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第III部 国民の生命・財産と領土・領海・領空を守り抜くための取組

3 研究開発に関する取組

防衛省では、中期防に示されている①防空能力の向上、②警戒監視能力の向上、③大規模災害を含む各種事態発生時に柔軟な運用を可能とする無人装備、④既存装備品の能力向上といった、自衛隊のニーズに合致した装備品の創製や、技術動向を踏まえた将来性の高い技術提案を行うとともに、先進技術及びデュアル・ユース技術を取り込んだ装備品を試作し、その試験評価を行っている。特に、防空能力向上の観点から、将来戦闘機に関し、国際共同開発の可能性も含め、F-2戦闘機の退役時期までに開発を選択肢として考慮できるよう、大推力かつコンパクトなエンジン、ステルス機の探知・追尾を可能とするためレーダや赤外線センサを統合した先進的なセンサシステム、複数機の連携により射撃機会の拡大と射撃効率の向上を図る統合火器管制の技術に関する研究など戦略的な検討を行い、平成30(2018)年度までに開発に関する判断を行い、必要な措置を講じることとしている。さらには、高出力指向性のマイクロ波を発生・照射することで、飛来するミサイルなどに内蔵された電子機器の誤動作や破壊を誘発し無力化する技術の研究を行っている。

警戒監視能力の向上の観点からは、将来の経空脅威及び弾道ミサイルに対応し得る探知追尾性能、抗たん性、経済性などに優れる次期警戒管制レーダ装置の開発や、探知・識別性に優れた2波長赤外センサを文部科学省・宇宙航空研究開発機構(JAXA)で計画中の「先進光学衛星」に搭載し、宇宙環境において動作させるための研究を実施している。また、大規模災害を含む各種事態発生時に柔軟な運用を可能とする高機動パワードスーツ、遠隔操縦車両の環境認識向上技術などの研究も推進している。

さらに、技術的優越を確保しうる先進的な研究として、次世代暗視装置の要素技術に関する研究やセンサ・電子機器の誤作動や破壊を誘発するEMP弾構成要素(EMP放射部)に関する研究、及びEMP防護技術に関する検討を実施している。また、電気エネルギーを用いることにより従来の火薬砲では実現不可能な弾丸の高速化、長射程化、高威力化を図る電磁加速システムの研究、低高度を飛しょうする大量の小型無人機や迫撃砲弾といった脅威に、低コストかつ短リアクションタイムで対処する高出力レーザシステムに関する研究、島嶼防衛のための島嶼間射撃を可能とする、高速で滑空し、目標に命中する島嶼防衛用高速滑空弾の要素技術の研究及び将来水陸両用技術のうち、海上機動性などを将来的に向上させるため、シミュレーションモデルによる全体システム設計や高出力エンジンの小型化に関する研究などを行っている。また、「政府関係機関移転基本方針3」に基づき、デュアル・ユース技術を活用した水中無人機などの研究を効率的かつ効果的に実施するために必要となる新たな試験評価施設(「岩国海洋環境試験評価サテライト」(仮称))の岩国市への整備に着手した。

3 平成28年3月22日まち・ひと・しごと創生本部決定