団司令挨拶
皆さん、こんにちは。
飛行開発実験団司令の霜田です。着任してから1年が過ぎ、新たな年度を迎えることができました。昨年度は新型コロナウイルス感染症が5類に移行になったことから、その対応がコロナ禍以前とほぼ同様となったため、岐阜基地で開催を復活させたイベントが多くなりました。特に令和5年11月に行われた航空祭は4年ぶりの制限なしの開催となり、13万8千人もの多くの方が来基され、当団の航空機運用や各種試験等の活動状況を広くお知らせできた良い機会でありました。
一方、世界情勢に目を向けますと、ウクライナへのロシアの侵攻は継続しており、戦闘が長期にわたることが予期されますし、中東ではイスラエルとハマスの対立が激化し、ガザ地区で多くの犠牲者が発生している事態となっており、こちらも収束の兆しが見えない状況が継続しています。我が国周辺では、ウクライナへの侵攻を継続しているロシアが極東地域において中国との軍事的連携を深め、合同での訓練等を実施するなど行動を共にする場面が多くみられました。中国は台湾を含めた東シナ海近辺での軍事的活動を活発化させております。北朝鮮では、弾道ミサイル等の発射行為が頻繁に行われるようになり、周囲の緊張を高める要因となっています。
このように我が国周辺を含め、世界情勢は不安定な状況が継続しており、先に発簡されたいわゆる戦略3文書の実現化の重要性がますます高まる状況となっています。我が飛行開発実験団としましても、研究開発の分野から航空防衛力の強化に貢献すべく、来たる将来装備品に関する業務を見据えた準備を着実に実施して参ります。
特に令和6年度は「発展」とキーワードとして、これまで挑戦し成果として実現させたものを、もう一段生かすための活動を行っていきたいと思います。この方針は新年に際し、航空開発実験集団司令官から示されたものですが、まさに今年度の飛行開発実験団のキーワードとして最適であると考えており、3つの発展を目指して活動して参ります。1つ目は、「人材の確保」です。新たな事業を開始するにあたり、多くの人材が必要となりますが、急に人は育ちません。先行的かつ計画的に人材を集め、教育し、しかるべき時に必要な人材を確保することが必要であり、速やかに着手していきたいと考えています。2つ目は「各種教育課程の内容の見直し」です。これからの装備品は従来に比してシステムとしての活用が重視されるものと認識しております。このため我々が行う各種の試験においてもこれらの評価を実施できるスキルが必要となります。これを見据えた各種教育課程の教育内容を改善すべく検討を開始していきたいと思います。3つ目は「研究開発分野についての国際感覚の涵養」です。ご存知のとおり、次期戦闘機は英国、イタリアとの共同開発となります。これから当団がかかわっていくことが予想される研究開発の分野において、他国の同分野に関する考えに精通しておく必要があります。この感覚は一朝一夕に養えるものではなく、現在から地道に研究等を重ねるとともに、他国との交流を深め培っていくことが重要と考えています。
飛行開発実験団は常に前を見据え、お示ししたような「発展」を考えておりますが、全ての我々の活動は、国民の皆様、地域の皆様のご理解とご協力の上に成り立っていると認識しております。どうか変わらずのご支援をお願いしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。