団司令挨拶 

飛行開発実験団司令

空将補 白井 亮次

(しらい りょうじ)
団司令

令和四年もすでに下半期に入りました。飛行開発実験団では、将来の技術幹部や防衛技官を育成するための幹部技術課程を設けており、本年7月7日に本課程修了者の卒業式典を執り行いました。研究開発業務の基礎となる、試験評価に係る一連の実務能力を修得した技術幹部及び防衛技官の今後の活躍を期待しています。

さて、ロシアによるウクライナ侵略によって、国際社会は歴史的岐路に立たされ、我が国を取り巻く安全保障環境は言うまでもなく、地域・国際社会全体において、一層の不確実性が増しております。また、科学技術の急激な進歩によって、社会環境が変動制、不確実性、複雑性、曖昧性といった所謂ブーカの時代に入っており、あるべき未来像を描いたとしても、その未来は一年後には陳腐化してしまうかもしれない不安定な社会情勢も、深刻な課題です。

このような情勢の変化もあり、日本国政府から、自らを守り、地域の平和秩序に貢献するため、日本の防衛力を5年以内に抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意が表明されました。その国家国民の期待に応えるため、技術を生業とする我々飛行開発実験団としましても、防衛力の強化に資する科学技術力の導入といった責務を果たし、5年以内にその成果を得なければならないと認識しており、身が引き締まる思いです。従って、これまでの様に、開発プロセスを複数のステージに分割し、各ステージで評価を行うことで開発リスクを極限してきたステージゲート型の研究開発に依らず、優先度の高い要件から順に開発を進め、開発した各機能の集合体として一つのシステムを形成するといった、アジャイル型研究開発にもチャレンジしていくことが必要であると考えております。そして、産官学のすべての知能を融合して、防衛力の強化に取り組むなどの新しい発想とそれらを推進するマネージメント力、つまり、飛行開発実験団所属隊員全ての知の力が必要不可欠であると認識しております。

昨年3月に閣議決定された科学技術・イノベーション基本計画の言葉を借りるならば、知は非連続な変化に対応し、課題を解決するイノベーションの創出の源です。我々の内在的な動機に基づき、新しい現象の発見や解明、新規概念や価値観の提示を行うことで、時に独創的な成果が創出され、新技術や新しい知見が生まれるものと自覚し、忠実に与えられた研究開発業務に専念しつつも、高い志をもって新たなフロンティアを切り開き、恕の心をもって研究開発コミュニティーの融和によって得られる総合知によって、防衛力の抜本的強化事業を推進する原動力となるよう尽力していく所存です。どうか今後とも飛行開発実験団の活動へのご理解とご協力を賜れば幸甚です。


令和4年7月

略歴

防衛大学校38期
                     
平成25年 8月
米空軍参謀本部連絡官        (米国)
平成26年 8月
幹部学校              (目黒)
平成27年12月
航空幕僚監部人事教育部      (市ヶ谷)
平成28年12月
航空幕僚監部防衛部        (市ヶ谷)
令和 元年12月
警戒航空隊司令           (浜松)
令和 2年 3月
警戒航空団司令           (浜松)
令和 3年10月
現職