防衛力整備計画
Ⅴ 同志国等との連携

 我が国にとって望ましい安全保障環境を創出することは、我が国の防衛の根幹に関わり、また、我が国の防衛そのものに資する極めて重要かつ不可欠な取組であるとの認識の下、自由で開かれたインド太平洋というビジョンも踏まえつつ、二国間・多国間の防衛協力・交流を一層推進する。特に、国家防衛戦略に示す同志国等との連携の方針を踏まえ、ハイレベル交流、政策対話、軍種間交流、連絡官等の人的交流に加え、自衛隊と各国軍隊との相互運用性の向上や我が国のプレゼンスの強化等を目的として、地域の特性や相手国の実情を考慮しつつ、戦略的寄港・寄航、共同訓練・演習、装備・技術協力、能力構築支援、国際平和協力活動等といった具体的な取組を各軍種の特性に応じ適切に組み合わせて、戦略的に実施する。

 こうした防衛協力・交流の意義を踏まえ、より相互に連携し、具体的かつ踏み込んだ取組を行うべく、業務要領の改善、体制の整備、処遇を含む制度の見直しや秘匿回線を含む各国とのホットラインの整備といった基盤の整備等を進めるとともに、部隊運用に際して、防衛協力・交流に関する所要を一層反映していく。また、防衛協力・交流に係る取組を実施するに当たっては、関係省庁との連携、諸外国や非政府組織、民間部門等との連携を図るとともに、取組について戦略的に発信する。その際、特に以下を重視する。

1 共同訓練・演習

 防衛協力・交流としての意義も十分に踏まえつつ、ロジスティクス協力を含む二国間・多国間の共同訓練・演習を積極的に推進する。これにより、望ましい安全保障環境の創出に向けた我が国の意思と能力を示すとともに、各国との相互運用性の向上や他国との関係強化等を図る。

2 装備・技術協力

 装備品に関する協力は、構想から退役まで半世紀以上に及ぶ取組であることを踏まえ、防衛装備の海外移転や国際共同開発を含む、装備・技術協力の取組の強化を通じ、相手国軍隊の能力向上や相手国との中長期にわたる関係の維持・強化を図る。特に、防衛協力・交流、訓練・演習、能力構築支援等の他の取組とも組み合わせることで、これを効果的に進める。その際、就役から相当年数が経過し、拡張性等に限界がある装備品の早期用途廃止、早期除籍等の活用による同志国への移転を検討する。

3 能力構築支援

 インド太平洋地域の各国軍隊等に対し、能力構築支援の取組を一層強化し、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出を目指すとともに、支援対象国との関係強化も推進する。その際、外交政策との調整を十分図るほか、米国、オーストラリア等の同盟国・同志国等とも緊密に連携することで、最大の効果が得られるように努める。東南アジア諸国等に対するものに加え、太平洋島嶼国に対する能力構築支援を拡充する。