災害派遣は、都道府県知事などが、災害に際し、防衛大臣又は防衛大臣の指定する者へ部隊等の派遣を要請し、要請を受けた防衛大臣などが、やむを得ない事態と認める場合に部隊等を派遣することを原則としている27。これは、都道府県知事などが、区域内の災害の状況を全般的に把握し、都道府県などの災害救助能力などを考慮したうえで、自衛隊の派遣の要否などを判断するのが最適との考えによるものである。
防衛大臣は、大規模地震対策特別措置法に基づく警戒宣言28又は原子力災害対策特別措置法に基づく原子力緊急事態宣言が出されたときには、地震災害警戒本部長又は原子力災害対策本部長(内閣総理大臣)の要請に基づき、部隊等の派遣を命ずることができる。
参照図表II-5-2-6(要請から派遣、撤収までの流れ)
III部1章2節4項(大規模災害などへの対応)
27 海上保安庁長官、管区海上保安本部長及び空港事務所長も災害派遣を要請できる。災害派遣、地震防災派遣、原子力災害派遣について、①派遣を命ぜられた自衛官は、自衛隊法第94条(災害派遣時等の権限)に基づき、避難等の措置(警職法第4条)などができる。②災害派遣では予備自衛官及び即応予備自衛官に、地震防災派遣又は原子力災害派遣では即応予備自衛官に招集命令を発することができる。③必要に応じ特別の部隊を臨時に編成することができる。
28 気象庁長官から、地震予知情報の報告を受けた場合において、地震防災応急対策を行う緊急の必要があると認めるとき、閣議にかけて、地震災害に関する警戒宣言を内閣総理大臣が発する。