MAMOR(マモル)2024年9月号

MAMOR(マモル)は、防衛省が編集協力をしている唯一の広報誌です。
防衛省の政策や自衛隊の活動を分かりやすく紹介し、国民とともに防衛を考える広報誌を目指しています。

  • タレント:井本 彩花
  • カメラマン:鈴木 教雄
    プロフィール
  • ロケ地:海上自衛隊 厚木基地

特集

明日の防衛を開発する“プロジェクトX”
自衛隊・空の挑戦者たち

Military Report

世界が驚いた日本の土木技術を教える
陸上自衛隊施設学校オープンキャンパス!

編集後記

担当編集長 高久 裕

日本では20年ぶりに新紙幣が発行されて話題になりましたが、カンボジアの500リエル紙幣には、日本のODAで架けられた橋と「日の丸」が描かれています。今月号のミリレポで紹介する自衛隊の施設部隊などによる海外での援助活動は、各国で高い評価を得ているのです。その施設部隊を育てる学校の“授業参観”にぜひ、ご参加ください。20年後の新紙幣には自衛隊の雄姿を?

特集

明日の防衛を開発する“プロジェクトX”
自衛隊・空の挑戦者たち

ライター 臼井総理

テストパイロットというと、世界ではじめて音速を超えた男「チャック・イェーガー」を思い出すオールド航空ファンの私。最近の作品では映画『トップガン マーヴェリック』の冒頭シーンで想起されるような、テストパイロット=勇敢でチャレンジ精神豊富、危険を顧みずムチャなこともする……というイメージを勝手に持っていたのですが、その認識をいい意味で今回塗り替えることができました。

高い操縦技術を持つのは当然。その上で冷静に計算もでき、新型機や新装備開発のために必要なミッションを慎重に、かつ大胆にこなせる自衛隊テストパイロットたち。本特集で「知られざるテストパイロットの姿」に迫ることができたのは、非常に得がたい経験でした。読者の皆さんも隅から隅までお読みいただき、彼らの仕事に思いを馳せていただければと思います。

Military Report

世界が驚いた日本の土木技術を教える
陸上自衛隊施設学校オープンキャンパス!

ライター 古里 学

今回取材した施設学校施設教導隊による92式浮橋の重門橋構築・運航訓練。いろいろ最新鋭の装備品を使いつつも、隊員は濡れるのもかまわず河の中を歩いて、浮橋を構築していきます。当日は暑いくらいのピーカンだったのですが、小隊長に聞くと冬の北海道でも同様の訓練を実施したことがあるとのこと。そこで思い出したのが、ナポレオンのロシア侵攻。1812年11月、敗走する5万人のフランス軍兵士を救うため、マイナス20℃の酷寒の中、架橋工兵部隊の300人の工兵がベレジナ河に飛び込み橋を架けたという有名なエピソードです。

しかし、なぜこのような自己犠牲を顧みない任務が遂行できるのか。元戦車連隊長で戦史研究家の木元寛明氏は著書『気象と戦術』において、これは工兵たちの「ノブレス・オブリージュ(高貴なる務め)」の表れだといっています。フランス軍の工兵部隊の将校は、今もあるフランスの最難関校の一つで理系学生の最高峰である「エコール・ポリテクニーク」の出身者だったそうです。その卒業生には数学者のポワンカレやミッテラン大統領の最側近のジャック・アタリなどそうそうたる人材を排出。そうした選ばれし者たちの当然の務めとして、工兵たちは凍りついた河に飛び込んでいったのでしょう。そこには強烈なプライドがあり、それは現在の施設科の隊員にも通じるものがあると思いました。

ちなみにエコール・ポリテクニークをはじめとするグラン・ゼコールと呼ばれる学校における最近の入試問題の設問の一つは「人間とは何か?」、制限時間は6時間だそうです。

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