• 潜水艦隊司令官挨拶

     明けましておめでとうございます。

     

     潜水艦隊の隊員一同を代表して新年のご挨拶を申し上げます。

     

     今年も潜水艦隊は海上防衛の第一線でその使命を果たせるよう、艦隊の実力をより高いレベルに引き上げるための努力を真剣に続けて参ります。

     

     そのために、戦術や装備の改善を図るとともに、プロフェッショナルたる所属隊員の知識と技能をより一層高めて参ります。

     

     また、各員は「自衛官の心がまえ(①使命を自覚すること、②個人の充実を図ること、③責任を遂行すること、④規律を厳守すること、⑤団結を強化すること)」を精神的な基礎とし、その上で潜水艦乗りとして、また、潜水艦隊の所属隊員としての矜持を胸に、誠実を旨として、己に厳しくその責任を果たし、後輩を大切に育てながら、仲間と一丸となってそれぞれが所属する艦と部隊を強くして参ります。

     

     本年も引き続き、潜水艦隊の活動にご理解並びにご支持を賜りますようお願い申し上げます。

     

    潜水艦隊司令官 海将 竹中 信行

    令和6年12月20日挨拶

     潜水艦隊のホームページをご覧頂き、ありがとうございます。

     

     唐突ですが、潜水艦部隊には「Christmas Dive(クリスマス・ダイブ=潜航)」と呼ばれる伝統的な行事があります。いわば、古くからのしきたりのようなものです。このクリスマス・ダイブは各潜水艦のその年の最後の潜航作業(水上から水中へ潜るための作業です。)に行うのが通例です。このため、多くの場合、12月に行うことになります。その年にいいことのあった人達を中心にその間の1年の無事を乗員みんなで祝うことがその行事の眼目です。

     

     良いことがあった人達とは、結婚や出産、昇任といったような吉事があった乗員です。その中から若い順に潜航作業の責任ある配置につきます。例えば、その年に結婚した一番若い乗員が艦長の役、子供が生まれた若手が潜航作業の指揮官の役、3等海曹に昇任した若手が艦の重量やバランスをコントロールする機器の操作員や舵を取る配置などにつきます。

     なお、念のために申し添えますが、当然、それぞれの正規配置の者がきちんと彼らの横に付いて安全に行います。

     

     艦長役を務める一番の若手の指示で潜航作業を開始します。多くの場合、事前に艦長の制服などを借用し、堂々とした振る舞いで「潜航せよ。」と命じます。一連の作業が終わり、無事に潜航作業を完了したところで、あらかじめ用意しておいたシャンパン(ノンアルコールです。)が配られ、乗員みんなで乾杯となります。

     

     そろそろ、クリスマス・ダイブのシーズンに入りました。潜水艦乗りたちはこうしたささやかなユーモア精神を大切にしながら今日も任務に励んでいます。

     少し早いですが、みなさまどうぞ良いお年をお迎えください。

     

    令和6年11月 5日挨拶

     潜水艦隊のホームページをご覧頂き、ありがとうございます。

     

     着任から3か月が過ぎました。

     深まりを見せる秋の風景は実に美しく、さわやかで気持ちの良いシーズンを迎えています。

     横須賀に所在する潜水艦隊司令部から見ることのできる三浦半島の山々も日々その美しさの風合いを変えていきますし、さらに、旬の食材と料理、新米や新酒などもこの季節に花を添えてくれます。

     

    ただ、行動中の潜水艦乗りたちはそれらを実感することができません。

     

     潜水艦の食事は美味しいです。が、なかなか新鮮な旬の食材というわけにはいきません。また、行動中は新酒どころか酒自体がご法度です。

     そして、母港である横須賀や呉に帰ったら「すでに季節が変わっていた」や「子供の運動会も終わっていた」というのは、少し寂しいことですが、潜水艦乗りにとってよくある話のひとつです。

     

