平和や独立が脅かされないよう、日本にとって望ましい国際環境を作るための外交(交渉・協力など)といった手段が重要です。同時に効果的な外交には裏付けとなる防衛力が必要です。十分な力を持たない相手であると思われてしまうと、外交上、不利であり、ロシアによるウクライナ侵略のように国に攻め込まれてしまうことがあります。
軍事的には、ウクライナは、ロシアから「国を守るために十分な力を持っていない」と思われたため、ロシアによる侵略を思いとどまらせることができなかったということなのです。
戦争を未然に防ぐためには、自分たちの国を守りぬく意思と能力があることを周りに示し、日本から何かを奪うのは難しいとほかの国に思わせることが必要です。さらに、それでもほかの国に攻め込まれるような場合には、確実に守り切ることができるようにしておくことが必要なのです。
多くのお金と労力をかけて、自衛隊が能力を強化しているのは、ほかの国と戦争をしたいからではありません。自衛隊が万全の態勢を整えているということを示すことで、ほかの国に「日本とは戦争をしたくない」と思わせ、戦争が起きないようにすることが自衛隊にとっての一番の勝利なのです。このようにほかの国に対し、日本を攻めることを思いとどまらせる力を「抑止力」といいます。