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第IV部 防衛力を構成する中心的な要素など

➍ FMS調達の合理化に向けた取組の推進

FMS(Foreign Military Sales)(有償援助)は、米国の武器輸出管理法などのもと、米国の安全保障政策の一環として同盟諸国などに対して装備品を有償で提供するものである。FMSには、①価格が見積りであること、②前払いが原則であり履行後に精算されること、③納期が予定であることなどの特徴があるが、一般では調達できない機密性の高い装備品や能力の高い装備品を調達できる点で、わが国の防衛力を強化するために非常に重要なものである。

一方、FMSについては、納入遅延や精算遅延などの様々な課題があることは事実であり、近年FMS調達額が高水準で推移している中で、日米が協力して改善に努めているところである。具体的には、16(平成28)年以降、防衛装備庁と米国防安全保障協力庁との間でFMS調達をめぐる諸課題について協議を行う会議(SCCM:安全保障協力協議会合)を4回開催している。20(令和2)年1月の第4回会議においては、未納入・未精算に関する課題について、個々の品目の納入・精算状況を日米できめ細かく管理し、未納入・未精算となっている原因を処理・除去するために最善の努力を行うことで合意したほか、FMS調達の価格の透明性の課題については、国防安全保障協力庁が国防省内の関係機関に対し、必要な価格情報を十分に提供するよう指導・監督することなどについて合意した。加えて、わが国を含むFMS購入国が協議を行う場においても、19(令和元)年以降、わが国の呼びかけにより、納入手続きの効率化について話し合いを続けており、米側にも改善すべき点を共有している。防衛省内においては、19(令和元)年7月に「FMS調達の合理化に向けた取組の推進に関するプロジェクトチーム」を立ち上げ、各種取組を組織横断的に推進する体制を整備したほか、令和2(2020)年度には、防衛装備庁調達企画課に、米国において米国政府との調整などを行う「有償援助調達調整班」を新設し、FMS調達の管理体制を強化するなど、FMS調達の合理化を推進している。