     そのような中でも潜水艦乗りの大切な後輩たちは頑張ってくれています。

     昨今、さまざまな課題に直面していますが、私たちはこれらに怯むことなく、着実に実力を培い、覚悟をもって堂々と期待される役割を果たして参ります。

     

     今後とも潜水艦隊に対するご理解並びにご支持を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

    令和6年10月 4日挨拶

     潜水艦隊のホームページをご覧頂き、ありがとうございます。

     

     10月4日(金)、三菱重工 神戸造船所 にて建造中の新鋭潜水艦の命名式・進水式が行われました。私も潜水艦隊司令官として両式典に参列しました。

     命名式とは、防衛省が執り行う儀式です。防衛大臣により命名が行われます。この命名により、いわばその艦に命を吹き込む、そうした由緒のある大切な結節が命名式であるといえます。

     一方、進水式は造船所が行う儀式です。建造中の船が無事に進水したことを祝い、かつ、その船の前途を祝福する古くからの慣習に則ったものです。いずれの式典もその艦の計画や設計、搭載部品や装備の製造・調達、また、艦そのものの建造に携わる多くの関係者が参列し、執り行われます。

     潜水艦は申すまでもなく「軍船いくさぶね」。戦い勝利することを宿命付けられた艦です。新しい艦が生まれた喜びとともに、「国のためにしっかり頑張ってくれよ」との多くの関係者の期待と励ましに包まれながら神戸の地で日本の潜水艦は生まれます。

     

     今回の命名式にて、この新鋭艦は「ちょうげい」と命名されました。令和4年3月に就役した同型1番艦の「たいげい」から数えて5番艦に当たります。この後も「ちょうげい」の建造工程は続きます。来年の夏頃からは洋上や海中における各種の試験作業に入り、令和8年3月頃に海上自衛隊の潜水艦として自衛艦旗を掲げて就役し、潜水艦隊に編入される予定です。

     

     大切な税金を原資として建造された潜水艦です。大切に乗りこなし、強い艦にしていかねばなりません。これは我々潜水艦部隊にとっての大きな責務です。そして、その点はお任せください。潜水艦乗りは、自分が乗り組む艦に深い愛着と誇りを抱いています。その艦の名誉を傷つけず、その艦の名誉がさらに高まるように努力精進することを伝統精神として脈々と受け継いでいます。よって、いずれこの艦に乗り組む潜水艦乗りたちが必ずやこの「ちょうげい」を強い立派な艦にしてくれると司令官として確信しています。

     

     おわりに、この場を借りて潜水艦の建造や修理・整備に携わっておられる方やそのご家族のみなさまに敬意を表しますとともに、心から感謝申し上げたいと思います。

     自明のことながら、潜水艦乗員の力だけで潜水艦という高度で複雑なビークルの実力を引き出すことはできません。潜水艦に関係して下さっている多くの方々の支えがあって初めて、潜水艦はその実力を発揮することができ、それによって、国防の任に堪え得る存在になるということを改めてここに申し添えさせていただきます。この点に思いを致しつつ、潜水艦部隊を代表し、みなさまの常日頃からのご尽力と献身に謹んで深くお礼申し上げます。

    令和6年 9月 7日挨拶

     潜水艦隊のホームページをご覧頂き、ありがとうございます。

     

     潜水艦隊司令官に着任してから約1か月が過ぎました。この間に潜水艦部隊の根拠地である広島県のくれと神奈川県の横須賀よこすかに在籍する部隊の視察を終えました。

     今回の視察を通じて、真剣に職務に励んでいる部隊の状況を直接確認するとともに、改めて次のことを思い、肝に銘じました。それは、「潜水艦部隊が海上防衛の第一線でその使命を果たすことのできる実力を高いレベルで保ち続けていくためには、潜艦隊に所属する各員がプロフェッショナルとして自身の技能を高め、己に厳しくその責任を果たし、後輩を大切に育てながら、仲間たちと一丸になって自分の艦を強くする努力を地道に続けていかねばならない」というものです。

     

