防衛省・自衛隊の『ここが知りたい!』

自衛隊のサイバー攻撃への対応について

Q1 サイバー攻撃とは何ですか。また、その特徴と現状について教えて下さい。

A1 サイバー攻撃については、情報通信ネットワークや情報システム等の悪用により、サイバー空間を経由して行われる不正侵入、情報の窃取、改ざんや破壊、情報システムの動作停止や誤作動、不正プログラムの実行やDDoS攻撃(分散サービス不能攻撃)等として整理されています。近年ではスマートフォンの普及やネットワーク接続が可能な家電やカメラなどIoT機器の増加によりサイバー空間が拡大しており、サイバー攻撃が行われた場合には、社会活動の広範囲で甚大な被害が生じる可能性があり、また、サイバー攻撃源の特定や抑止が困難といった特性があり、その対応は国家の安全保障・危機管理上の重要な課題となっています。

Q2 防衛省・自衛隊はどのように対応しているのですか。

A2 防衛省・自衛隊は、自らの情報システム・ネットワークに対するサイバー攻撃に対処しています。

そのための体制として、令和4年3月に共同の部隊として自衛隊サイバー防衛隊を新編し、情報通信ネットワークの監視及びサイバー攻撃への対処を24時間態勢で実施しています。

また、各自衛隊においても、陸上自衛隊サイバー防護隊、海上自衛隊保全監査隊、航空自衛隊システム監査隊等の各システム防護部隊がそれぞれの情報システムを監視・防護をしています。

防衛省・自衛隊におけるサイバー攻撃対処

Q3 関係省庁や諸外国との間ではどのような連携を行っていますか。

A3 サイバー空間の安定的な利用を防衛省・自衛隊のみによって達成することは困難であることから、内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)等関係省庁との連携を行っています。

また、サイバー空間に関する日米協力については、平成27年4月の新ガイドラインや同年5月の日米サイバー防衛政策ワーキンググループ(CDPWG)の共同声明において、サイバーに係る脅威認識を共有した上で、重大なサイバー事案への対処、役割・任務、情報共有、重要インフラ防護等、防衛省・国防省間における具体的な協力分野を記述しているところです。また、平成31年4月の日米「2+2」の共同発表において、国際法がサイバー空間に適用されるとともに、一定の場合には、サイバー攻撃が日米安全保障条約第5条にいう武力攻撃に当たり得ることを確認しています。さらに、令和5年1月の日米「2+2」や、同年10月の日米防衛相会談において、サイバー分野における協力を強化することで一致するとともに、日米両政府全体の枠組みである日米サイバー対話への参加や、防衛当局間の枠組みである日米ITフォーラムを継続的に開催するなど、米国との連携強化を一層推進しています。

このほか、オーストラリア、英国、ドイツ、フランス及びエストニアとの防衛当局間サイバー協議を行っています。

「ロックド・シールズ2024」日本の演習会場の様子

Q4 防衛省・自衛隊の今後の取組について教えて下さい。

A4 サイバー領域における脅威が日々高度化・巧妙化する中、防衛省・自衛隊のサイバー防衛能力の強化は喫緊の課題と認識しています。 国家安全保障戦略では、サイバー安全保障での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させる旨明記しているところです。

このような方向性に基づき、防衛省では、サイバー専門部隊の約4千人体制への拡充やリスク管理枠組み(RMF)などの新たな取組の導入などを積極的に進めています。

防衛省としては、このような取組を着実に進め、サイバー防衛能力の強化に尽力してまいります。

また、サイバー人材の確保・育成等の羅針盤となる文書として、令和6年7月に「サイバー人材総合戦略」を策定し、防衛省・自衛隊の基本的な考え方を包括的にお示し、本「戦略」を通じた各種施策の実効性を意識しつつ、必要な取組について不断に検討を進めてまいります。

2024年9月4日更新