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<視点>ロシア・中国・北朝鮮の軍事協力

防衛研究所 米欧ロシア研究室 室長 山添 博史(やまぞえ ひろし)

ロシアは2022年2月以降、ウクライナ領内を攻撃、占領する激しい攻撃を続け、多くの人権侵害を引き起こしています。経済制裁が課されるなかにあっても、石油・ガスの輸出先の転換に加え、増税や国債の発行により戦費を調達しているとみられ、制裁に一定の耐性を示しています。また、軍需産業への優先的な資源配分を通じて軍需品の生産体制を強化しているほか、新規契約兵の獲得にも注力しており、大量の軍需品や人員をウクライナに送り込み続けています。特に、軍需品に関しては国外からの支援も受けており、例えば、中国との取引で得られる外貨および通信機器やセンサーなどの技術物資を用いて軍需品を生産していると指摘されています。また、イランから製造技術を得たシャヘド系ドローンが戦場に投入されており、ウクライナ政府によると、ロシアは中国製部品を用いてシャヘド系を改良したゲラニ系ドローンを大量生産しています。北朝鮮からも砲弾や弾道ミサイルが供与されており、ロシアが用いる砲弾の半数以上が北朝鮮由来との指摘もあります。こうした国外からの支援により、ロシアは高烈度の攻撃を継続することが可能となっています。

一方、ロシアに対する軍事支援は、ロシアのみならず支援する側にとっても利点があると考えられます。例えば、軍事技術や各種兵器が戦場で使用された場合、その経験や効果に関するデータが技術提供元にも共有される可能性があります。中国としても最新の戦術の知見を得る機会となっているでしょう。また、北朝鮮製の弾道ミサイルはロシアの軍事作戦で使用され、北朝鮮兵士もドローンの運用や電子戦を経験しており、ここで得られた教訓をもとに北朝鮮の運用能力が向上するおそれがあります。加えて、取引を通じてロシアから北朝鮮に軍事技術が移転している可能性も考慮する必要があります。北朝鮮の防空システム、水上艦艇、潜水艦、軍事偵察衛星などに関してロシアによる技術の可能性が指摘されています。北朝鮮に対する軍事協力は国連安保理決議により禁止されている中での、ロシアによる軍事技術の移転は、北朝鮮にとっては軍事力を強化する極めて貴重な機会になりえます。

このように、ウクライナ侵略を契機とした中露協力・露朝協力は、ロシアの継戦能力を下支えしているだけでなく、戦術の共有を通じた中国の作戦能力の向上や北朝鮮の核・ミサイル戦力をはじめとする軍事力の増強にもつながりうるものです。こうした協力の動向については、わが国を取り巻くインド太平洋地域の安全保障に与える影響の観点からも、引き続き注視していく必要があります。

(注)本コラムは、研究者個人の立場から学術的な分析を述べたものであり、その内容は政府としての公式見解を示すものではありません。