     このことは、いわば当たり前に求められることであるともいえます。その理由は、先月のこのページで紹介した「服務の宣誓」と同じく、自衛官の心の持ちようの基本である「自衛官の心がまえ」とほぼ同じだからです。この「心がまえ」の要点は、① 使命を自覚すること、② 個人の充実に努めること、③ 責任を遂行すること、④ 規律を厳守すること、⑤ 団結を強化することの5つです。先に「…ねばならない」としたことは、ほぼこの「心がまえ」に含まれているということがお分かりいただけるのではないかと思います。各員が自衛官として、潜水艦乗りとして、国のため、その基本に則って誠実に努力を重ね、実力を高める。これこそが、これまでも、今も、そして、これからも我々に求められている、私はそう考えています。

     

     9月5日に女性自衛官12名を含む海曹士自衛官111名が呉市に所在する潜水艦教育訓練隊に入校しました。各員にはこれから数か月間にわたる基礎的な教育に真剣に取り組んでもらうことになります。我々は艦隊を挙げてこの大切な新人たちを歓迎します。そして、先に述べた自衛官としての心の持ちようもしっかりと伝え、各員の自覚と発奮を促しながら、大切に育んで参ります。

    令和6年 8月 2日挨拶

     潜水艦隊のホームページをご覧頂き、ありがとうございます。

     潜水艦隊司令官に着任した 竹中信行(たけなかのぶゆき)です。

     よろしくお願い致します。

     

     厳しい安全保障環境の下、防衛力の抜本的強化に必要な各種の取組を進めているさなかにあって、今般、飽和潜水を担う複数の隊員が潜水手当を不正に受給していたことが明らかになり、多くの処分者を出しました。心からお詫び申し上げます。

     また、潜水艦の修理契約に関連する規律違反の疑いが生起している件については、まことに不適切、かつ、不名誉なことと重く受け止めており、現在実施中の特別防衛監察に誠実に対応するとともに、その結果を踏まえしっかりと対応して参ります。

     

     潜水艦部隊に限らず、我々自衛隊員は以下の「宣誓」を行っています。

     「私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもって専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託にこたえることを誓います。」

     まさしくこう在るべく、襟を正して精進を重ね、信頼の回復に努めて参ります。

     

     こうした取組と並行して、我々は、与えられた任務に即応し、これを完遂できるよう部隊の実力を高めていかなければなりません。そして、そうあるためには、個々の隊員が、己の腕を磨き、己に厳しくその責任を果たし、後輩を大切に育て、艦と部隊を愛し、強くしなければならないということを肝に銘じ、これを実践していくことが求められます。あまり人の目に触れることのない、こうした地道な努力の積み重ねの中で、優れた実力が養われ、継承されていくものと信じています。

     「我ら戦闘の用にあり」、呉に所在する潜水艦教育訓練隊の1階正面に掲げられている伝統ある標語です。これを体現すべく、力を尽くして参ります。

  • 潜水艦隊先任伍長挨拶

     潜水艦隊ホームページをご覧いただきありがとうございます。

     令和6年12月18日付で第9代 潜水艦隊先任伍長に指定されました田村です。

     

     日頃からの国民の皆様のご理解と、隊員ご家族のご支援に感謝しております。

     

     潜水艦隊は潜水艦(練習潜水艦・試験潜水艦含む)潜水艦救難艦を駆使し、警戒監視、救難活動等の各種任務に従事しております。

     潜水艦の特性上、国民の皆様とふれあうことができる機会は多くありませんが、現在では各地で広報活動も盛んに実施されておりますので是非とも足を運んでいただき、実物の艦を見て、乗員の声を聴いていただければ幸いです。

     お話しできる内容には制限がありますが、皆様からの激励が乗員の何よりの励みとなります。

     

     今この瞬間も多くの隊員が数々の制約のある海上、海中で国防の任務を遂行しております。

     引き続き皆様のご協力と、あたたかいご声援をよろしくお願いいたします。

     

    潜水艦隊先任伍長 海曹長 田村 健