MAMOR(マモル)2023年2月号

MAMOR(マモル)は、防衛省が編集協力をしている唯一の広報誌です。
防衛省の政策や自衛隊の活動を分かりやすく紹介し、国民とともに防衛を考える広報誌を目指しています。

特集

目立たないけど国を守る大切な任務がある!
あなたが知らない自衛隊のおしごと

Military Report

宇宙戦争は起こるのか?
航空自衛隊 宇宙作戦群 

編集後記

編集長 高久 裕

毎日のようにテレビのニュース画面に、戦場が映し出されています。そこには、他国の侵攻に対して、兵士が高射砲を撃ったり、戦車や装甲車で進撃しているシーンがよく映っていますが、前線で戦う兵士だけが国を守っているのではありません。その数百倍もの兵士が後方で戦っているのです。自衛隊にも、同じように後方で日本を守っている隊員がたくさんいます。災害派遣活動も同様で、ニュースで映し出される隊員を支えるために、いかに多くの隊員が、けっして脚光を浴びることなく、日々、地味な任務に励んでいることでしょう。中には、「こんな任務まで?」と驚く仕事もありますが、目的は皆、同じです。そんな“あなたが知らない”自衛隊の仕事を、マンガで分かりやすく紹介します。毎日、わが国を守っている彼女ら彼らに、「ブラボー!」と声を掛けてあげてください。

特集

目立たないけど国を守る大切な任務がある!
あなたが知らない自衛隊のおしごと

ライター 魚本 拓

今月号の「MAMOR」の特集では自衛隊の各種任務=さまざまなおしごとについて掘り下げています。

「自衛隊の任務って国を守るってことでしょ? そのために戦車や艦艇、戦闘機とかを運用をしてるんだよね?」――そう思う人も多いでしょう。たしかにそうなのですが、でも、そうした誰もが知っている活動を支えている「後方支援」と呼ばれる任務も、自衛隊にはたくさんあります。しかも、「そんなことまで自衛隊が!?」という細かなおしごとがいっぱいあるんです。各分野のプロフェッショナルがいて、自前で各種の装備を持ち、小さな仕事から大きな仕事までなんでもこなしてしまう自衛隊は、「自己完結型組織」と呼ばれています。それは、自衛隊が有事を想定した組織だから。インフラが寸断されるなど、どんなに過酷な環境下にあっても、あらゆることを自分たちでこなせる体制を整えているんです。たとえば、自衛隊には、ミュージシャンやラジオDJ、プラモデラー、雑誌編集者などなど、にわかには信じられないほど多彩な役割を担っている隊員の方たちがいます。本特集では、自衛隊のそんな“まさかのおしごと”を紹介しているので、ご興味のある方は本誌をお手にとっていただければ幸いです。

Military Report

宇宙戦争は起こるのか?
航空自衛隊 宇宙作戦群 

ライター 古里 学

子どもの頃に観た映画『007ダイヤモンドは永遠に』で、ジェームズ・ボンドの宿敵・スペクターが打ち上げた人工衛星から発射されたレーザー光線が地球の軍事施設などを破壊するシーンがあります。今回、宇宙作戦群を取材すると聞いて、最初に脳内に沸き上がったのがこのイメージでした。実際にお話を聞いた隊員の中にも、宇宙作戦群の話を知り合いにしたら、「火星にでも行くの?」と聞かれたとのこと。まあ普通の人が宇宙「軍」と聞けば、『スター・ウォーズ』や『宇宙戦艦ヤマト』を思い出すのはさもありなんでしょう。

実際にSSAを運用している部屋をみれば、まるでNASAの管制室のように整然としていて、モビルスーツやスポック船長からはほど遠い雰囲気です。しかし無味乾燥といえるこの現場でやっていることは、自衛隊の未来形のような気がします。従来国防というのは、三次元空間上に境界線を設定して領土や領空、領海を守るというものでしたが、宇宙空間にはこの境界線がない上に、地球が回転しているため時間軸も違ってきます。「うさ電」と言われるように、宇宙がサイバーや電子・電磁と同一に語られるのも、既存の概念や常識、法体系では対応できないためでしょう。1986年にウィリアム・ギブスンがサイバーパンクSFの代表作『ニューロマンサー』を発表したとき、巨大電脳ネットワークが地球を覆っているという世界観に多くの人が戸惑ったようでしたが、そうした現実がほぼそこまでやってきていて、自衛隊もそれに対応を迫られているのだなということがよくわかった取材でした。

カメラマン 村上 淳

まだ新編されて間もない「宇宙作戦群」を府中基地で取材させていただきました。「自衛隊が宇宙作戦?」と最初はちんぷんかんぷんでしたが、概要を聞き取材を進めるにつれ、宇宙防衛の重要性を認識することができました。

先日「航空自衛隊」から「航空宇宙自衛隊」へ名称を変更する方針を固めたとのニュースがありましたが、今後益々重要になっていくであろう宇宙作戦群をこれからも注目していきたいと思います。

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