできる貴重な経験でした。本TTXが、地域一体となった災害支援活動の向上と日ASEAN関係の強化に少しでも資することを願って止みません。

机上訓練で参加者の発表を聞く筆者(左から2人目)

机上訓練で参加者の発表を聞く筆者(左から2人目)

机上訓練で司会を務める筆者

机上訓練で司会を務める筆者