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<解説>党第9回大会を踏まえた北朝鮮の核・ミサイル開発の見通し

2026年2月の朝鮮労働党第9回大会において、金正恩委員長は、前回第8回大会以降の軍事面での成果を総括するとともに、今後5年間における新たな方針を表明しました。

金委員長は、第8回大会以降に得られた「最も重大で戦略的な意義を有する」成果として、「核保有国の地位を逆戻りすることができないように永久的に固めたこと」を強調しました。これに至った重要な過程として、法令「核武力政策について」を採択したことと、憲法に「核兵器発展を高度化」するとの内容を明記したことの2点を挙げています。2022年9月に採択された法令「核武力政策について」は、核兵器の使用条件などが定められており、金委員長は当時、この法令の採択について「国家防衛手段として戦争抑止力を法的に持つようになったことを内外に宣布した特記すべき出来事だ」と評価しました。また、2023年9月、憲法に「核兵器発展を高度化」するとの内容を明記した際、金委員長は「核武力建設政策が誰によっても、何によっても傷つくことがないように国家の基本法として永久化された」と言及しました。北朝鮮は、これら核兵器に関する制度面の整備を通じて、名実ともに「核保有国」となったと繰り返し主張していることから、今後もこうした認識に基づいて、核・ミサイル開発を一方的に正当化し、その戦力の増強に注力していくものとみられます。

党第9回大会において金委員長は、今後5年間の新たな方針を示しましたが、その一つに、既に開発された兵器の実戦配備を強調しました。今後配備していくとされた兵器として、「戦略的な敵手を牽制するための戦略武器体系」、「600mm放射砲」、「新型240mm放射砲体系」、「作戦戦術ミサイル総合体」が挙げられました。この方針に基づく今後の北朝鮮の動向については、わが国の安全保障の観点から深刻に懸念されます。例えば、わが国の一部を射程に収める短距離弾道ミサイルAは、2025年5月に発射された際に「戦術弾道ミサイル」と呼称されており、今回の大会で言及された「作戦戦術ミサイル総合体」に含まれている可能性も考えられます。この弾道ミサイルは、低空を変則的な軌道で飛翔することが可能とみられ、一般に通常の弾道ミサイルと比較して迎撃がより困難とされています。また、ウクライナに対して使用されていることが指摘されており、実戦使用を通じたさらなる性能向上や運用能力の向上が懸念されています。

今後、今回の大会で金委員長が示したとおりに各種ミサイルなどの配備が進展した場合、北朝鮮のミサイル戦力がわが国にとってより迎撃が困難なものとなり、わが国のミサイル防衛の観点から深刻に懸念されます。また、北朝鮮が「戦争抑止力」の手段と位置付ける各種ミサイルの配備を進めることで、自身の抑止力を過信し、軍事的な挑発行為をさらにエスカレートさせていくおそれもあります。

北朝鮮は、ミサイル開発を依然として継続し、弾道ミサイルの発射を繰り返し強行するなど、地域と国際社会の平和と安全を著しく損なっています。さらに、最近では、ロシアとの軍事協力が格段の深化を見せており、この協力を通じた北朝鮮の軍事力のさらなる増強が懸念される状況になっています。このように、北朝鮮の軍事動向が、わが国の安全保障にとって従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威となっているなか、今回金委員長が示した各種方針を踏まえて、北朝鮮が今後どのように軍事力を強化していこうとするのか、その動向については、引き続き米国・韓国とも緊密に連携しながら、しっかりと注視していかなければなりません。