MAMOR(マモル)2024年3月号

MAMOR(マモル)は、防衛省が編集協力をしている唯一の広報誌です。
防衛省の政策や自衛隊の活動を分かりやすく紹介し、国民とともに防衛を考える広報誌を目指しています。

特集

物流クライシス2024

Military Report

「自衛隊音楽まつり」を支える舞台裏の部隊

編集後記

編集長 高久 裕

能登半島地震で被災された方々には、編集部から心よりお悔み、お見舞いを申し上げます。震災に関してテレビなどで、防衛省がチャーターした民間フェリーに被災者を受け入れて、宿泊先として提供しているというニュースをご覧になった方は、ぜひ、当号の特集を併せて読んでいただきたいと思います。有事や災害時に民間企業の力を活用する取り組みの一例となることがよく分かると思います。軍事行動において、流通・補給(兵站)は、勝敗を決める重要事とされています。災害時も、物流が滞ると人の命にかかわると、身に染みて理解した2024年。物流クライシスが騒がれる中、自衛隊の物流について特集しました。

特集

物流クライシス2024

ライター 古里 学

DXの遅れが経済に大きなダメージを与えるという「2025年の崖」、団塊世代がすべて後期高齢者になる「介護2025年問題」、それに先立つ「物流2024年クライシス」と、課題目白押しの令和6年が始まりました、と思ったらいきなりの大地震や羽田空港での事故など、今年も波乱含みの1年になりそうです。

今回防衛研究所の石津先生から兵站にまつわる古今東西の戦争、紛争の話をうかがい、改めて「倉廩実つれば即ち礼節を知り、衣食足れば即ち栄辱を知る」という中国春秋時代の思想家・管仲の有名な言葉を思い出しました。と同時に、たとえばロシア戦線でナポレオンが大敗を喫し、それから約130年後にドイツ軍が同じような過ちを繰り返すなど、有史以来、兵站の重要性はずっと指摘されつつも、それを軽視して大惨事に陥った例が枚挙にいとまがないと知り、ちょっと唖然としました。マルクスは『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』の冒頭に「歴史は繰り返す。一度目は悲劇として、そして次は喜劇として」と書きましたが(元はヘーゲルの言葉のようです)、結局人は失敗の黒歴史は見たくないと無意識に思ってしまうのかもしれません。とはいえ、やはり歴史に学ぶことは大切です。ただ、それだけではすべてが解決しないのが、先に挙げた様々な課題のややこしいところです。そもそも65歳以上の高齢者が総人口の30%を占める超高齢化社会なんて、人類史上誰も経験したことがないことなのですから。

Military Report

「自衛隊音楽まつり」を支える舞台裏の部隊

ライター 魚本 拓

コロナ禍による中止や入場制限での開催を乗り越え、4年ぶりのフル公演となった2023年の自衛隊音楽まつり。リハーサル公演を含め、日本武道館で3日間にわたって開催されたこのビッグイベントが、企画・演出などの一部を除き、そのほぼすべての運営を自衛隊自らが担っていることをご存知でしょうか。広告代理店とともに企画・演出に関わるだけでなく、館内・外の通信手段の確保や警備、写真と動画の撮影・編集・配信、万が一の事態に備えたテロ対策……と、公演に必要なあらゆる業務を隊員たちが務めているのです。今月号の「ミリレポ」では、音楽まつりのそうした舞台裏に迫っています。公演にかけつけた方はもちろん、そうでない方にも、自衛隊の意外な任務のひとつとして興味深い内容となっていると思われますので、本誌をお手にとっていただければ幸いです。本記事をお読みになれば、本年度の音楽まつりへの応募は必至、となると思われるのですが、いかがでしょうか。

カメラマン 増元 幸司

今号ではミリレポ「音楽まつりの裏側」の撮影で朝霞駐屯地に行ってきました。
私が撮影担当したのは全体訓練の様子です。全体訓練とはいえ迫力満点の本番モード。
しかもギリギリ近くまで近寄る事が出来たので特等席で観覧するようなもの。まさに役得です。
そして、今企画の主役である裏方担当の隊員さんですが、とにかく走ってます。
気が付くと、楽団の列の中を目立たない様に全速力で走っています。
端の方で出番を待ち構えていて、咄嗟に走り出します。獲物を狙うハンターです。
その集中力と機動力に自衛隊の訓練の一端を垣間見た気がしました。
そしてやっぱり、いつ見ても1mmのズレもなくビシッと並んだ隊員の列は爽快であり快感ですね。

カメラマン 江西 伸之

「自衛隊音楽まつり」は陸・海・空の音楽隊はじめ、儀じょう隊、防大、海外からのゲスト軍楽隊により創りあげられる壮大なステージである。
この認識が良い意味で崩された撮影だった。と、いうのはこの壮大なステージの成功、そして感動を作り上げているのは、実は企画、演出、通信、警務、テロ対策といった陸海空さまざまな部隊だからだ。
観客にとっては“束の間”の時間かもしれないが、それが日頃の連携の積み重ねであることは言うまでもない。
国民の知らぬところで平和構築に勤しむ自衛隊の、まさに陰ひなたの努力や賜物に触れた撮影現場だった。

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