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第II部 わが国の安全保障・防衛政策

7 防衛力を支える要素

1 訓練・演習

各種事態発生時に効果的に対処し、抑止力の実効性を高めるため、自衛隊の統合訓練・演習や日米の共同訓練・演習に加え、同志国などとの二国間、多国間の訓練・演習についても計画的かつ目に見える形で実施し、事態に応じて柔軟に選択される抑止措置(FDO)としての訓練・演習などの充実強化を図るなど、力による一方的な現状変更やその試みは認められないとの意思と能力を示していく。

また、有事において、部隊などの能力を最大限発揮するため、北海道をはじめとする国内の演習場などを整備し、その活用を拡大するとともに、国内において必要な訓練基盤の整備・充実を着実に進める。米軍施設・区域の日米共同使用や民間の空港、港湾施設などの利用拡大を図るとともに、南西地域の島嶼部などに部隊を迅速に展開するための訓練を強化し、島嶼部における外部からの武力攻撃に至らない侵害や武力攻撃に適切に対応するため、警察、海上保安庁、消防、地方公共団体などとの共同訓練、国民保護訓練などを強化する。

こうした訓練を拡大していくためには、関係する地方公共団体や地元住民の理解や協力を得る必要があるため、訓練の安全確保に万全を期しつつ、北海道をはじめとする国内の演習場などを含め、訓練基盤の周辺環境への配慮をしていく。

2 海上保安庁との連携・協力の強化

海上保安庁との情報共有・連携体制を深化するとともに、武力攻撃事態時における防衛大臣による海上保安庁の統制要領の作成や共同訓練の実施を含め、各種の対応要領や訓練の充実を図る。

海自と海保の共同訓練

海自と海保の共同訓練

3 地域コミュニティーとの連携

日頃から防衛省・自衛隊の政策や活動、在日米軍の役割に関する積極的な広報を行い、地元に対する説明責任を果たしながら、地元の要望や情勢に応じた調整を実施する。

部隊の改編や駐屯地・基地などの配置・運営にあたっては、地方公共団体や地元住民の理解を得られるよう、地域の特性に配慮する。

4 政策立案機能の強化など

有識者から政策的な助言を得るための会議体を設置するほか、自衛隊の将来の「戦い方」とそのために必要な先端技術の活用・育成・装備化について、関係省庁や民間の研究機関、防衛産業を中核とした企業との連携を強化しつつ、戦略的な観点から総合的に検討・推進する態勢を強化する。さらに、防衛研究所を中心とする防衛省・自衛隊の研究体制を見直し・強化し、知的基盤としての機能を強化する。

また、国民が安全保障政策に関する知識や情報を正確に認識できるよう教育機関などへの講師派遣、公開シンポジウムの充実などを通じ、安全保障教育の推進に寄与する研究成果などへの国民のアクセスが向上するよう効率的かつ信頼性の高い情報発信に努めるなど情報発信の能力を高める各種施策を推進する。また、防衛研究所を中心とする防衛省・自衛隊の研究・教育機能を一層強化するため、国内外の研究・教育機関や大学、シンクタンクなどとのネットワーク及び組織的な連携を拡充する。