MAMOR(マモル)2022年5月号

MAMOR(マモル)は、防衛省が編集協力をしている唯一の広報誌です。
防衛省の政策や自衛隊の活動を分かりやすく紹介し、国民とともに防衛を考える広報誌を目指しています。

特集

ゆるキャンにも役立つガチ野営法
自衛隊式キャンプ入門

Military Report

命を救うためのワンチーム!
航空自衛隊 百里救難隊

編集後記

編集長 高久 裕

世は空前のキャンプ・ブームです。コロナ感染予防として、3密を避けられるレジャーということもあるのでしょうが、自然の中で非日常的な時間を過ごせることが人気の秘密でしょうか。

じつは陸上自衛隊も任務でキャンプをします。キャンプというより「野営」ですが、訓練で日常的に行っているので、いわば“キャンプのプロ”といえましょう。そこで、私たちがレジャーで行っているキャンプでも役立つ「自衛隊キャンプ術」を教えていただきました。春から夏にかけてのシーズン前に、ぜひ、読んでおきたい方法が満載です。また、今のブームの火付け役ともいわれる大ヒット・アニメ『ゆるキャン△』とコラボした企画「ゆるキャンvsガチ野営」もお楽しみに。

特集

ゆるキャンにも役立つガチ野営法
自衛隊式キャンプ入門

ライター 魚本 拓

今回の特集を担当するにあたってまず最初に課せられたのは、それまで、タイトルは聞いたことがある、といった程度の認識しかなかった『ゆるキャン△』を参考資料として視聴することでした。第1シーズン全話を見ての感想は、そこで繰り広げられるキャンプの描写にせよ、登場人物どうしのかかわり合いにせよ、まさしくゆるゆるの様相を呈していて、しかしそれ故のふんわりとした楽しさが醸し出されているのが好印象、といったものでした。では、それに対して自衛隊が実践するキャンプ=野営とは? というのが特集冒頭の企画なのですが、作戦行動を伴って行われるそれは当然のことながら「ゆるい」という言葉を口にするのもはばかられるもので、任務遂行のための隊員の休息と次の展開の準備をするうえで必須の営みでした。その詳細を知りたいという方はもちろん、自衛官が実践しているキャンプに関する豆知識や、陸自の駐屯地内の売店「PX」の店頭に並ぶアウトドアギアなども紹介されているので、キャンパーの方たちにも本誌をお手にとっていただければ幸いです。

フォトグラファー 村上 淳

登山家の服部文祥さんの撮影を担当させていただきました。

詳細は誌面に譲りますがインタビューの中で、持参する荷物や食料の話、登山家の死生観まで、

とても興味深いお話を聞かせていただきました。若々しくエネルギッシュで、何よりもとても丁寧にわかりやすくお話されていたのが印象的でした。最近自分も流行りのキャンプブームに乗っかり、ネットで焚き火台というものを購入し庭でやっているのですが、何度やっても炭が上手く燃えず煙でモウモウとなり、これ以上は近所迷惑になると諦めました。

Military Report

命を救うためのワンチーム!
航空自衛隊 百里救難隊

ライター 守本 和宏

今回、初めて寄稿させていただきました。記憶に残るのは、みなさんの「優しさ」です。

ヘリのダウンウォッシュの強さに吹き飛ばされそうになった時、スッと私の前に入り、無言で風よけになってくれた救難員の佐藤1曹。その安心感は、男性の私でも、キュンとするほど(笑)。さらに、身を挺してサバイバーを風から守る瀧嶋3曹。パイロットの中村3佐からは、訓練終了後に「仮に命を助けても、例えばダウンウォッシュで家を吹き飛ばしたら、PTSDの心配もある。助かったからOKではなく、その人の生活自体を守る。それも救難隊の使命の1つ」と教えていただきました。

技の訓練・鍛錬はもちろん大切。でも、それ以上に、“人が人を救う”とは何を意味するのか。大切なのは命だけじゃない、その人自身を慮り、人生を守ること。その理念を、訓練レポートを通して実感しました。

百里救難隊の「優しさに溢れた英雄」たちに、感謝の言葉を贈りたいと思います。

フォトグラファー 赤塚 聡

百里救難隊の救難訓練に同行取材する機会を頂きました。救難ヘリコプターのUH-60Jには、機長をはじめ副操縦士、機上整備員、そして救難員と、航空自衛隊が装備する機体のなかでもっとも多くの職域の隊員たちが乗り組みますが、それぞれの隊員が「人命救助」という崇高かつ困難なミッションに向けてチーム力を結集させます。

救難部隊の取材でいつも感じるのは、個々の隊員のスキルの高さ、そして何よりもチームワークの素晴らしさです。救助現場に接近するにつれ、ヘッドセットから聞こえてくる交信量は加速度的に増えてきますが、各隊員が矢継ぎ早に手順や情報を伝え合うなか、互いの交信を遮ることなく、絶妙なタイミングで必要な情報を共有していく様子はまさに職人の領域、プロフェッショナルの現場です。戦闘機をはじめとする航空機搭乗員たちが過酷な任務に邁進できるのも、彼らレスキューチームの存在あってのことだと改めて実感させられました。

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