防衛計画の大綱(防衛大綱)は、1976年に初めて策定されて以来、これまでに計6回策定されている。現在の防衛大綱は、2018年12月に「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱について」として策定されたものである1。
参照図表II-2-3-1(防衛計画の大綱の変遷)
資料3(平成31年度以降に係る防衛計画の大綱について)
現在の防衛大綱は、防衛の目標を、望ましい安全保障環境を創出するとともに、脅威を抑止し、万が一、わが国に脅威が及ぶ場合には、これに対処することであるとしている。また、これらの目標を達成するための手段として、①わが国自身の防衛体制、②日米同盟及び③安全保障協力をあげ、それぞれの強化を基本方針として、次のように定めている。
防衛の目標を確実に達成するため、防衛省・自衛隊のみならず、政府一体となった取組及び地方公共団体、民間団体などとの協力を可能とし、わが国が持てる力を総合する防衛体制を構築する。
わが国の防衛力の強化については、厳しさを増す安全保障環境の中で、軍事力の質・量に優れた脅威に対する実効的な抑止や対処を可能とするため、真に実効的な防衛力として、次のような性質を有する「多次元統合防衛力」を構築していく。
これらの取組によるわが国の防衛力は、図表II-2-3-2(防衛力が果たすべき役割)にあげた役割を平素からシームレスかつ複合的に果たせるものでなければならない。
参照図表II-2-3-2(防衛力が果たすべき役割)
日米安全保障体制はわが国の安全保障の基軸であり、また、日米同盟は国際社会の平和と安定及び繁栄にとっても重要な役割を果たしている。このような観点から、日米同盟の抑止力・対処力の強化、幅広い分野における協力の強化・拡大及び在日米軍駐留に関する施策の着実な実施のための取組を推進する必要がある。
「自由で開かれたインド太平洋」というビジョンを踏まえ、地域の特性や相手国の実情を考慮しつつ、多角的・多層的な安全保障協力を戦略的に推進する。その一環として、防衛力を積極的に活用し、共同訓練・演習、防衛装備・技術協力、能力構築支援、軍種間交流などを含む防衛協力・交流に取り組み、また、グローバルな安全保障上の課題への対応にも貢献していく。また、こうした取組の実施にあたっては、外交政策との調整を十分に図るとともに、日米同盟を基軸として、普遍的価値や安全保障上の利益を共有する国々との緊密な連携を図る。