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<VOICE>各国で活躍する防衛駐在官

在エストニア防衛駐在官 2等陸佐 伊代野 美奈子(いよの みなこ)

エストニア初の防衛駐在官として着任以来、国防関係者の方々との心温まる交流を通じて、日本との絆が着実に深まっていることを日々実感しています。

バルト三国の北に位置するデジタル先進国エストニアは、サイバーセキュリティ分野で多国間協力を牽引しています。私自身のサイバー部隊長としての経験を活かし、この国との防衛協力推進に尽力しています。ロシアと直接国境を接するエストニアでは、領空侵犯や越境事案が後を絶たず、侵略への強い危機感が広がっています。高い国防意識のもと、国民が自ら国防を担う国防同盟軍の活動を目の当たりにし、また、強固な防御施設600基を含む「バルト防衛線」や「ドローンの壁」の構築が進む現場に立ち、任務への決意を新たにしています。

ウクライナを「自分ごと」と捉え、目まぐるしく変化する戦場に対応しながら、知恵と先端技術でロシアに対抗しようとするエストニア国民の姿は、研究開発分野に携わってきた技術系幹部である私にとって、大きな刺激であり、多くの学びを得ています。

配偶者同行休業中の夫(陸上自衛官)の献身的な支えと、この地で健やかに育つ三人の子供たちの成長に感謝しつつ、最前線で得た知見を日本の安全保障に活かすべく、任務に邁進しています。

NATOとの多国間演習を視察する筆者

NATOとの多国間演習を視察する筆者

在ロシア防衛駐在官 1等海佐 渡辺 直人(わたなべ なおと)

ロシアによるウクライナ侵略開始から3年弱が経過した2025年1月にモスクワに赴任しました。日本と欧州の双方に隣接する広大なロシアをモスクワから観察し、特にウクライナ侵略を巡るロシアと国際社会の動向を目の当たりにし、国際情勢の複雑かつ厳しい現実を日々実感しています。ロシアのUAVやミサイル攻撃によりウクライナ全土での多大な被害が報じられる一方、ロシア国内ではウクライナ国境付近の被害が中心であり、時折モスクワ周辺にUAVが飛来する事例があるものの、モスクワ市内の情勢は全体として安定しています。ウクライナ侵略では無人アセットの進化が戦場の様相を激変させており、世界の軍事情勢にも大きな影響を与えています。ロシアは侵略を継続しつつ、戦略兵器の能力向上や極超音速ミサイルをはじめとする新型兵器の開発を推進するとともに、北極圏の海氷融解を背景に北極海航路の開発も活発化させています。防衛駐在官は、任国の軍事動向の情報収集・分析のみならず、不測事態を防止するための両国間の意思疎通の役割も担っており、このような厳しい情勢において果たすべき役割は大きく、引き続き高い緊張感を持って任務に邁進します。

海軍武官との1枚(筆者は右から2番目)

海軍武官との1枚(筆者は右から2番目)

在カタール防衛駐在官 1等空佐 立川 涼(たつかわ りょう)

昨年、カタールは6月にイランから首都ドーハ約50キロ西方に位置するアル・ウデイド空軍基地、9月にはイスラエルからドーハ市街のハマス事務所が攻撃されました。本年に入っても、2月末に再び攻撃を受け、それまで以上に被害地域が拡大しています。カタールにとっては1971年に独立して建国されて以来、未曾有の安全保障上の試練に直面しています。

私は2023年にクウェートからの振替により、初の常駐のカタール防衛駐在官として着任しました。激動する中東情勢の中で、現地でしか得られない情報収集に努めるとともに、防衛当局間協議を軸に、カタール軍との防衛交流が質・量ともに着実に拡大していることを実感しています。

カタール軍とは組織文化や考え方に違いがあるものの、繰り返し訪問し交流や意見交換を重ねる中で相互理解が深まり、協力可能な分野も徐々に見えてきています。今後も試行錯誤を続けながら、両国の防衛協力関係を一層強化していきます。

イランからの攻撃の際、カタール軍が発射したペトリオット・ミサイル前にて

イランからの攻撃の際、カタール軍が発射したペトリオット・ミサイル前にて