わが国周辺においては、極超音速滑空兵器や、変則軌道で飛翔するミサイルなど、ミサイルに関する技術が、急速なスピードで変化・進化しています。
わが国はこれまで、弾道ミサイル防衛体制を整備してきましたが、迎撃能力を向上させるだけで本当に国民の命や暮らしを守り抜くことができるのかといった問題意識のもと、新たな国家安全保障戦略などを策定する中で、あらゆる選択肢を検討しています。この検討は、憲法及び国際法の範囲内で行うものであり、いわゆる「先制攻撃」を行うことは許されないとの考えに変更はありません。
この検討について、岸田内閣総理大臣は、2022年5月23日の日米首脳会談後の共同記者会見において、「私のほうからは、いわゆる『反撃能力』を含めて、あらゆる選択肢を排除しない、こうした旨も述べた次第です」と述べています。
なお、政府は、従来、1956(昭和31)年の鳩山内閣総理大臣の国会答弁(船田防衛庁長官代読)で述べているように、誘導弾などによる攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、例えば、誘導弾による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾などの基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であると解してきています。
また、政府は、従来から、わが国に対する武力攻撃の発生した時点とは、相手が武力攻撃に着手した時であり、武力攻撃による現実の被害の発生を待たなければならないというものではないと解してきています。相手の武力攻撃の着手後にわが国が武力の行使を行うことは、武力攻撃が発生する前に他国を攻撃する、いわゆる「先制攻撃」とは異なります。