MAMOR(マモル)2023年3月号

MAMOR(マモル)は、防衛省が編集協力をしている唯一の広報誌です。
防衛省の政策や自衛隊の活動を分かりやすく紹介し、国民とともに防衛を考える広報誌を目指しています。

特集

世界よ、これが日本の観艦式だ!

Military Report

最前線でヘリコプターを整備・修理する戦場のメカニック
陸上自衛隊 東部方面航空野整備隊

編集後記

編集長 高久 裕

防衛庁が「省」に昇格した2007年1月に創刊した『マモル』も、この号で16周年を迎えました。これも応援していただいている読者はもちろんのこと、取材・撮影に快く応じていただいた各部隊・自衛官、ライターやカメラマンをはじめとする外部スタッフの皆さまのおかげと、あらためて感謝を申し上げます。令和5年度より日本の国防態勢は大きな変革期を迎えます。ますます混迷する世界の安全保障環境の中で、私たちはどう国を守っていけばいいのか、が問われる変革となります。自衛隊の活動は範囲も深度も広がり深まっていくことでしょう。合わせて『マモル』も、防衛省・自衛隊の活動、施策について、広く深く読者にお伝えできるよう、“変革”していく所存です。今年もどうぞよろしくお願いします。

特集

世界よ、これが日本の観艦式だ!

ライター 古里 学

毎回記事を書いていて、いちばん頭を悩ませるのが歴史を振り返るページです。当事者や関係者、専門家に直接お話をうかがえれば、それが一次資料となるわけですが、過去の話はどうしても資料が中心になります。そのため資料によって話に食い違いがあったり、また微妙におかしな点があるのですが検証できないということがままあります。今回、国際観艦式の歴史を調べてみると、どの資料にも観艦式の起源は、「1341年、百年戦争の際にイギリス王のエドワード3世が出撃するときに自国艦隊を観閲したことによる」とありました。百年戦争とは、フランス王国とイングランド王国が1世紀にわたって領土争いを行ったもので、かのジャンヌ・ダルクが活躍したことで有名です。当時はまだ大英帝国は形成されていなかったので、エドワード3世は正確には「イングランド王」になります。ここで問題なのは「1341年」という時間です。佐藤賢一著『英仏百年戦争』やその他の資料によると、実は両国は1340年9月から42年6月まで休戦協定(エスプルシャン条約)を結んでいたことがわかりました。だとするとエドワード3世の観艦式は、フランスに向けて出撃したものではないということになります。この間、ブルターニュ継承戦争が勃発していますが、エドワード3世はエスプルシャン条約の期限切れまでは介入していないようです。だとすると1341年の観艦式とは何だったのか。結局は不明のままでした。観艦式の起源に触れた多くの資料は、多分何かの資料の孫引きが流通して今日にまで至っているのでしょう。改めて歴史を書くことの難しさを実感しました。

カメラマン 村上 淳

今月号の特集の「観艦式」。以前から一度見てみたいと思っていました。今回は海上自衛隊創設70周年という節目に、20年振りに行われる2回目の国際観艦式ということで海自艦艇だけではなく多くの海外の艦艇も参加し、それらを巨大な「いずも」の甲板からじっくりとお腹いっぱい撮影することができました。自衛隊の艦艇と比べると他国の艦艇は見慣れない形のアンテナがあったり、色が明るめのグレーだったり、ちょっとサビが見えるけど渋みがあったりとバリエーションに富んでいました。自衛隊の艦艇は取材に行くといつも、ペンキを塗っていたり磨いていたりする場面によく遭遇するだけあって、艦齢が古くてもとても綺麗でした。ちなみに個人的には練習艦「しまかぜ」や以前取材させてもらった掃海母艦「ぶんご」、あとタイ海軍のフリゲート艦が好みでした。早朝から夕暮れまでの長い1日でしたが次回、有観客に戻ったら抽選に応募し家族で見に行きたいと思います。

Military Report

最前線でヘリコプターを整備・修理する戦場のメカニック
陸上自衛隊 東部方面航空野整備隊 

ライター 臼井総理

先日、車のタイヤがパンクしてしまい、夜間、しかも小雨そぼ降る中、外でタイヤ交換をするハメになった。昔、車いじりを趣味にしていたので、作業自体は慣れていたつもりだったが、やっぱりろくな設備も工具もない野外での作業は骨が折れた……。そんな折、取材した航空野整備隊の記事の掲載号がちょうど発売になるとの知らせ。うむ、これは「野外整備の大変さを思い知れ」という国防の神(?)からの天恵に違いない!ということで読者の皆さん。陸上自衛隊ならではの部隊「航空野整備隊」にもぜひご注目を。いつでも、どこでも、どうにかしちゃう。自衛隊の自己完結能力の好例が、ここに現れています。すごいぜ!航空野整備隊!

カメラマン 荒井 健

今回は陸上自衛隊の航空野整備隊を撮影してきました。航空機の整備を屋根のない外で行うというので楽しみにしていたのですが、日程が合わず屋内整備訓練の撮影になりました。

いつも通り工具類は綺麗に並べられピカピカ。機材一式を必要な分だけ持ち込み、不測の事態にも工夫をして対応するための機材車両などを見させていただきました。当然のことながらすごく細かいネジなども含まれており、もし外で落ち葉の上に落としたら絶対見つからないだろう。やはり外での作業はとてつもなく大変なことだと想像がつく。海空の両自衛隊は屋外で整備を行わないのには理由がある。撮影を通してその苦労が垣間見られました。なぜ陸上自衛隊は屋外で整備をするのか、その様子はどんな感じなのか。私も見られなかったのでマモルの発売を楽しみにしている。

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