①国の防衛(ぼうえい)はなぜ必要なの?

国の独立(どくりつ)や平和、安全を守るとは

自衛隊(じえいたい)は日本の平和や独立(どくりつ)、そして安全を守る(防衛(ぼうえい)する)ことが任務(にんむ)組織(そしき)ですが、なぜ国の平和や独立(どくりつ)、安全を守る必要があるのでしょうか。
 国の独立(どくりつ)が守られていることで、わたしたちが政治(せいじ)経済(けいざい)、社会のあり方を、ほかの(だれ)かに強制(きょうせい)されず、わたしたち自身で決めることができます。また、平和と安全はわたしたちが安心して生活し、繁栄(はんえい)を続けていく上でなくてはならないものです。
 しかし、こうした国の独立(どくりつ)や平和、安全は、残念ながら願うばかりで実現(じつげん)できるものではありません。
 例えば、みなさんが強盗(ごうとう)にあったり、暴力(ぼうりょく)をふるわれたりしたとき、警察(けいさつ)()べばすぐに助けがきて、犯人(はんにん)逮捕(たいほ)してくれると思います。しかし、国際(こくさい)社会では、ほかの国に何かを(うば)われたり、攻撃(こうげき)をされたりしたとしても、警察(けいさつ)のように(たよ)れる存在(そんざい)はいないのです。

桜が咲き誇る防衛省
(さくら)()(ほこ)防衛(ぼうえい)
東京の夜景
東京の夜景

戦争を未然に(ふせ)ぐためには国を守り()く意思と能力(のうりょく)が必要

平和や独立(どくりつ)(おびや)かされないよう、日本にとって望ましい国際環境(こくさいかんきょう)を作るための外交(交渉(こうしょう)・協力など)といった手段(しゅだん)が重要です。同時に効果(こうか)的な外交には裏付(うらづ)けとなる防衛力(ぼうえいりょく)が必要です。十分な力を持たない相手であると思われてしまうと、外交上、不利であり、ロシアによるウクライナ侵略(しんりゃく)のように国に()()まれてしまうことがあります
 軍事的には、ウクライナは、ロシアから「国を守るために十分な力を持っていない」と思われたため、ロシアによる侵略(しんりゃく)を思いとどまらせることができなかったということなのです。

 戦争を未然に(ふせ)ぐためには、自分たちの国を守りぬく意思と能力(のうりょく)があることを周りに(しめ)し、日本から何かを(うば)うのは(むずか)しいとほかの国に思わせることが必要です。さらに、それでもほかの国に()()まれるような場合には、確実(かくじつ)に守り切ることができるようにしておくことが必要なのです。
 多くのお金と労力をかけて、自衛隊(じえいたい)能力(のうりょく)を強化しているのは、ほかの国と戦争をしたいからではありません自衛隊(じえいたい)が万全の態勢(たいせい)を整えているということを(しめ)すことで、ほかの国に「日本とは戦争をしたくない」と思わせ、戦争が起きないようにすることが自衛隊(じえいたい)にとっての一番の勝利なのです。このようにほかの国に対し、日本を()めることを思いとどまらせる力を「抑止力(よくしりょく)」といいます

破壊された集合住宅
ロシア軍のミサイル攻撃(こうげき)により破壊(はかい)されたウクライナの集合住宅(じゅうたく)(2023年1月)
【ウクライナ緊急事態庁(きんきゅうじたいちょう)ドニプロペトロウスク州本部】
破壊されたミコライウ州庁舎
ロシア軍のミサイル攻撃(こうげき)により破壊(はかい)されたミコライウ州庁舎(ちょうしゃ)(2022年4月)
【ウクライナ緊急事態庁(きんきゅうじたいちょう)ミコライウ州本部】